■提案先
総務省・デジタル庁・法務省
■提案内容
総務省やデジタル庁、法務省などが中心となり、ソーシャルメディアの有識者を集めた検討会議を早急に設置し、以下の対策について検討をしていただきたい。
(1)インターネットに書き込みをする際には電話番号登録を必須とする規制法を制定する
(2)フェイクニュース規制法を作る
■提案根拠
社会課題を扱う目的特化型SNS「Surfvote」で得られた結論 「フェイクニュース規制法は必要か?」
https://surfvote.com/issues/kgxeci4xwc8i
■現状
刑法230条1項(名誉毀損)、刑法233条(信用毀損・偽計業務妨害)があるが、フェイクニュースを規制する法律はない。
■背景
2016年アメリカ大統領選挙で注目を浴びたフェイクニュースは、インターネット・SNSの普及に伴い日本でも急速に広まっている。新型コロナウイルス感染拡大やウクライナ侵攻についても偽情報・デマが拡散され、社会全体に影響を及ぼしている。
特にSNSでは怒りの感情が最も拡散しやすいという特徴があり、フェイクニュースはまさに人々の正義感を刺激し正しい情報よりも急速に拡散される可能性が高い。
また、フェイクニュースを拡散しているユーザーの中にはそれがフェイクであることを気付かずに拡散している人が多く存在する。特に政治的な内容は自分が支持する思考・主義に関して拡散やいいねなどの行動を起こしやすい。
■社会課題
・誤った情報が拡散されることで世論に影響を与え正当・公平な選挙が行えなくなること。
・誤った情報が拡散されることで国民に分断が生まれ議論が困難になること。
・誤った情報(特にネガティブな内容)が拡散されることで企業のイメージ・株価の下落に繋がり経済に混乱を与えること。
・誤った情報(特にネガティブな内容)が拡散されることでその対象者・対象組織に批判が集中し社会的・精神的な影響を被り倒産や自殺などに追い込まれること。
・誤った情報の拡散は新型コロナウイルス感染拡大時のように人々の不安を煽り社会的な混乱や医療・健康面で誤った行動を促進させてしまうこと。
・青少年が学習段階で誤った情報を学び混乱を招くこと。
■投票結果
フェイクニュース規制法は必要か?
SNS「Surfvote」では2022年11月3日から2023年1月31日までこの議題を扱い、78票の回答が得られた。集計結果は次の通りである。
・インターネットに書き込む際は実名・電話番号登録を義務付ける新たな法律を作る…… 71%
・フェイクニュース規制法を作り、フェイクニュースを流した場合「禁錮刑」とする…… 6%
・フェイクニュース規制法を作り、フェイクニュースを流した場合「罰金刑」とする…… 9%
・特に規制法は必要ない…… 13%
・わからない…… 1%
■選択肢ごとの主なコメントと当社レスポンス(一部抜粋)
【インターネットに書き込む際は実名・電話番号登録を義務付ける新たな法律を作る】
Genome Epiさん「フェイクニュースの定義が難しいし、恣意的な運用の懸念があるし、当人が本当に信じてフェイクニュースを流した場合の刑罰は難しいと思います。 SNSやメディアというインフラを使って、情報を社会に介入させる行為(ニュースやTwitterなどへの書き込みなど)に本人確認を求めるべきだと思います。」いいね数48
(当社レスポンス)フェイクニュースを拡散している人の多くが、それが嘘の内容だと気が付かずに正義感や怒りの感情で拡散しているとの研究結果があります。拡散している本人がそれを信じている場合は刑罰は確かに難しく、インターネット利用者の情報リテラシーが求められます。一定以上の規模(影響力)になったプラットフォームで情報を発信する際には実名・電話番号登録を義務付けるという考え方もありますね。
【フェイクニュース規制法を作り、フェイクニュースを流した場合「禁固刑」とする】
RMさん「例えば業務上嘘をついて他人を欺けば罪に問われるところ、匿名の空間だからといってお咎めなしとはならないと思います。 禁錮、罰金含めて検討が要ると思います。 ただし故意の有無やそのフェイクの影響によって量刑は変化させるべきと思います。 その法律を有効にするための実名登録だと思います。」いいね数32
(当社レスポンス)非常に大切な視点です。企業などは組織としてコンプライアンス遵守や内部統制が求められていますが、それが個人であっても同様に他人を欺く行為は適切に対処される必要があります。少なくとも匿名で発言できるような場で万が一の場合に特定することができるように実名登録することも有効な手段の一つですね。
【フェイクニュース規制法を作り、フェイクニュースを流した場合「禁固刑」とする】
レインさん「嘘の情報により判断を誤らせた場合、最悪の場合は人命にも関わる惨事になりかねません。 虚偽の記載で不特定多数に混乱が生じた場合など、適用条件を厳格にした上で取り締まるべきと思います。」いいね数32
(当社レスポンス)ネット上の誹謗中傷で自ら命を絶ってしまう悲しいニュースがあります。オンライン関係人口の拡大でオフライン以上にさまざまな視点や意見に触れられることは非常に価値のあることです。しかし結果的に人を殺めてしまったり、社会に混乱を生じさせてしまったりする可能性があることを常に考えて責任ある行動をするべきだと考えます。
【特に規制法は必要ない】
twさん「現行法でも、嘘によって発生した損害の責任を負わせる事は可能.それがインターネット上でも口コミであっても。 (本項の説明文の中にも具体例がある) そのため法案化によって得られるものは、「国家にフェイクニュースであると断定する権利を与える」だけであり、それによる問題・損害も、本項の説明の中に含まれている。 本来欲しい結果を得る方法がすでにある中で、新たな方を作り国家の権力を強化する事は避けるべき。 やるべきは、匿名でも実名でも嘘によって発生する損失には責任を負うことになる、という事実を厳格に運用することと、その事実が周知されしっかり抑止力として機能する風土造りであり、それは法律の制定によらずとも実現できることであると考える。」いいね数48
(当社レスポンス)とても大切な意見で合意形成のポイントだと思います。現行の刑法で罰せられているケースはいくつもあり、それは抑止力になっています。どのような法律で罰するかではなく、発生した損失に対して責任を負い、抑止力に繋げる風土づくりはとても重要だと感じました。
【わからない】
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■問題提起をしてくださったオーサー 山口真一先生
国際大学グローバル・コミュニケーション・センター准教授。1986年生まれ。博士(経済学・慶應義塾大学)。2020年より現職。専門は計量経済学、ネットメディア論、情報経済論。NHKや日経新聞な等のメディアにも多数出演・掲載。KDDI Foundation Award貢献賞、組織学会高宮賞、情報通信学会論文賞(2回)、電気通信普及財団賞、紀伊國屋じんぶん大賞を受賞。主な著作に『ソーシャルメディア解体全書』(勁草書房)、『正義を振りかざす「極端な人」の正体』(光文社)等がある。他に、東京大学客員連携研究員、早稲田大学ビジネススクール兼任講師、総務省・厚労省の有識者会議委員等を務める。
■Surfvoteとは?
当社が提供するSNS「Surfvote」は社会にあるさまざまな課題を問題提起し、それについて誰もが簡単に意見を投票できるサービスです。Surfvoteでは「イシュー」と呼ばれる各テーマ(課題)に対して複数の選択肢から自分の意見を投票できます。また他のユーザーのコメントを見たり、評価(いいね)したりすることもできます。
イシューは当社編集部だけでなく大学の先生やさまざまな分野の専門家にも執筆のご協力をいただき発行しています。投票結果は適宜、関係省庁や政治家へ提出し報告を行なっています。https://surfvote.com/
■Polimill 株式会社
Polimill株式会社は目的特化型SNS【Surfvote】を運営・提供するITCスタートアップ企業です。
Surfvoteは社会課題に特化し、ユーザーがあらゆるテーマについて自分の意見を投票できるだけでなく、他のユーザーの意見を傾聴できるサービスです。地方公共団体版のSurfvoteも拡充中で自治体と連携し住民による住みやすい街づくりを促進します。あらゆる人がルール作りに参加し、価値観の変化やテクノロジーの進化に合わせた柔軟でスピーディーな制度改革ができるような社会を、SNSとテクノロジーで実現させます。https://polimill.jp/