今回の調査は国会における議論の在り方に焦点を当てました。例えば衆参の予算委員会は、予算審議の場所ではなく不祥事追求の場になっているとの指摘もあります。国会審議をさらに効果的で生産的なものにするために必要なことを、18歳以上の全国の男女1,000人にインターネット上で聞いてみました。この調査はYahoo!クラウドソーシングを利用し、3月24日に実施しました。
■調査結果サマリ
国政に興味や関心ある人は「ある程度」を含め72%だった。「興味や関心はある」人を年齢別に見ると、全体的に年代が上がるほど増える傾向があった。職業別では会社・団体役員と教職員が4割台で相対的に多かった。国会中継の視聴経験のある人は83%。
国会での議論に興味や関心がわくときを複数回答で聞くと「自分が関心ある法案や案件が審議されているとき」が52%で最多となった。国会での議論は「尽くされていないと思う」「あまり尽くされていないと思う」が計73%に上った。予算委員会で予算審議以外の不祥事追及はせずに別の場でしてほしいと思う人が56%を占めた。国会の議論の在り方として、答弁者が質問者に回答するだけよりも「質問者と答弁者が一緒になって議論する」ほうが良いとする人が53%を占めた。党首討論は録画を含め夜に放送を求める人が68%に達した。
国会審議で法案修正が困難な状況にあることを適切だと思わない人が69%に上った。各政党が承認を必要としているため議員が自由に法案提出できない状況を、67%が適切と思っていないとした。安全確保などが必要な場合は58%の人が首相の海外出張の国会事前報告を不要とした。答弁機会がないかもしれないのに国務大臣が国会出席を要請されることは「適切だと思う」39%、「適切だと思わない」38%と拮抗(きっこう)した。
- 国の政治に興味や関心がある人は「ある程度」を含め72.9%だった。それを性別で見ると、男性が8割弱だったのに対し、女性は6割強だった。「興味や関心はある」とした人について年齢別に見ると、10~20代は1割台、30~60代が2割台、70代以上が3割台だった。職業別では会社・団体役員と教職員が4割台で最多。年収別では、収入はない~500万円未満が1割台、500万円以上の各層が3割前後となった。(Q6)
- 国会中継をテレビなどで「よく視聴している」「たまに視聴している」「あまり視聴していないが視聴したことはある」は計83.8%だった。「よく視聴している」「たまに視聴している」人を性別で見ると、男性3割強、女性2割強だった。年齢別では、50~60代が3割台、70代以上が5割台で相対的に高く、40代以下の各層は2割台以下。職業別では教職員が6割で最多となり、会社・団体役員が5割台で続いた。政治への興味関心度別では、「興味や関心はある」とする人では6割台に上り、続いて「ある程度興味や関心はある」人の2割台だった。支持政党別で見ると、参政党が6割台で最多となり、れいわ新選組が5割台で続いた。支持する政党はないとする無党派層は1割台にとどまった。(Q7)
- 国会での議論に興味、関心がわくときを複数回答で聞くと「自分が関心のある法案や案件が審議されているとき」の52.9%がトップだった。(Q8)
- 国会審議で議論が「あまり尽くされていないと思う」「尽くされているとは思わない」が計73.4%に上った。(Q9)
- 衆参予算委員会が予算とは直接関係ない不祥事追及などの場になっていることに関し「予算委は予算審議のみを行い、それ以外は別の場で行うべきだと思う」が56.9%を占めた。支持政党別に見ると、立憲民主党とれいわ新選組を除いた野党支持者の過半数が「予算委は予算審議のみを行い、それ以外は別の場で行うべきだと思う」とし、社民党の8割が最多で、日本維新の会と国民民主党の7割台が続いた。自民党の支持者は6割台だった。(Q10)
- 国会の在り方として、答弁者が質問者に回答するだけの通常のスタイルより、憲法審査会のような円卓審議や党首討論のように「質問者と答弁者が一緒になって議論する」ほうが良いとする人が53.7%を占めた。(Q11)
- 国会における党首討論のテレビ中継に関し「夜に実施すべきだと思う」「録画して夜に放送すればいいと思う」が計68.3%に上った。政治への興味関心度別に見ると、「興味や関心はある」人や「ある程度興味や関心はある」人はともに6割台だったのに対し、「興味や関心はない」人は1割台にとどまった。(Q12)
- 国会での法案や予算案の審議時間を「長いと思うことが多い」が38.7%で、「短いと思うことが多い」の26.7%を上回った。(Q13)
- 国会審議は質問者への時間割り当てなどの慣行を背景として、審議時間不足のため法案が流れたり、採決が強行されたりするような議事進行がありますが、これを「適切だとは思わない」人は72.9%を占めた。(Q14)
- 政府提出法案は与党内で審査されて党議拘束をかけられるなどした状態で国会に出され、国会での議論による法案修正が困難となっていることについて「適切だとは思わない」人が69.5%に上った。(Q15)
- 国会議員による議員立法提出に関し、本来は一定人数を集めれば提出できるが、実際には各政党内で承認を必要としているために自由な法案提出ができない状態になっていることを「適切だと思わない」人が67.2%に上った。(Q16)
- 参院本会議で導入されている押しボタン式投票について「参院委員会や衆院の本会議や委員会でも導入すべきだ」が41.6%と最多だった。(Q17)
- 岸田首相の3月のウクライナ訪問の際に、慣例である国会への事前報告と了承の手続きがなかったことに関し「安全確保や情報管理が求められる場合には事前報告や了承は必要ないと思う」が58.4%を占めた。(Q18)
- 要請を受けて出席してもほとんど発言の機会がないのに国務大臣が国会に拘束されることに関し、国務大臣への国会出席要請が「適切だと思う」39.2%、「適切だと思わない」38.0%と拮抗した。(Q19)
- 当選してから1度も登院しなかったことを理由とするガーシー元参院議員の除名処分を「適切だったと思う」が82.3%に達した。(Q20)
- 岸田内閣を「支持する」18.1%(前回3月1日15.2%)、「支持しない」59.3%(同63.2%)だった。(Q21)
- 政党支持率は自由民主党19.4%(前回3月1日19.8%)、立憲民主党4.1%(3.4%)、日本維新の会9.4%(9.8%)、公明1.0%(1.2%)、国民民主党5.0%(4.6%)、日本共産党2.2%(2.2%)、れいわ新撰組2.0%(1.3%)、社民党0.5%(0.7%)、政治家女子48党(旧NHK党)1.3%(0.9%)、参政党0.9%(0.6%)、その他の政党・政治団体0.2%(0.2%)、支持する政党はない50.4%(52.4%)。(Q22)
調査レポートの詳細 https://ksi-corp.jp/topics/survey/web-research-50.html
【調査概要】
・調査期間: 2023年3月24日
・調査機関(調査主体): 紀尾井町戦略研究所株式会社
・調査対象: 全国の18歳以上の男女
・有効回答数(サンプル数): 1,000人
・調査方法(集計方法、算出方法): インターネット上でのアンケート
※「Yahoo!クラウドソーシング」(https://crowdsourcing.yahoo.co.jp/)を活用
【紀尾井町戦略研究所株式会社(KSI:https://www.ksi-corp.jp/)について】
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