アワルワ鉱はニッケルと鉄からなる合金鉱物です。在来型の硫化鉱及びラテライト鉱とは異なり、ニッケル資源としてこれまで利用されていません。JOGMECは、アワルワ鉱型鉱床が規模のあるニッケル鉱床になりうる地質ポテンシャルに着目し、またFPX社の単独事業であるDecarプロジェクトでのアワルワ鉱の処理試験結果を踏まえ、今回共同探鉱事業の成立に至りました。
クロウ鉱区は、カナダ・ブリティッシュコロンビア州に所在し、Decarプロジェクトと同じ地質帯に位置します。これまでの探査によりアワルワ鉱ニッケル鉱化が確認されており、今後の探査によりDecarプロジェクトと同規模のニッケル生産を可能とする大鉱床の発見が期待されます。さらに、JOGMECとFPX社は、アワルワ鉱に関する唯一の開発準備企業であるFPX社の先行者としての知見を活用して、世界を対象とした広域調査を実施して優良なニッケル鉱床の発見を目指します。
今後、JOGMECは本共同探鉱を進め、カーボンニュートラル社会の実現へ向けた調査事業として、電池材料向けとして生産可能な新たなニッケル鉱床の発見を目指し、鉱物資源の多角化および安定供給に一層努めてまいります。
■プロジェクトの概要
1)探鉱地域
クロウ地域は、カナダ・ブリティッシュコロンビア州中央部に所在し、バンクーバーの北方700kmに位置する。対象地域は計2,736.55ヘクタールの鉱区群からなる。Pre Feasibility Studyを実施中のFPX社Decarプロジェクトと同じ地質帯に位置し、既往探査によりアワルワ鉱ニッケル鉱化が鉱区内に確認されている。
2)共同探鉱契約概要
JOGMECは広域調査に係る費用として2年間で計130万カナダドルを拠出することにより、広域調査により抽出された新規案件の権益60パーセントを取得するオプション権を得る。また、クロウ鉱区に係る費用として3年間で計100万カナダドルを拠出することにより、クロウ鉱区の権益60パーセントを取得するオプション権を得る。
■共同調査相手方概要
【FPX Nickel Corp.】
所在地:カナダ・バンクーバー
代表者:Martin Turenne (President & CEO)
概要:トロント証券取引所に上場する探鉱ジュニア企業で、旗艦であるDecarプロジェクトBaptiste鉱床を対象にアワルワ鉱を対象とした鉱山開発に向けて調査を進めている。Decarプロジェクトでは予備的経済性評価において、年産ニッケル量4万トンで生産可能との結果が得られている。さらに、アワルワ鉱精鉱の電池材料向け化学品の製造可能性の確認に向け、現在鉱石17トンを用いたパイロット試験を実施中。
同社はDecarプロジェクトやクロウ鉱区の他にもカナダ西部に複数のニッケル探鉱案件を所有している。
■案件位置図
リリース本文はこちら↓
https://www.jogmec.go.jp/news/release/news_10_00107.html?mid=pr_230405