【2023年3月29日 ゴマ(コンゴ民主共和国)発】
コンゴ民主共和国東部の、紛争による影響が最も深刻な2つの州で、約75万人の子どもの教育が中断しています。ユニセフ(国連児童基金)が発表した新しいデータによると、2022年1月から2023年3月にかけて、北キヴ州とイトゥリ州の少なくとも2,100校の学校が、治安悪化により休校に追い込まれています。
情勢不安により、ゴマ周辺の広大なキャンプに最近避難してきた約24万人の子どもに、特に悪影響が及んでいます。多くの家族は、武装集団による暴力を逃れて安全な場所に移らざるを得ないため、子どもたちが学校に通うことができなくなっています。
ユニセフ・コンゴ民主共和国事務所のグラント・レイティ代表は、「学齢期の子どもたちは、コンゴ民主共和国東部の紛争と治安の悪化のために、受け入れがたい代償を払っています。教室で安全に学ぶべき何十万人もの子どもたちが、暴力によって家を追われ、絶望的な状況の中、広大で過密なキャンプで生活しているのです」と述べています。
危機の規模から、避難民キャンプで暮らす子どもたちの大半は全く学校に通うことができず、ユニセフが支援する「子どもにやさしい空間」や「仮設学習センター」を利用できる子どもも少数にとどまっています。
避難している子どもたちが、6月の学年末試験を受け、公的な修了認定を取得するための学習施設は、ほとんどありません。
国家当局や、北キヴ州とイトゥリ州で活動するローカルおよび国際NGOで構成される、ユニセフ主導の教育調整グループが取りまとめたデータは以下の通りです。
- 119校の学校が、武装集団によって攻撃され、占拠され、あるいは一時的に使用されている。
- 1,700校近くの学校が、情勢不安が長引いているために休校を余儀なくされている(主に、武装集団の支配地域にあるため)。
- 300校近くの学校が、紛争を逃れてきた人々の避難所として使用されているため、学校運営が行えない。
- 今年初めに発表された国連の別の数字によると、コンゴ民主共和国東部での紛争により530万人以上が避難しており、2022年3月に、武装集団「3月23日運動(M23)」による危機が開始して以来、北キヴ州だけでも80万人以上が自宅からの避難を強いられている。
ユニセフは、仮設学習スペースの設置を支援し、生徒たちに学用品を提供しているほか、子どもの心理社会的サポートなどに関する教員向け研修を行っています。
ユニセフはまた、教員用の椅子と机の提供に続き、2023年3月には、イトゥリ州の州都ブニアで、避難民とホストコミュニティ出身の生徒1万320人以上を対象に、教育およびレクリエーションのための支援物資を提供しました。
教育の機会を奪われている子どもたちの数を明確に把握するため、ユニセフは、コンゴ民主共和国東部における学校の閉鎖や学校への攻撃に関して、常に最新の状況を入手・確認できるよう努めています。
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■ 注記
ユニセフの教育クラスターがまとめたデータは、現場の教育拠点から直接得たものであり、学校に対する攻撃に関する情報のみを収集する国連の監視・報告メカニズム(MRM)とは異なることにご留意ください。
■ ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています。 https://www.unicef.or.jp/
※ ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する33の国と地域を含みます
■ 日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国33の国と地域にあるユニセフ国内委員会のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。 https://www.unicef.or.jp/