障がい者の社会参画や高齢者のフレイル予防、認知症予防等の社会課題に加え、昨今の新型コロナウイルスの流行により人々のコミュニケーションの機会が減少していることから、多世代交流が可能なeスポーツイベントに注目が集まっています。
このような背景のもと、渋谷区は要配慮者である障がい者と高齢者に着目し、多世代交流が期待できる「eスポーツ体験教室」を企画しました。そしてこの企画を、NTTe-Sportsが業務委託を受け、NTT東日本 東京南支店と連携して運営。eスポーツの体験にくわえ、BCCによるレクリエーション要素を盛り込んだほか、CACが専門家監修のもとeスポーツの体験から参加者にどれだけポジティブな感情が生まれたかを、表情・感情認識ソフトウェアを活用し、客観的に検証しました。
上記4社は本業務を通じ、eスポーツの効果を客観的な観点で検証することで、ダイバーシティ&インクルージョンを目指す渋谷区の事業に寄り添い、社会課題の解決に貢献してまいります。
2.取り組みの概要
「eスポーツ体験教室」の開催と効果検証・分析
レクリエーション介護士が体験教室のインストラクターとなり、障がい者、高齢者が安全かつ分かりやすくeスポーツを体験できるようサポートを実施しました。体験教室に参加された方の様子を表情・感情認識ソフトウェアにより分析、ならびに専門の表情分析官の考察に基づき、eスポーツの効果を検証・分析しました。
・開催時期:2022年9月~11月(全6回開催)
・開催場所:渋谷区内 介護福祉施設等 3か所
【各者の役割】
3.取り組みの分析結果
eスポーツをしている参加者と応援している参加者をそれぞれ撮影し、表情の変化や特徴により表出した感情を9種類に分類し、各感情を測定・分析しました。
eスポーツプレイ中の参加者の表情は、Joy(喜び)が他の感情と比較して明らかに高く表出しており、また後半に行くほど高くなっている傾向が全体的に見て取れ、アンケート結果でも「楽しかった」という回答が85%を占めることから、参加者はeスポーツプレイを通じて楽しんでいることがわかりました。
一方で、eスポーツを応援・観戦していた参加者の感情は、Joy(喜び)が最も高く表出しているものの、Confusion(混乱)やSurprise(驚き)、Sentimentality(感傷)なども表出し、アンケート結果においても「疲れた」、「(待つのが)嫌だった」等の回答もあったことから、参加者により様々な感情が表れたと考えられます。
アンケート結果や表情分析の結果から、参加者同士が声を掛け合う等、チームの一体感が醸成されている方がレクリエーションの楽しさや満足度に寄与していることがわかりました。
4.今後の展望について
今回の結果から、コミュニティ形成が楽しさや満足度にいい影響を与えるといった示唆が定量的・定性的にも得られたことを踏まえ、今後の取組に活かしていきたいと考えております。
<参考> 施設からの声(『杜の風・上原』施設長・岩坂様)
このレクリエーションに参加できなかった方から、「次こそは参加したい」といったご要望をもらっており、このレクリエーションの反響の高さを感じています。施設としてもレクリエーションが硬直化する中、新しい取り組みとして期待をしていましたが、参加者の方がとても楽しんでいる姿をみて、やってよかったなと感じています。
<本件に関するお客さまからのお問い合わせ先>
NTTe-Sports 経営企画部 Tel:03-5359-7777 Mail:info@ntte-sports.co.jp