日本気象協会 『JWA統合気象予測』を開発高精度・高頻度・高解像度の気象予測を提供します

この記事は約5分で読めます。
一般財団法人 日本気象協会(本社:東京都豊島区、理事長:長田 太、以下「日本気象協会」)は、高精度・高頻度・高解像度な気象予測である『JWA(じぇい だぶりゅー えい)統合気象予測』を開発しました。

防災、道路鉄道向け情報、商品需要予測、再生可能エネルギー活用支援、メディア向けやコンシューマ向け情報など、あらゆる気象サービスにて『JWA統合気象予測』を基盤とした予測情報を提供します。『JWA統合気象予測』は、昨今の激甚化する気象災害の防災・減災に対し、高精度で安定した気象予測の提供で貢献します。加速するデジタルトランスフォーメーション(DX)社会では、網羅的に構造化された気象データは、ビジネスの発展に不可欠なものとなります。『JWA統合気象予測』は、高度な気象データであらゆるビジネスを支えるコア技術となることを目指します。
日本気象協会は「自然界と調和した社会」の創生を目指し取り組んできました。『JWA統合気象予測』は、その取り組みの中で見いだしてきた、日本気象協会の知見を結晶化させた予測です。「自然界と調和した社会」の創生をより深めることができる気象予測であると確信し、お客さまに提供します。

 

『JWA統合気象予測』の特徴

『JWA統合気象予測』は3つの大きな特徴があります。

  • 国内外モデルの統合により実現する、高精度な気象予測

  • 予測傾向が大きく変動せず安定している、高頻度な気象予測

  • 2週間先まで1 kmメッシュで提供可能である、高解像度な気象予測

図1:2022年12月18日新潟県における24時間累積降雪量の事例

 

○特徴1:高精度な気象予測

『JWA統合気象予測』は、日本気象協会が自信をもって提供する、高精度な気象予測です。例として、2022年12月18日の新潟県での24時間累積降雪量の事例を上記の図1に示します。降雪の範囲・量ともに、観測値(アメダス)とよく一致していることが分かります。
『JWA統合気象予測』の予測精度を、2022年12月~2023年1月(2カ月間)の気象庁予測と比較します(図2)。グラフは、気象庁予測の降雨降雪の一致率(※雨や雪を予測した際に、実際に降っていたかを示す指標)を100%とした際の、『JWA統合気象予測』の一致率を「改善率」として表しています。降雨降雪の捕捉率(※雨や雪が実際に降った際に、予測できていたかを示す指標)についても同様です。「改善率」が100%よりも大きければ大きいほど、『JWA統合気象予測』の精度が良いことを示します。一致率については「改善率」はおおむね100%程度で推移し、気象庁予測と同程度の精度です。一方で、捕捉率については「改善率」が最大で約210%を示し、降雨降雪の見逃しが大幅に軽減された精度の高い予測になりました。『JWA統合気象予測』は降雨や降雪に対して、空振りになることも、見逃すことも少ない、バランスの良い予測を実現しています。
 

図2:予測精度の比較グラフ

 

※ここでは、気象庁が提供している天気の推計値である推計気象分布を正解とし、時間ずれを考慮しない1時間ごとの降雨降雪の有無の精度で比較しています。気象庁予測は、図の予測時間36時間先までがMSMガイダンス[注1]予測値、48時間先以降がGSMガイダンス[注2]予測値によるものです。対象地点は、全国56カ所の管区気象台および地方気象台としています。

○特徴2:高頻度な気象予測

『JWA統合気象予測』は、高頻度に予測を提供しながらも予測傾向の変化が少ない気象予測です。78時間先までの予測値は1日24回、345時間先までの予測値は1日4回更新します。このように頻繁に予測を更新しながらも、予測傾向の変化やブレが少ない安定した予測を実現しました。これにより、早い段階からの意思決定に気象予測を利用しやすくなりました。
 

 

○特徴3:高解像度な気象予測

『JWA統合気象予測』は2週間先まで1 kmメッシュで提供する気象予測です。きめ細かい予測データにより、さまざまな事業に気象予測を利活用できます。

 

 

『JWA統合気象予測』の手法

『JWA統合気象予測』は、「補正処理」と「統合化処理」を行うことで高精度な予測を実現しています。

『JWA統合気象予測』には、日本気象協会独自の予測モデルであるSYNFOS[注3]や、国内外複数の気象機関の予測モデルを利用しています。モデルにはそれぞれ「予測の癖」が存在します。各モデルをそのまま利用するのではなく、過去のデータや気象学的な知見を用いて「予測の癖」を直し、精度の良い予測になるよう「補正処理」を行います。続いて、「補正処理」を行った各モデルの「予測精度」に応じた「統合化処理」を行い精度の高い予測を算出します。
 

「予測の癖」や「予測精度」は季節や地域によって日々変化します。変化に追随すべく、これらの「補正処理」と「統合化処理」を、日々自動的にアップデートするシステムを構築し『JWA統合気象予測』に導入しています。

 日本気象協会は、今後も継続的な予測精度の検証と向上に努め、安全・安心・快適な社会づくりに貢献していきます。

以上
 

注1

MSMガイダンスとは:
日本および近海の大気を対象とした気象庁の数値予報モデル(Meso-Scale Model)の結果を、予報に必要な要素へ客観的に翻訳したもの。(参照 https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/yougo_hp/shiryo.html

注2

GSMガイダンスとは:

地球全体の大気を対象とした気象庁の数値予報モデル(Global Spectral Model)の結果を、予報に必要な要素へ客観的に翻訳したもの。(参照 https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/yougo_hp/shiryo.html

注3

SYNFOS(しんふぉす)とは:

2005年から提供している日本気象協会独自の数値予報モデル。1988年に日本気象協会が開発した国内民間気象会社初の独自数値予報モデル「ANEMOS(あねもす)」の次世代モデル。

タイトルとURLをコピーしました