MRIは、公益財団法人日本財団(所在地:東京都港区、会長:笹川陽平、以下 日本財団)が実施する無人運航船プロジェクトMEGURI 2040における「無人運航船の実証実験にかかる技術開発共同プログラム」(※1、以下 MEGURI)に参加し、国内30社で構成されるDesigning the Future of Full Autonomous Ship(以下 DFFAS)コンソーシアム(※2)の一員として、無人運航システムのコンセプト設計・出口設計(事業モデル検討等)・プロジェクト管理などの役割を担いました。同コンソーシアムは、2022年2月26日から3月1日にかけて、東京港~津松阪港の区間で無人運航船の実運用を模擬した実証実験に成功しています(※3)。
2. 概要
日本オープンイノベーション大賞は、わが国の未来を担うイノベーション創出の加速を目指し、産学連携、大企業とベンチャー企業との連携、自治体と企業との連携など、組織の壁を越えて新しい取り組みに挑戦する「オープンイノベーション」の模範的なプロジェクトを政府が表彰するものです(※4)。このたび、MEGURIプログラムによる「無人運航船」の活動が国土交通分野における科学技術の振興の視点から特に顕著な取り組みとして認められ、株式会社日本海洋科学、株式会社MTI、日本郵船株式会社とMRIがコンソーシアムを代表して、2月15日に内閣府にて「国土交通大臣賞」の表彰を受けました(※5)。
本受賞では、海運・造船・舶用メーカー等の海事産業に限らない多種多様な30社(協力会社を含めると60社以上)のオープンイノベーションコンソーシアムを形成し、組織・分野の壁を乗り越え協調して社会実装に向けた活動を進めた点が評価されました。特に東京湾という「混雑海域」において、他船や障害物との衝突回避のための「見張り」機能の自動化・高精度化、陸上からの監視機能など、安全な自動航行を実現するためのシステムを構築した意義は大きく、多くの船舶が往来する日本近海での実用化に向けて大きく前進したといえます。
3. 今後の展開
船舶の自動化・無人化技術は、海運の労働力不足解消・労務負担軽減、海難事故防止、離島航路維持等、さまざまな社会課題の解決につながります。その社会実装のためには、技術開発による安全性と経済性の確保に加え、新たなルールや保険などの環境整備、社会受容性の向上もあわせて必要であり、オープンイノベーションはその鍵となります。MRIは、引き続き関係者・各機関と連携し、本技術の社会実装に向けた活動に取り組んでいきます。
第5回 日本オープンイノベーション大賞 国土交通大臣賞 授賞式の様子
DFFASコンソーシアムで開発した無人運航システムの概要
(陸上側システムから船舶の航行状況を監視し、有事には遠隔操船に切り替えも可能)
出所:DFFASコンソーシアム提供
※1:世界に先駆けて内航船における無人運航の実証試験を成功させることで、本分野の技術開発へのさらなる機運を醸成し、その結果日本の物流および経済・社会基盤の変革を促進するべく、当該技術開発を支援するために創設した助成制度。
MEGURI2040 ロゴマーク
※2:DFFASコンソーシアム参加会社(順不同)
(株)日本海洋科学 [代表会社] 、(株)イコーズ、(株)ウェザーニューズ、EIZO(株)、(株)MTI 、日本電信電話(株)、(株)NTTドコモ、NTTコミュニケーションズ(株)、近海郵船(株)、(株)サンフレム、(株)三和ドック、ジャパンハムワージ(株)、ジャパン マリンユナイテッド(株)、スカパーJSAT(株)、鈴与海運(株)、東京海上日動火災保険(株)、東京計器(株)、ナブテスコ(株)、日本海運(株)、日本郵船(株)、日本シップヤード(株)、日本無線(株)、BEMAC(株)、 (株)pluszero、古野電気(株) 、本田重工業(株)、三浦工業(株)、三井住友海上火災保険(株)、(株)三菱総合研究所、(株)YDKテクノロジーズ
DFFASコンソーシアム ロゴマーク
※3:MRIニュースリリース(2022年3月1日)
三菱総合研究所が参加する無人運航船プロジェクト「MEGURI2040」にて無人運航システムの実証実験を実施
https://www.mri.co.jp/news/press/20220301.html
※4:内閣府ウェブサイト「日本オープンイノベーション大賞について」(2023年2月7日閲覧)
https://www8.cao.go.jp/cstp/openinnovation/prize/index.html
※5:国土交通省報道発表資料(2023年1月24日)
第5回日本オープンイノベーション大賞「国土交通大臣賞」の受賞者が決定しました! 「無人運航船の未来創造~多様な専門家で描くグランド・デザイン~」が受賞
https://www.mlit.go.jp/report/press/sogo17_hh_000139.html
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