- ■開設の経緯
がん患者の年間死亡者数の内、約30%が消化管のがんで亡くなっています。この数値は、日本および世界においてがんの死亡者の中で最も大きな数値です。がんは早期に発見できれば多くの場合、完治が可能ですが、発見が遅れると命にかかわります。
胃がんによる死亡率低下を目的とした公的医療サービス「対策型胃がん検診」において、2016年から内視鏡検査を選択できるようになりました。内視鏡検査は早い段階で消化管のがんを確定診断できる唯一の検査です。
そうした背景から、内視鏡検査の検査数が飛躍的に増加した結果、現在は医師の業務負担の増加と胃がんの見逃しリスクが大きな課題となっています。同時に、内視鏡検査は医師の技量に依存した検査方法であるため、手技の技量差の均てん化も喫緊の課題となっています。
これらの課題に対し、ディープラーニング等の最新のAI技術を医療分野へ応用されることが期待されています。本講座を開設することで、内視鏡検査におけるAI利活用のための研究開発を行い臨床現場で評価し、また、得られた知見を学内・対外的に教育を行うことで医療分野におけるAI人材の育成を目指します。
- ■次世代内視鏡開発講座の概要
講座名 | (和文)次世代内視鏡開発講座 (英文)Next-generation Endoscopic Computer Vision |
開設時期 | 2023年1月1日〜2025年12月31日(3年間) |
代表教員 | 特任准教授 辻陽介 |
両者の役割 | 東京大学: 医師の実臨床の経験に基づいた正確な知識と豊富な経験を活かした次世代内視鏡AIに関する研究の実施、研究総括、臨床情報の収集およびその解析。 AIM: |
研究内容 | 最新の画像解析技術により医師の診断を支援するソフトウエアプログラムの研究開発、及び臨床評価を実施する。
① 内視鏡医の知見を搭載したAIを開発し、内視鏡診断の均てん化や見逃し低減といった内視鏡診断における質の向上を目指す。 ② AIを用いた次世代の内視鏡診断・治療法確立のため、実臨床の経験に基づいたデータ取得や加工・分類を行う。 ③ 内視鏡AIの社会実装において課題となる少数データ、アノテーションコスト等に関する課題を画像解析技術の観点から解決する。 |
- ■講座代表教員 辻陽介について
辻 陽介(つじ ようすけ)医師 医学博士
【所属・役職】
東京大学大学院医学系研究科/
医学部附属病院22世紀医療センター
次世代内視鏡開発講座 特任准教授
【概略】
2004年東京大学医学部医学科卒業。2014年、東京大学大学院医学系研究科医学博士課程修了。東京大学医学部附属病院消化器内科、NTT東日本関東病院消化器内科勤務を経て、2015年より東京大学医学部附属病院消化器内科助教。2016年より杏林大学消化器内科非常勤講師。2022年より東京大学医学部附属病院消化器内科特任講師(病院)、現在に至る。
- ■AIメディカルサービスについて
AIMは「世界の患者を救う~内視鏡AIでがん見逃しゼロへ~」をミッションに掲げる、医療AIスタートアップ企業です。内視鏡医療は日本が最先端であり、質・量ともに世界最高水準のデータが蓄積されております。なかでも、AIMは100施設以上の医療施設と共同研究・製品開発を進めています。当社は内視鏡AIを医療現場にいち早くお届けすることで、がんの見逃しを減らし、世界の患者を救うことを目指しています。
- ■代表取締役CEO 多田智裕について
多田 智裕(ただ ともひろ)医師 医学博士
【所属・役職】
医療法人ただともひろ胃腸科肛門科 理事長
株式会社AIメディカルサービス 代表取締役CEO
【概略】
1996年東京大学医学部医学科卒業。東京大学医学部附属病院外科研修医として勤務。2005年に東京大学大学院医学系研究科博士課程修了。2006年よりただともひろ胃腸科肛門科を開業。2012年より東京大学医学部腫瘍外科学講座客員講師。2017年株式会社AIメディカルサービスを設立、代表取締役CEOに就任し、現在に至る。
会社概要 ――――――――――――――――――――――――――――――
会社名 :株式会社AIメディカルサービス
所在地 :〒170-0013 東京都豊島区東池袋1丁目 18-1 Hareza Tower 11F
代表者 :多田智裕
設立 :2017年9月1日
事業 :内視鏡の画像診断支援AI(人工知能)の開発