- イチゴに小麦粉、牛乳も 「クリスマスケーキ」に物価高が直撃、前年から約200円アップに
- 原材料価格の上昇が続き、クリスマスケーキの値付けは「難しい」と指摘も
[注]全国の大手コンビニエンスストア・百貨店・スーパー・洋菓子店などのうち、前年と価格が比較可能なオリジナルケーキブランドを対象に調査を行った。比較対象は100社・ブランド。標準的な苺ショートケーキ・5号サイズ(ホール)、または目玉ケーキの税抜価格
イチゴに小麦粉、牛乳も 「クリスマスケーキ」に物価高が直撃、前年から約200円アップに
物価高騰や円安による値上げの波が「クリスマスケーキ」にも及んでいる。全国の大手コンビニエンスストアや百貨店、スーパー、著名な洋菓子店など計100社で販売される2021-22年シーズンで比較可能なクリスマスケーキの価格(苺ショート・5号サイズ、税抜)を調査した結果、今年の平均価格は前年(3831円)から約5%・209円アップした4040円となった。背景には、店頭価格ベースでも1.5倍に上昇した小麦粉(強力粉)のほか、イチゴなどのフルーツや砂糖、牛乳、鶏卵など原材料のほとんどが値上がりしていることがあげられる。また、10%程度値上がりしたテイクアウト用の化粧箱や食品フィルムなどの資材費、さらに電気・ガス代、物流費なども高騰が続いており、前年価格から10%以上の大幅な値上げに踏み切ったケーキが目立った。他方で、前年から価格を据え置いたケーキもあり、商品の値付けに苦戦する様相もみられた。
前年から価格が上昇したケーキをみると、値上げ幅として最も多いのは「200円台」で23社に上った。特に量販店やスーパーなどで販売される3000円台のケーキに多く見られた。次いで多いのが「300円台」の19社で、イチゴやチョコレートを多く使用した4000~5000円台の中高価格帯ケーキが目立つ。以下「100円台」(16社)、「500円台」(10社)、「400円台」(5社)と続き、調査対象の100社のケーキのうち79社で値上げが判明した。原材料費の高騰を要因にあげる企業が多く、「今回の値上げは最低ライン」など、今後もやむを得ず価格転嫁せざるをえないとった声が多かった。また、値上げのショックを和らげるためイチゴを増量したものの、「粗利益を削っておりかなり厳しい」といった声も聞かれた。
一方で、店頭価格が前年から変わらない「据え置き」も21社確認できた。多くのケーキが値上がりするなか、コスト削減などで対応し「戦略的に値上げしていない」などのケースがみられた。
原材料価格の上昇が続き、クリスマスケーキの値付けは「難しい」と指摘も
クリスマスケーキは平均価格が前年から約200円アップするなど値上げ傾向が鮮明となった。クリスマスケーキは2~3日で多くの販売量が確保できるなど収益面でメリットも多い反面、イチゴなど生もので日持ちしない原材料が多く、事前の量産が難しい面もある。そのため、昨今続く物価高の影響など、原材料価格の動向が読めないなかでの価格設定は難しく、価格を据え置いたケーキと値上げを実施したケーキ、値上げ幅などで動向にばらつきがみられた。
一方、今年1年間で値上げされた食料品は約2万800品目に上り、来年も4000品目超の値上げが控えている。こうした食品値上げにより、世帯平均で年間約7万円、平均支出額の約2%に相当する家計負担増が見込まれ、今冬シーズンは家計に厳しい冬となる見込みだ。そのため、嗜好性の強いクリスマスケーキは価格帯や値上げの有無によって傾向が分かれることも予想され、年に1度の特別なケーキの値上げをめぐる企業と消費者の「駆け引き」が続きそうだ。