IPコラボによる効果検証_コラボするIPによって獲得するユーザーのデモグラフィックは大きく異なる

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ゲームアプリの運営サービスにおいて、異種IPとのコラボ施策は基本的なビジネスモデルとなっており、アプリによっては、年に10回以上コラボ施策を行うものもあります。IPコラボを行うメリットとしては、「人気IPや注目IPとコラボすることによって話題性が確保できる」ことや「既存ユーザーが興味のあるIPとコラボを行うことで更にエンゲージメントを高める」、「まだリーチできていない新規ユーザーを獲得する」などがあげられます。

今回は、コラボ施策を行うことが多い『コトダマン』が2021年に実施したIPコラボから、「鬼滅の刃」「五等分の花嫁」「東京リベンジャーズ」をピックアップして、『コトダマン』にどのような影響を与えたのか見ていきたいと思います。

株式会社ゲームエイジ総研(代表取締役社長:光井誠一)は、国内唯一の「ゲームビジネスに特化したマーケティングリサーチ&コンサルティングファーム」として様々な分析を行っています。ゲーム市場規模をまとめた定期刊行レポートとして「Monthly Game Trend Radar(マンスリー・ゲームトレンドレーダー)」の発刊、プラットフォーム別のアクティブユーザー数や、ネットワークサービスでのゲームに関する情報取得などのデータも収集しております。また弊社が運用しているマーケティングデータサービス「iGage(アイゲージ)」では約240万名のスマートデバイスのユーザーのログを自動取得しており、動向やトレンドなども観測しております。

ゲームアプリの運営サービスにおいて、異種IPとのコラボ施策は基本的なビジネスモデルとなっており、アプリによっては、年に10回以上コラボ施策を行うものもあります。IPコラボを行うメリットとしては、「人気IPや注目IPとコラボすることによって話題性が確保できる」ことや「既存ユーザーが興味のあるIPとコラボを行うことで更にエンゲージメントを高める」、「まだリーチできていない新規ユーザーを獲得する」などがあげられます。

弊社のアプリログ自動集計/分析システム【iGage】(アイゲージ)は、アプリのダウンロード数をカウントするのではなく、dailyのアクティブ人数(最小単位は1時間単位)を取得しているので、サービスがローンチした週から[新規][継続][離脱][復帰]ユーザーの変化や、性/年齢別の動向の詳細を把握することができます。

今回は、コラボ施策を行うことが多い『コトダマン』が2021年に実施したIPコラボから、「鬼滅の刃」「五等分の花嫁」「東京リベンジャーズ」をピックアップして、『コトダマン』にどのような影響を与えたのか見ていきたいと思います。

iGageの詳細はこちら:https://www.gameage.jp/igage/

■「鬼滅の刃」コラボでは男女ともにユーザーを獲得
はじめに「鬼滅の刃」コラボをみてみます。

2021年2月25日から3月22日まで行われた「鬼滅の刃」コラボでは、特にコラボイベントの最も盛り上がるタイミングである初週に8.4万人の新規ユーザーを獲得しています。また、翌週にあたる3月1日週にも、7.7万人の新規ユーザーを獲得しており、2週を合わせた新規ユーザー獲得数は16.1万人に上りました。【グラフ①】

※セグメントの定義:[継続]は、前週から続けてプレイしているユーザー。[新規]は、今週初めてプレイしたユーザー。[復帰]は、前週はプレイしていなかったが、前々週以前にプレイしており、今週はプレイしているユーザー。[離脱]は、前週はプレイしていたが、今週はプレイしていないユーザーを指します。

では、このコラボ施策でどのようなユーザーが増加したのでしょうか。コラボ開始週のユーザーデモグラフィックをみると、10代から30代の男女はどの世代もアクティブユーザーが増加しています。特に30代のアクティブユーザーの増加率が目立ち、2月8日週と、3月1日週を比較すると、30代男性は2倍近く、30代女性に関しては、4倍以上に増加しました。また、30代に関しては、イベント期間中の継続率も高くなっていることが確認されました。【グラフ②】

■「五等分の花嫁」コラボでは10代男性を獲得
次に「五等分の花嫁」とのコラボをみていきます。

2021年7月5日から7月19日まで開催された「5等分の花嫁」コラボでは、先ほどの「鬼滅の刃」コラボほど多くの新規・復帰ユーザーを獲得はできませんでしたが、それでもイベント初週で新規・復帰を合わせて5万人程度のユーザーを獲得しています。【グラフ③】

特徴的なのはコラボ時のユーザーデモグラフィックの変化で、増加したユーザーの大多数は10代男性ということがわかりました。ゲームアプリのコラボ施策で、極端に一部ユーザー層のみを獲得するということは珍しい事象です。「五等分の花嫁」は他のアプリとのコラボでも10代男性のアクティブユーザー数を大きく伸ばした実績が確認できており、10代男性とのエンゲージメントが非常に高いIPであることがわかります。また、「五等分の花嫁」のアプリゲームである『五等分の花嫁 五つ子ちゃんはパズルを五等分できない。ごとぱず』も、メインユーザー層は10代男性で構成されていることが確認できています。【グラフ④】

■「東京リベンジャーズ」コラボでは女性ユーザーを多く獲得
最後に「東京リベンジャーズ」コラボをみていきます。

2021年8月27日から9月10日まで行われた「東京リベンジャーズ」コラボでは、イベント初週で、新規・復帰を合わせて約8万人。また、8月23日週、8月30日週と続けて3万人以上の新規ユーザーの獲得に成功しています。【グラフ⑤】

コラボ時のユーザーデモグラフィックの変化をみると、増加したのは主に女性層でした。8月9日週と比べると、8月30日週には20代女性は2倍以上、10代女性は3倍以上に増加しています。「東京リベンジャーズ」は、アニメ放映開始とともに女性の人気が非常に高まったこともあり、このコラボ施策で多くの女性ユーザーを獲得できたと推測されます。【グラフ⑥】

 

今回は、『コトダマン』が実施した3つのIPコラボをピックアップし、ファクトデータに基づいたコラボ施策前後のアクティブユーザーの変化を紹介しましたが、IPコラボによってアクティブユーザー数が単純に増加するだけではなく、コラボするIPによって、プレーヤーのデモグラフィックが大きく変化することがわかりました。

ここで重要なのは、サービスを提供する開発/運営会社にとって、どのIPとコラボすると、どの程度アクティブユーザー数を伸ばすことができるのか、企画時にターゲティングしたユーザー層がきちんと獲得できたのか、仮説/検証することではないでしょうか。

長期運営型のモバイルゲームのビジネスにおいては、これまで獲得できていなかった新規ユーザー層を獲得するのか、継続ユーザーの満足度を維持し、離脱するユーザーに歯止めをかけるのか、休眠/離脱していたユーザーを復帰させるのかが重要なポイントとなります。IPコラボレーションの目的は様々ですが、組み合わせるIPがミスマッチであれば、期待効果を得られないだけではなく、開発/運営にかかる人的・時間的投資を失うことにつながります。

弊社は今後も、IPコラボや様々なプロモーション施策が、ゲームプレーヤーの構成にどのような影響を与えるのか、膨大なログデータの分析に基づいてマーケティングサポートしていきたいと考えています。
 

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