日本の主要産業の1つである自動車産業が、カーボンニュートラルに向けた動きの中で存在感を示していくことの一助となれば幸いです。
カーボンニュートラルの実現に向け、自動車(特に乗用車)におけるBEV化の波が先鋭化し不可逆的な動きとなっている。しかし、「BEV一辺倒」に対して欧州の各種ステークホルダーが異なる主張をするなど、必ずしもBEVを唯一解と言い切れない状況が見え始めている。
「カーボンニュートラル=BEV」といった等式にフォーカスが集まりやすいが、本スタディでは、自動車のカーボンニュートラルを構成する要素を、地域毎の観点も含めて俯瞰的に整理した。
●GHG排出量分布(現状把握):欧州は過去30年でGHG排出量の削減を果たした数少ない地域のひとつであるが、欧州の中で運輸部門のみGHG排出量が増加しており、自動車のカーボンニュートラルを推し進める1つのモチベーションとなっている
●エネルギー供給の状況:発電がCO2フリーであることがBEV化を進めるうえで重要であるが、発電のエネルギーミックスは国により大きく異なり、必ずしもCO2フリー発電は進んでない。また、電力をBEVに供給する充電インフラの整備状況も国により大きく異なり、カーボンニュートラルを実現する手段としてのBEV受け入れ体制は、国により大きく異なる
●パワトレ別のエネルギー効率:パワトレの効率を多様な観点で比較すると、燃料製造時のエネルギー投入量に対する駆動エネルギー効率はBEVは優れるものの、同じ駆動エネルギーを発生させるために搭載すべき燃料の量(体積)が大きいことが液体燃料に劣る
●OEMの対応方針:生産・販売の地域ミックスに違いに加え、モデルミックスの違いなども背景に、BEVを主に据えつつも「BEV一辺倒」に対するスタンスの違いも垣間見える
いずれにしろ、BEV化の流れは止まらないだろう。ただ、従来OEMは自らの事業にとっての最適解(モデルミックス、パワトレ進化、生産・販売地域ミックス、など)を見出してきたが、カーボンニュートラルの実現に向けて、CO2フリーエネルギーの安定供給や充電インフラの整備など多様なエコシステムが持続的に成立する解を見出すことが求められるなど、方程式の変数は増えている
※本スタディは下記よりご覧ください
https://rolandberger.tokyo/rolandberger-asset/uploads/2022/09/Roland_Berger_Mobility_Study_20220921.pdf
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