スペースエントリー株式会社(本社:茨城県つくば市、代表取締役CEO:熊谷亮一)は、茨城県「令和8年度 戦略分野新製品開発促進事業補助金」に採択されました。
本事業では、2030年前後に本格化が期待される民間宇宙ステーションにおけるにおける宇宙Physical AI(フィジカルAI)時代を見据え、宇宙ロボットの「通信」と「動作制御」を支える基盤技術の開発を推進し、宇宙で活躍するロボットのプラットフォームの構築に取り組みます。
【民間宇宙時代に求められる「宇宙ロボットの共通基盤」】
現在、宇宙開発は国家主導から民間企業が参入する時代へと大きく変化しています。
2030年前後には、国際宇宙ステーション(ISS)の運用終了後、民間宇宙ステーションを中心とした新たな宇宙経済圏の形成が期待されています。今後、宇宙空間では研究開発だけでなく、施設建設、保守点検、物流、製造など、さまざまな分野でロボットの活用が不可欠になると考えられています。
一方で、現在の宇宙ロボット開発では、機体ごとに宇宙と地上間通信における遅延対策技術や微小重力下における制御技術が個別に構築されており、多様なロボットが共通して利用できる通信・制御基盤は十分に整備されていません。当社は、この課題を解決するため、宇宙ロボットの「通信」と「制御」を支える基盤技術の開発に取り組みます。
【2つの技術で宇宙ロボットプラットフォーム構築へ】
①「猫の着地」の原理を応用した燃料不要の姿勢制御シミュレーション技術(世界初*)
宇宙空間でロボットが姿勢を変更する際、従来はガスなどの推進剤を噴射する方式が用いられてきました。しかし、推進剤には使用量の制限があり、長期間の宇宙活動における運用寿命やメンテナンス性に課題があります。また、噴射によって発生するガスが宇宙空間に設置されている他のカメラやセンサーへ影響を与える可能性もあります。
当社は、微小重力環境下におけるロボット制御への応用が期待される、神戸大学の久保勇貴特命教授が研究を進める「非ホロノミック姿勢制御」に着目。高所から落下した猫が空中で身体をひねり、自らの身体運動だけで姿勢を制御して着地するように、ロボット自身の手足の動きによって姿勢を変化させる原理を宇宙ロボットへ応用します。
本事業では、この非ホロノミック姿勢制御を活用し、燃料を必要としない人型ロボットの姿勢制御シミュレーション技術の試作・実証を進めます。本技術が確立させ、宇宙ロボットの長寿命化、運用コスト低減、より安全で柔軟な宇宙活動の実現を目指します。
② 宇宙特有の通信遅延に対応する遠隔操作技術
宇宙空間にあるロボットを地上から操作する場合、通信経路による遅延(タイムラグ)が発生します。
地上では問題にならないわずかな遅延でも、宇宙ロボットの精密操作においては、操作性の低下や安全性への影響につながる可能性があります。
本事業では、軌道上通信環境を地上で再現する実験環境を構築し、通信遅延やデータ欠損が発生する状況下でも、安定した遠隔操作を可能にする通信制御アルゴリズムを開発および、対応する操作端末・通信制御モジュールの試作と実証を行います。これにより、将来的には専門知識を持つ一部の操作者だけではなく、企業や生活者など多様な人が宇宙ロボットを活用できる環境づくりを目指します。
【代表取締役 熊谷CEOコメント】
私たちが目指しているのは、一台の宇宙ロボットを作ることではありません。将来、月面や民間宇宙ステーションなどで、何百、何千という宇宙ロボットが安全に活動する時代を支える『宇宙ロボットプラットフォームの基盤』を日本から生み出すことです。
現在の宇宙開発は、大きな転換期を迎えています。これからは、一部の専門家や大企業だけではなく、多くの企業や人々が宇宙に関わる時代になります。そのためには、誰もが利用できる通信・制御基盤が必要不可欠です。今回開発する姿勢制御技術と遠隔操作技術は、その未来を実現するための重要な一歩です。自然界の知恵から学び、最先端の宇宙技術へ応用することで、日本発の宇宙ロボットプラットフォーム構築に挑戦してまいります。
【今後の展望】
2026年内に燃料不要の姿勢制御シミュレーション技術および宇宙通信遅延に対応する遠隔操作技術の試作・実証を完了させる計画です。その後、試作機の高度化や宇宙環境を想定した検証を進め、2030年前後の民間宇宙ステーションでの活用を見据えた実用化を目指します。さらに、将来的には宇宙空間におけるPhysical AI(フィジカルAI)の実装基盤として発展させることで、AIとロボットが自律的に活動する新たな宇宙産業の創出に貢献してまいります。また、本技術は宇宙分野に限らず、災害対応、危険環境での遠隔作業、インフラ点検など、地上におけるロボット活用への応用も期待されています。
スペースエントリーは、宇宙ロボットが当たり前に活躍する未来に向けて、「つながる技術」と「動かす技術」の共通基盤を構築し、日本発の宇宙ロボットプラットフォームの実現を目指します。
*世界初(2026年7月時点、当社調べ):非ホロノミック姿勢制御を用いた無重量空間における人型ロボットの姿勢転換シミュレーション技術



