
第1章 本リリースの背景と目的
サイカルトラスト株式会社(本社:東京都港区、代表取締役:須江 剛、以下:サイカルトラスト)は、この度、生成AIやAIエージェントを開発する際に利活用する「大量のAI学習に用いるデータ(以下、「学習データ」)」の信頼性に対し、複数の異なる主体が運営する『マルチAI』により重み付け評価を実施し、当該評価情報をブロックチェーンへ自動記録する「鑑定証明システム」に関する特許(以下、「本特許」)を取得しました(特許:第7755716号)。なお、「本特許」は既存特許(特許:第7477937号)の優先権出願によるものです。

第2章 総務省の「生成AI評価基盤」と「本特許」との関係性
第1節 総務省が構想する7つの評価項目
第1項 評価項目の整理
総務省は、生成AIやAIエージェントから出力されるアウトプットを安全に利活用するため、次の7つの観点から評価・検証する基盤構築を検討しています(『日本経済新聞』 2025年11月15日電子版https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA1507A0V11C25A1000000/)。
(1)差別的な表現や、プライバシー情報が含まれていないか
(2)犯罪につながる内容が含まれていないか
(3)誤情報や、根拠を欠く内容ではないか
(4)一方的ではなく、バランスのとれた内容か
(5)日本の文化・価値観に忠実な内容となっているか
(6)利用者をだますような内容になっていないか
(7)これまでに想定されていない未知のリスクにも対応できるか
これらは、政府・自治体のみならず、金融・医療・教育など、社会インフラで生成AIやAIエージェントを利活用する際に欠かせない基本的なチェック項目です。
第2節 「本特許」がカバーする技術範囲
第1項 「マルチAI」による多角的なチェック
「本特許」は、上記7つの評価項目すべてを検証可能とする特許を取得いたしました。
具体的には、
・複数の異なる主体・異なるモデルが運用するAI(=「マルチAI」) による多角的な評価・検証
・その評価・検証結果の「スコアリング(定量化)」または「重み付け」をブロックチェーンへ自動記録
といった仕組みを備えています。
第2項 評価プロセスと結果をブロックチェーンに自動記録
さらに「本特許」では、
(1)評価対象となった生成AIやAIエージェントの出力結果
(2)上記(1)を評価・検証した「マルチAI」の特定
(3)各「マルチAI」の評価・検証理由、スコアリング(定量化)算定式、その他重み付け評価基準
といった一連のプロセスと結果を、改ざんできない形でブロックチェーン上に記録するところまでを特許スコープとしています。

第3章 プロヴェナンス(来歴・出自・出所)付き「マルチAI」評価の仕組み
第1節 「マルチAI」で何ができるか?
第1項 「マルチAI」の役割
「本特許」が想定する「マルチAI」は、例えば次のような役割を担います。
◆ テキスト・画像・音声・動画など、生成AIやAIエージェントの出力結果の自動チェック
◆ セキュリティ・法令遵守・倫理・文化的適合性など、異なる観点ごとの各専門による「マルチAI」
による評価・検証
◆ 出力の危険度・偏り・不完全さに関するスコアリング(定量化)とリスク分類
◆ 評価・検証結果の要約・説明文の生成(人間が理解しやすい形への変換)
第2項 「学習データ」の「マルチAI」評価および検証
また、「本特許」では生成AIやAIエージェントが学習に用いるデータセット(「学習デ―タ」)そのものについて、大きく下記3点の処理を行うことが可能です。
◆ 「学習データ」に含まれる情報源・取得経路・加工履歴を整理(プロヴェナンス情報の付与)
◆ 「偏り」、「欠落」、「攻撃的・有害コンテンツの混入」、その他「ハルシネーション誘発要因」
などのリスク評価・検証
◆ 各「マルチAI」の評価・検証結果を統合し、「学習データ」ごとの信頼度指標を算出
第3項 「マルチAI」ではなく、「単一AI」評価で生じる「単一障害点問題(Single Point of Failure)」
「単一AI」だけで評価・検証を行う場合、下記のような「単一障害点問題」が発生する可能性があり、真正性度合いが低下するリスクがあります。
◆ モデルの癖や訓練データの偏り
◆ 運営主体や当該主体の株主等への過度な依存
◆ 攻撃者による「単一AI」のみに特化した狙い撃ち攻撃
「本特許」は、複数の独立したAI(=「マルチAI」)による合議制評価を前提とし、それぞれの評価結果を重み付けした上で統合することにより、当該「単一障害点問題」を構造的に解決する設計となっています。
第2節 なぜ「マルチAI」と「ブロックチェーン=Web3」を組み合わせる必要があるのか?
第1項 耐改ざん性を完全に担保できるブロックチェーン技術
「マルチAI」がどれだけ高度になっても、評価・検証結果やログが後から改ざんされてしまえば意味がありません。ブロックチェーンは、「時系列に連鎖したブロック構造」および「多数のノードによる分散型合意」により、過去の記録を事実上書き換え不可能な形で保持できます。
「本特許」は、「マルチAI」による評価・検証プロセスと結果を当該ブロックチェーン上に記録することで、「いつ・どのAIが・何を根拠に・どう判断したか」を永久的に検証可能にすることが可能となります。
第2項 「単一障害点問題」を解決する「最上位レイヤ」としてのブロックチェーン技術
先述の通り、「マルチAI」による評価・検証を行っても、その結果やログを単一のデータベースで管理してしまえば、そこが再び「単一障害点」になります。
ブロックチェーンは、
・異なる主体が運営する複数ノードに記録が分散される
・合意形成を経なければ記録が確定しない
などという性質から、物理的・組織的に「単一障害点」を排除できる最上位のトラストレイヤです。「本特許」では、「マルチAI」による評価・検証の「最終的な土台」としてブロックチェーンを位置付けています。
第3項 自己主権性と選択的開示を両立するブロックチェーン技術
生成AIやAIエージェントの評価・検証や「学習データ」には、
・企業の機密情報
・個人情報・プライバシー
・国家安全保障上の機微情報
などが含まれ得ます。ブロックチェーンを用いることで、
・データの「存在証明(ハッシュ)」
・実データそのもの
を切り離し、「何を誰に、どこまで開示するか」を自己主権的に制御しながら、真正性だけは第三者が検証できる構造を実現できます。「本特許」で想定するアーキテクチャは、この自己主権型かつ選択的開示を可能にする「トラスト基盤」としてブロックチェーンを用いるものです。
第4項 耐量子暗号への橋渡し期間を支える基盤としてのブロックチェーン技術
近い将来、量子コンピュータの進展により、現在の暗号方式の多くは見直しが必要になります。ブロックチェーンは、
・耐量子暗号への切り替え
・新たな署名方式や鍵管理方式への移行
といった将来の変更を、ブロックチェーンの継続性を保ったまま段階的に行える構造を保持しています。「本特許」は、量子耐性技術が本格実装されるまでの過渡期を安全に乗り切る「橋渡し基盤」としてのブロックチェーン技術の利活用も視野に入れた設計となっています。

第4章 「サイバー対処能力強化法及び同整備法」への貢献
第1節 官民連携における「信頼できる情報共有」への貢献
第1項 インシデント情報・ログの真正性担保
「本特許」を中核とするアーキテクチャは、
・官民で共有されるインシデント情報
・ログ・設定情報・「SBOM」
などについて、プロヴェナンス付きでブロックチェーンに記録し、後から改ざんされない・改ざんできない「共通の前提情報」として扱うことを可能にします。
第2項 単一の評価軸・用語での相互理解
官民の多様な組織が異なる基幹システムを用いていても、「どのデータが、どの『マルチAI』によって、どう評価されたか」が共通のフォーマットで提示されるため、脅威の深刻度評価・検証や対応優先順位づけを、同じ土台で議論できるようになります。
第2節 分析(AI)レイヤへの貢献
第1項 「ガバメントAI」の「オラクル問題」解決策
能動的サイバー防御の運用においては、
・「どのようなデータセットに基づき」
・「どのAIが」
・「どのようなロジックで」
評価・検証したかが不透明なままでは、政府として対処行動の正当性・説明責任を果たせません。「本特許」は、「ガバメントAI」が用いる「学習データ」のプロヴェナンスと「マルチAI」による合議評価を一体的に記録・検証可能とすることで、「ガバメントAI」の判断に対する「技術的な裏付け」を提供します。
第2項 将来のAIモデル更新にも耐える分析基盤
AIモデルや運営主体は時間とともに変化しますが、
・プロヴェナンス付きデータ
・「マルチAI」による評価・検証の記録
をブロックチェーン上に残すことで、モデルや運営主体が変わってもロジックと証跡は一貫性を保つ分析レイヤを構築できます。
第3節 システム防護と説明責任の強化
第1項 「何が本物か」を押さえた上での対処判断
「本特許」および弊社特許群で構成される「トラスト基盤」は、
・正規の構成・設定・「SBOM」などを【基準状態】として記録
・【現在の状態】との【差分】を検出
・【差分】に対する評価・検証を「マルチAI」で行い、その過程と結果をブロックチェーンに記録
という一連の流れを、改ざん不可能な形で残すことを可能にします。
第2項 能動的サイバー防御の発動とその後の検証
上記第4章・第3節・第1項により、
「なぜ、そのタイミングで、その対象に対し、その無害化措置を実行したのか」
という問いに対し、技術的にも法的にも耐えうる証拠を提示できるようになります。すなわち、「本特許」は、「サイバー対処能力強化法及び同整備法」が目指す能動的サイバー防御の実装とガバナンスの両立に対し、「マルチAI評価・検証」と「ブロックチェーン技術」を組み合わせた技術的基盤を提供するものとなります。

第5章 今後の展開
第1節 政府・官庁・基幹インフラ事業者などとの共同評価・検証
サイカルトラストは、「本特許」および既に取得している多くの特許群を核として
・政府・官庁・基幹インフラ事業者・通信事業者などとの実証・共同研究
・「国際標準規格(ISO/TC307 26345)」との整合を図った実装ガイドラインの策定
を進めて参ります。
第2節 政策・国際標準化との連携
「サイバー対処能力強化法及び同整備法」が掲げる能動的サイバー防御の実効化、並びに政府が推進する「国際標準化」、「オープン&クローズ戦略」などとも連携しつつ、
・日本初の信頼できる「ガバメントAI」評価・検証基盤
・国際的に通用するプロヴェナンス付きデータ利活用モデル
の構築に貢献して参ります。

第6章 サイカルトラストに関しまして
(1)会社概要
極めて重要性の高い分散型台帳技術(DLT)におけるブロックチェーン技術を利活用し、包括的なブロックチェーンソリューションを「国際標準規格(ISO/TC307)」として昇華させることに邁進している企業です。
【公式Webサイト】

【加盟団体】
・「国際標準規格(ISO/TC307)」:国内委員
・「ブロックチェーン国際標準活動活性化研究会」
・国際半導体製造装置材料協会(SEMI):関連会員
・一般社団法人 ジャパン・コンテンツ・ブロックチェーン・イニシアティブ(JCBI):会員企業
・一般社団法人 ブロックチェーン推進協会(BCCC):会員企業


(2)事業内容
① 「鑑定証明システム」導入支援事業
(ア)「鑑定証明システム」とは?
「鑑定証明システム」とは、
・ブロックチェーン(追跡可能性、耐改ざん性、その他、透明性を半永久的に担保する技術)
・NFT(非代替性トークン)
・DID(Decentralized ID:分散型ID)
・VC(Verifiable Credentials:検証可能な資格情報)
・AI(Artificial Intelligence:人工知能)
・合意形成(ステークホルダー(多様な利害関係者)の意見一致を図ること)
・ゼロ知識証明(情報自体を明らかにすることなく、特定情報についての知識を持っていることを証明)
・ゼロトラスト(「何も信頼しない」を前提に対策を講じるセキュリティの考え方)
・マルチシグネチャー認証(複数の暗号技術を必要とするセキュリティ技術)
上記9つの特徴を利活用し「バリューチェーン」および「サプライチェーン」を”連結担保”することで「製品」の
・「真正性(真贋性)担保(情物一致・デジタルツイン・RWA:Real World Assets)」
・「サプライチェーン透明化」
・「カーボンフットプリントの信ぴょう性」
等々を完全に保証する“Web3×AI” 真正性(真贋性)担保グローバルエコシステムのことをいいます。


(イ)「鑑定証明チップ」とは?
「鑑定証明チップ」とは、通常の「ICチップ」ではなく、唯一無二の「暗号技術」を付与した「ICチップ」のことをいいます。当該「暗号技術」を付与することにより、たとえ「ICチップ」そのものをコピーできたとしても、別途当該「暗号技術」による「検証」・「認証」が必要となり、一切複製ができない設計となっています。
また、この点が「マルチシグネチャー認証」の認証要素として必要十分条件ともなっており、強固な「真正性担保(情物一致・デジタルツイン・RWA)」、「サプライチェーン透明化」、そして「カーボンフットプリントの信ぴょう性」を実現する手法ともなっております。
本「マルチシグネチャー認証」を利活用しない「シングルシグネチャー認証」のみにおけるそれらは、「不正コピー」、「個人情報保護法違反」、その他「プライバシー侵害」等々さまざまなインシデントを孕んでおり、確度の高い課題解決とはなり得ません。

(ウ)「鑑定証明プラットフォーム」とは?
「鑑定証明プラットフォーム」とは、商品・サービス情報等をブロックチェーンに記録するための専用プラットフォームのことをいいます。「鑑定証明プラットフォーム」を利活用し、「鑑定証明チップ」とブロックチェーンへ商品情報、物流情報、その他、購入者情報(個人情報は匿名化)等を記録することが可能。
本システムにより商品・サービスの真正性(真贋性)、信ぴょう性、真実性、その他透明性を担保するばかりか「オラクル問題」の解決も可能となっております。
【「鑑定証明システム」 公式Webサイト】
<< 日本語 >>

<< English >>

【サイカルトラスト公式 YouTube チャンネル】
<< 「鑑定証明システム」について >>

② ブロックチェーンシステム開発事業
ブロックチェーンとは、複数の場所にデータを分散保持させることにより、変更、削除、その他改ざんができないようにする仕組み(分散型台帳)のことをいいます。サイカルトラストはブロックチェーン技術を利活用し顧客のあらゆるニーズに対応したブロックチェーンシステム開発を実現いたします。
③「サイカルNFTマーケットプレイス」運営事業
「サイカルNFTマーケットプレイス」とは、マーケットプレイス上で「サイバーNFT」を購入すると、当該商品の「フィジカルNFT」付き商品が、「真贋証明」および「サプライチェーン(トレーサビリティ)」を100%担保した状態でお手元に届くという全く新しい形式のマーケットプレイスです。
近年増加傾向にある「NFTマーケットプレイス」は「サイバーNFT」のみを取り扱うそれであるのに対し、「サイカルNFTマーケットプレイス」は、「サイバー財」、「フィジカル財」、そして「サイカル財」の3つの商品・サービス形態に対応した全く新しい形式の「NFTマーケットプレイス」として既存のマーケットプレイスと明確な差別化・競合優位性・参入障壁を担保しております。
「サイカルNFTマーケットプレイス」は「鑑定証明システム」を利活用しているため、特許技術により保護された唯一無二のマーケットプレイスとなります。
【 ”サイカルNFTマーケットプレイス” 公式Webサイト】



