極薄の金属箔を基板 兼 共通正極として、受光面側にペロブスカイト/カルコパイライトタンデム太陽電池を形成し、反対側に全固体電池を形成することで、発電機能と蓄電機能を一体化したセル構造を提唱しました。本論文では、単純に太陽電池に蓄電機能が付加されるだけでなく、最適設計を施すことで、日中の太陽の動きや天候変化、季節変動などによる環境変化に対して、パワーコンディショナーを用いることなく、セル単体で発電・蓄電・放電の電力制御が、高い効率で自動運転化されることを示しました。
PXPは2020年の創業以来、「軽くて曲がる、割れないソーラーパネル」を開発してまいりました。
▽影につよい
壁面ソーラーや、車載ソーラーなどのように局所的に影のかかりやすい環境においては、影となった部分の電力を一体化した蓄電池がアシストすることで、従来型の太陽電池で問題となっている、モジュール全体の発電電力の低下や、ホットスポットの発生などを、バイパスダイオードを用いることなく、抑えることができるようになります。
▽いつでも どこでも だれでも
従来型の太陽電池と比べ、いつでも使えるように蓄電機能を付加すると共に、どこでも使えるように、軽量フレキシブル性や割れ耐性、耐振性、耐熱性を向上しています。また、だれでも使えるように、安価な材料や量産性に優れた製造プロセス、簡便で設置しやすいシステムを採用し、低コスト化を図っています。PXPはクリーンなエネルギーを いつでも どこでも だれでも 自由に使える世界を目指します。
最高技術責任者:杉本広紀は以下の通り話しています。
「ペロブスカイトとカルコパイライトのタンデム太陽電池は、最も理論変換効率が高く、かつ軽量フレキシブル化が可能な組み合わせです。さらに、金属箔基板の優位性を活かして、全固体電池を一体化することで、単純に蓄電機能が付加されるだけでなく、電力制御が自動運転化され絶大な相乗効果が生まれます。ソーラーシステム全体がシンプルで低コストになることで、壁面ソーラーや車載ソーラーなど、これまでに無い、幅広いアプリケーションで、ソーラーエネルギーが手軽に利用できるようになると期待されます。」
【株式会社PXPについて】
ソーラーパネルのデバイス研究と量産技術開発の豊富な経験を持つ技術者が集まり、2020年に相模原市に設立したグリーンテック開発のスタートアップです。
世界初の方法でペロブスカイト/カルコパイライトのタンデム構造を用いた、軽くて曲がる、割れないソーラーパネルの研究開発を行っており、2023年内にも量産性検証用パイロットラインが完成します。
※用語解説
タンデム太陽電池:
分光感度の異なる複数の太陽電池を重ねて用いることで、幅広い波長の光を無駄なく電気に変換する
太陽電池。今回は紫外光から赤い光で良く発電するペロブスカイト太陽電池と、赤い光から赤外光で
良く発電するカルコパイライト太陽電池を重ねて用います。
全固体電池:
電解質に固体材料を用いた蓄電池。耐熱性が高く安全性が高い。
株式会社PXP
設立 2020年7月
代表 亀田 繁明
本社 神奈川県相模原市緑区