本プロジェクトは、ElevationSpaceが2021年に実施したクラウドファンディング「名産品を載せて、東北の民間企業初となる人工衛星を飛ばしたい!」の目標額達成を受け実施するもので、2025年に打ち上げる人工衛星「あおば」に、東北”ゆかりの品”である「ミガキイチゴ」「ヘラルボニーの社名原典」「綿花」の3品を搭載します。
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背景
東北地方は、人口減少や高齢化など様々な社会課題を抱えており、特に首都圏への人口流出による生産年齢人口の減少には歯止めがかからない現状です。また、東日本大震災から12年が経過し、産業活力は徐々に回復し向上しているものの、一部の産業では人手不足や風評被害への対応が今なお必要とされています。
今回、「東北”ゆかりの品”を宇宙に飛ばそう!」プロジェクト(以下、「本プロジェクト」)に参画する4者は、いずれも東北に拠点を置く企業・団体であり、「東北経済を活性化させたい」という共通した想いで事業活動を行っています。
本プロジェクトでは、宇宙、農業、アート、アパレルという異なる領域で事業を展開している4者が協力し、東北の民間企業として初の人工衛星「あおば」に、東北”ゆかりの品”を搭載して宇宙空間に打ち上げることで、東北の経済活性化の象徴になることを目指します。
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「東北”ゆかりの品”を宇宙に飛ばそう!」プロジェクトとは
東北は宇宙との関わりが深い地域です。
青森県には人工衛星データを活用して生産するブランド米「青天の霹靂」があり、秋田県にはJAXA能代ロケット実験場、岩手県にはブラックホール観測に成功した国立天文台水沢、山形県には毎年アストロバイオロジー(宇宙生命科学)キャンプを行う慶応義塾大学先端生命科学研究所、宮城県にはJAXA角田宇宙センター、福島県には宇宙機開発に欠かせない様々な試験を行うことができる福島ロボットテストフィールドなど、東北のすべての県で何かしら宇宙に関連する取り組みが行われています。
そこでElevationSpaceでは、宇宙と関わりの深い「東北」から「宇宙」へ、東北に拠点を置く企業や団体ゆかりの品を打ち上げることが、東北の経済活性化や宇宙産業をはじめとした新産業創出の機運を醸成することにつながると考え、2021年3月~4月にかけてクラウドファンディングを実施し打ち上げへの支援を募集しました。その結果、延べ175人の支援により、目標額500万円を達成し、本プロジェクトを実行することとなりました。
本プロジェクトでは、クラウドファンディングの趣旨に賛同し東北に拠点を構える、ブランド高級イチゴ「ミガキイチゴ」を生産するGRA、障害のある作家のアートライセンスビジネスを手掛けるヘラルボニー、津波で稲作等が困難になった農地で綿を栽培し被災地復興を目指す東北コットンプロジェクトの3者から提供された“ゆかりの品”3品を、2025年にElevationSpaceが打ち上げる人工衛星「あおば」に搭載し、宇宙空間で地球を背景に写真を撮影します。
本プロジェクトを通じて、東北を拠点とする企業・団体の取り組みを全国に届けることで、東北の経済活性化に貢献することを目指しています。
※参考情報
■クラウドファンディングページ
■関連プレスリリース
【東北から宇宙へ】東北大学発宇宙スタートアップElevationSpaceがクラウドファンディングを開始(2021年3月13日)
【支援総額525万円!】東北大学発宇宙ベンチャーElevationSpaceがクラウドファンディングにて目標金額を達成しました!(2021年4月30日)
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搭載品・搭載方法について
以下の3品を人工衛星「あおば」に搭載して打ち上げ、宇宙空間に到達後、地球をバックに「あおば」に搭載したカメラで記念撮影を行います。
ミガキイチゴと綿花は、宇宙空間で受ける熱や放射線の影響から守るため、宇宙での使用実績がある信越化学工業株式会社のシリコーンを用いて加工し、衛星に搭載する計画です。
■ ミガキイチゴ (株式会社GRA提供)
ミガキイチゴは2012年から株式会社GRAが販売を開始した、上質な複数品種のイチゴの統一ブランドの名前です。コンセプトは「食べる宝石」。東京の百貨店では、一粒1,000円以上で販売されることもあるイチゴです。
今回は、フリーズドライされたミガキイチゴを人工衛星に搭載します。
■ 社名の書かれた自由帳 (株式会社ヘラルボニー提供)
ヘラルボニーという会社名の由来は自由帳に書かれた言葉にあります。
知的障害がある両代表の4つ上の兄・松田翔太さんが7歳の頃自由帳に記した謎の言葉、それが「ヘラルボニー」でした。
この言葉を社名やブランドネームに起用することで「一見意味がないと思われるものを世の中に新しい価値として創出したい」という意味を込めています。翔太さんが使っていた自由帳の原本を、宇宙へ放ちます。
■ 綿花 (東北コットンプロジェクト提供)
東北コットンプロジェクトによって宮城県には日本国内では最大級となるワタ畑が誕生しました。その宮城の畑から摘み取った綿花です。
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各社概要と代表者コメント
■株式会社ElevationSpace(https://elevation-space.com/)
ElevationSpaceは、誰もが宇宙で生活できる世界を創り、人の未来を豊かにすることを目指している東北大学発の宇宙スタートアップです。東北大学吉田・桒原研究室でこれまで開発してきた15機以上の小型人工衛星の知見・技術を生かし、無重力環境を生かした実験や実証などを無人の小型衛星で行い、それを地球に帰還させてお客様のもとに返す宇宙環境利用プラットフォーム「ELS-R」を開発しています。
代表取締役CEO 小林稜平 コメント
東日本大震災があった当時、私は中学生で何もすることが出来ませんでした。あれから10年以上もの月日が経ち、こうして東北への強い想いを持つ仲間とともに、東北に貢献できることを嬉しく思います。私たちが開発する衛星「あおば」が東北から宇宙を目指すことで、東北の復興の象徴となり、さらなる発展に繋がってほしいという想いで本プロジェクトを立ち上げました。
東北への想いを宇宙へ届けるべく、チーム一丸となって開発に精進して参ります。
■株式会社GRA(https://gra-inc.jp/)
株式会社GRAは、東日本大震災の後、被災地の復興と創造のために地元出身の代表岩佐が立ち上げた法人です。「農業を強い産業とすることで世界中の地域社会に持続可能な繁栄をもたらすこと」をミッションとし農業やまちづくりを行っています。旧来型の農業とは一線を画し、昔からの熟練の技をITを活用し見える化、誰もがイチゴ栽培をできる再現性の高い農業を実現しています。栽培された高品質なイチゴは自社ブランドの「ミガキイチゴ」として、最高級のものは首都圏の百貨店で「1粒1,000円」にて販売されています。
代表取締役 岩佐大輝 コメント
「かつて被災地と呼ばれた場所で、復活を果たした農作物が、宇宙に飛び立ち流れ星になる」というとてもロマンティックで素敵な取り組みにお声掛け頂けたことを大変光栄に思います。
宮城県山元町発ミガキイチゴが、これまで踏ん張ってきた方々や、思いを寄せて頂いた方々、東北のこれからを作る方々を勇気づけられるような”流れ星”となれるよう「願い」を託したいと思います。
■株式会社ヘラルボニー(https://www.heralbony.jp/)
ヘラルボニーは「異彩を、 放て。」をミッションに掲げる、福祉実験カンパニーです。
国内外の主に知的な障害のある作家と契約を結び、2,000点を超える高解像度アートデータの著作権管理を軸とするライセンスビジネスをはじめ、アートライフスタイルブランド「HERALBONY」の運営など、福祉領域の拡張を見据えた多様な事業を展開しています。これらの社会実装を通じて「障害」のイメージ変容と、福祉を起点とした新たな文化の創造を目指します。
代表取締役社長 松田崇弥 コメント
4歳上の兄・翔太が小学校時代に記していた謎の言葉「ヘラルボニー」が東北から世界を飛び越えて宇宙にいく。
我々が手がけているのは、世の中を便利にするようなモノやコトではありません。しかし、異彩を届けることで、社会の見え方や在り方みたいなものを変えていくことはできるのではないかと思います。
東北から宇宙で、 異彩を、放て。
■東北コットンプロジェクト(http://www.tohokucotton.com/)
東北コットンプロジェクトは津波により稲作が困難になった農地で綿を栽培し、紡績、商品化、販売までを一貫して行うプロジェクトです。メンバー企業59社が宮城県内3カ所で綿花栽培を実施、応援しています。
東北コットンプロジェクト 生産者代表
イーストファームみやぎ 代表取締役 赤坂芳則 コメント
2011年の東日本大震災を契機に、瓦礫だらけの田んぼや畑に多くの企業や団体の皆さんが集まってワタを育て始めました。さまざまな苦労の末に育ち、白く美しくひらいたワタは、私たちの復興の象徴でした。あれから13年経ち、復興の象徴であるワタが宇宙にまで届く機会を大変嬉しく思うとともに、震災を通じて得た大切な絆がいつまでも続くように願っています。
■信越化学工業株式会社(https://www.shinetsu.co.jp/jp/)
信越化学工業は、1926年に信越窒素肥料㈱として発足。現在では、生活環境基盤材料、電子材料、機能材料、加工・商事・技術サービスの4つの分野で事業を展開しています。産業や生活に欠かせない基本素材となる塩ビ、半導体シリコンは世界シェアトップ、シリコーンは国内シェアトップなど、数多くのトップシェア製品を持っています。
シリコーン事業本部 営業第四部 粟田様 コメント
このたびは、宇宙空間で「信越シリコーン」が活躍できる場を与えてくださりありがとうございます。
「信越シリコーン」は、これまで宇宙空間での使用実績もありますので、きっと期待に応えてくれるはずです。
プロジェクトの成功を心よりお祈り申し上げます。