調査サマリー
1. 引越し先の街は「便利さ」で選ぶ人が約7割
引越し先の選定基準で最も多かったのは「通勤のしやすさ(49%)」。他にも「周辺環境の充実さ(39%)」「都心部へのアクセス(20%)」と、「便利さ」を重視した人は67%になった。
2. 「働き方」に合わせて「街選び」の基準も変化
出社勤務の人は「通勤のしやすさ(57%)」を重視する割合が最も多かった。一方リモートワークの人は、「周辺環境の充実さ」や「都心部へのアクセス」の割合が比較的多い傾向に。
3. 物件選びはリモートワーカーが「おうち時間」、オフィスワーカーが「家賃」を重視
賃貸物件のお部屋選びでは「家賃」が最重要項目となったが、オフィスワーカーが70%を超えているのに対し、リモートワーカーは65%。反対に「間取り」「広さ」といった項目を重視している人の割合はリモートワーカーが最も多い結果となった。
4. 2人に1人は家賃を上げ物件をグレードアップ。リモートワーカーほど上昇傾向に
今回の引越しで家賃が「上がった」と答えたのは56%。上がった金額差の平均は、フルリモート勤務で42,162円、ハイブリッド勤務で37,351円、出社勤務で29,287円だった。
◆まとめ
「引越し侍」を利用して引越しをした人の多くは、引越し先の街を「便利かどうか」で選んでいることがわかりました。オフィスワーカーは「仕事に行くために便利かどうか」を重視するのに対し、リモートワーカーは「自分が暮らすために便利・快適かどうか」を重視する傾向があることから、働き方の多様化に合わせ、引越し先選びも多様化してきていると考えられます。
さらに、「物件選び」のポイントも調査したところ、「フルリモート勤務」のグループでは「家賃」を重視する人の割合が下がり、代わりに「間取り」や「広さ」が重視されていました。実際に家賃の増減額を尋ねた調査でも、リモートワーカーほど多く高く、オフィスワーカーほど低い結果となりました。
これらのことから、リモートワークの時間が多くなるほど「おうち時間」をより重要視し、引越し先には自分自身の生活の便利さや快適さを求めるようになるのではないかと考えられます。今後、働き方の多様化がさらに進められることになれば、私たちの引越し先の選択肢はもっと広がっていくのではないでしょうか。
◆調査概要
調査エリア:全国
調査機関:見積もり比較サイト『引越し侍』
調査方法:「引越し侍」を利用して引越しをした方を対象に、インターネットアンケートを実施
調査期間: 2022年5月19日~2022年6月22日
サンプル数:1,872件
◆調査結果
1. 引越し先の街は「便利さ」で選ぶ人が約7割
引越し先の街を選んだ時に重視したポイントを尋ねたところ、最も多かったのは「通勤のしやすさ(49%)」でした。
2位には「周辺環境の充実さ(39%)」がランクイン、4位は「都心部へのアクセスのしやすさ(20%)」がランクインしており、「生活の便利さ」を重視するポイントと考えている人が多い傾向があるようです。
「通勤」、「環境」、「都心部へのアクセス」と、「便利さ」を表すいずれかのポイントを重視した人は1,246人と、なんと全体の67%にものぼることがわかりました。
2. 「働き方」に合わせて「街選び」の基準も変化
賃貸物件でも持ち家でも、どちらも最も多かったのが「通勤のしやすさ」ですが、ここ数年は新型コロナウイルス感染症の拡大の影響で、家にいながら仕事をする「リモートワーク」が広がってきました。
そこで、勤務形態を、全く出社しない「フルリモートワーク」と、リモートワークと出社の両方がある「ハイブリッド勤務」、リモートワークは一切ない「出社勤務」に分け、出勤状況がどのくらい引越しに影響しているか調査しました。
出勤の頻度が高い順に「通勤のしやすさ」が重視され、反対に頻度が低い順に「周辺環境の充実さ」や「治安の良さ」が重視される割合が高まるという傾向がありました。
また、それぞれの割合を見てみると、リモートワークがある「フルリモート勤務」と「ハイブリッド勤務」のグループでは、リモートワークのない「出社勤務」のグループよりも、「都心部へのアクセス」の重要度が高い傾向もありました。
都心部には商業施設が多くあるうえ、遠出をする際の中継地点にもなりやすく、都心部にアクセスしやすいということは、休日やプライベートが充実しやすいと考えている可能性があります。
賃貸物件に引越した人に絞ると、これまでの結果がより顕著に出ることがわかりました。
「フルリモートワーク」では、「周辺環境の充実さ」や「治安の良さ」「都心へのアクセス」の割合が増えるのに対し、「出社勤務」では、「通勤のしやすさ」を選ぶ人の割合が大幅に増え、「周辺環境の充実さ」「治安の良さ」といった項目の割合も増加しました。
これまでの結果から、リモートワークのあるグループは、「便利さ」の軸が仕事よりもプライベートにあると考えることもできそうです。
3. 物件選びはリモートワーカーが「おうち時間」、オフィスワーカーが「家賃」を重視
「物件選び」に関しては、最も重視されたのは「家賃」でしたが、ほとんど家で仕事をする「フルリモートワーク」のグループは、オフィスワークがある「出社勤務」と「ハイブリッド勤務」のグループよりも、家賃を重視する人の割合が少ないことがわかります。
一方「間取り」や「広さ」といった項目は、フルリモート勤務のグループで割合が多くなりました。
リモートワークが中心のグループでは「多少家賃を上げても、広さや間取りを希望通りにしたい」と考えていて、オフィスワークが多いグループでは「広さや間取りを求めない代わりに、家賃は予算より上げたくない」と考えていることがわかります。
4. 2人に1人は家賃を上げ物件をグレードアップ。リモートワーカーほど上昇傾向に
今回の引越しでは家賃が「上がった」と答えた人が半分以上もいることがわかりました。
増減の平均額は+11,759円と、引越し先では、「今より条件のいい部屋に引越しをしたい」と考えている人が多いようです。
勤務形態別に見ると、「上がった」と答えた人の中でも、「フルリモートワーク」のグループが最も金額幅が大きく、「出社勤務」のグループが最も小さく、その差は約12,000円という結果になりました。
また、「下がった」と答えた人の中では、「フルリモート勤務」のグループが最も金額幅が小さく、「ハイブリッド勤務」のグループが最も大きいという結果になりました。前述の調査でも、物件選びのポイントで「家賃」を上げた人の割合が最も多かったのは「ハイブリッド勤務」のグループだったので、納得の結果ともいえます。
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