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【自動運転トレンドレポート】高度な自動運転の社会実装を牽引する有望スタートアップをご紹介
最近では街中で電気自動車、充電ステーションやシェアードモビリティを見かけることも珍しくなくなってきました。自動車業界の大きな潮流「CASE」(Connected:コネクテッド、Autonomous:自動運転、Shared & Service(シェアリング/サービス化)、Electric:電動化 / Environment:グリーン化)のうち、シェアリングと電動化が確実に社会に根差しつつあるなか、次に成熟が待たれる領域は「自動運転」であると言えるでしょう。
自動運転とは、自律型の制御システムを備え人間による運転操作なしに走行する技術を指しますが、広義では運転支援機能なども含む場合もあります。最近ではビジョンセンサーやレーダー、LiDAR、超音波センサーやGPS等で周辺環境を正確に認識し、指定された行き先へ走行するというセンサー主体の技術開発が主流となっているようです。軍事用のパトロール車両や、鉱山や建設現場など限定された現場での大型重機や産業用車両などには既に自動運転技術の導入が先行しています。また、一般的な乗用車やサービス車両においても、人間が介入するもの(レベル3:右表参照)や人間の運転操作を支援するシステム(レベル2)については、普及が進んでいます。
自動運転の普及による恩恵としては、人の不注意や疲労に起因する交通事故の減少、高齢化社会のモビリティ課題の解決、渋滞の軽減やCO2排出量の低減といったことが期待されています。国内では2023年4月に改正道路交通法が施行され、レベル4の自動運転が解禁されるなど、普及への道筋が着々と整えられています。その一方で、ソフトウェアの信頼性や不正アクセスのリスクは依然として高く、損害賠償責任の所在があいまいであることや法規制の整備不足といった懸念点も山積しているのが現状で、より高度な自動運転の本格普及にはしばらく時間がかかりそうです。
* McKinsey & Company “Autonomous driving’s future: Convenient and connected”
McKinsey & Companyのレポート*によると、自動運転は交通機関のみならず消費行動や社会全体を変革するポテンシャルを秘めていて、2035年までに3,000億ドルから4,000億ドルの収益を生み出す可能性があるとしています。また、乗用車市場では、2030年までに新車の12%にはレベル3以上の自動運転技術が搭載され、2035年にはこの割合が37%に達すると予測しています。
国内では、産学官オールジャパン体制で自動運転の事業化を推進するべく、2015年2月に経産省製造産業局長と国交省自動車局長の主催で自動走行ビジネス検討会が設立され、「自動走行の実現及び普及に向けた取組報告と方針 version7.0**」にあるような様々な取り組みが進んでいます。2023年4月に施行された改正道路交通法に基づいた許可があれば運転者なしに自動運転移動サービスを提供することが可能になり、5月には福井県永平寺町で全国で初めてレベル4の自動運転移動サービスが開始しました。こうした地域限定型のサービスについては、2025年度を目途に50か所程度、2027年度までに100か所以上の地域で実現するという具体的な目標が国の方針として掲げられています。
また、海外に目を向けますと、米国ではAlphabet傘下のWaymoのロボタクシーやWalmartと提携するGatikの無人配送トラックなど、主に民間の大企業に牽引される形でレベル4のサービス展開が進んでいます。欧州では欧州経済委員会で自動運転の国際標準化の取り組みが推進されるなど官主導の動きが活発で、特にドイツでは2022年4月に世界に先駆けて公道でのレベル4の自動運転を可能にする「自動運転車両の認可及び走行に関する政令」が承認されています。中国では製造業分野の成長戦略「中国製造2025」の一環として国が自動運転モビリティの実現を牽引し、5G通信網を活用した公道でのロボットタクシーや配送サービスの事業化が進められています。また、アジアをはじめとする新興国では公共交通網が発達していない地域に対する課題解決策としての移動サービスや、自動運転モビリティを軸とした不動産開発など、民主導の動きが見られます。
次世代モビリティ業界全体と同じく、自動運転の領域では従来の自動車産業の枠を越えて通信やデータなどIT産業の企業を巻き込んだ大きな渦が生まれており、これからの社会を形づくる大きな要素となるでしょう。本レポートでは、その中で最新のAI技術や革新的なソリューションを提供し、自動運転の社会実装を牽引する有望なスタートアップをご紹介します。中盤ではインサイト特集として、弊社のコンテンツパートナー「ジャンシン(匠新)」による、中国における乗用車の自動運転についての最新注目動向を掲載しています。また、大手企業と有望スタートアップとの協業事例もご紹介します。
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