国内フェアトレード2021年市場規模158億円、昨年比120%と急拡大

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国内でのフェアトレードの普及・啓発活動を行う認定NPO法人フェアトレード・ラベル・ジャパン(東京都中央区,事務局長 潮崎真惟子)は、世界フェアトレード・デーである5月14日(毎年5月第2土曜日)を前に最新の国内フェアトレード市場規模を発表します。
  • 前年比2桁の大幅増:消費者の嗜好変化と企業のサステナビリティ戦略

2021年のフェアトレード認証製品の推計市場規模は157.8億円となりました。2020年の131.3億円と比較をすると20%増という2桁上昇の結果となり、過去の伸び率と比較をしても大幅に市場が拡大した1年となりました。

この主な背景には、コロナ禍を経た家庭用フェアトレードコーヒーの売上拡大(フェアトレードコーヒー市場は前年比+21%)や、フェアトレードチョコレートの販売増加(前年比+10%)が挙げられます。またノベルティなどのコットン製品や紅茶の売上も上昇しました。特に小売主要大手各社はサステナビリティ戦略に力を入れ、プライベートブランドでのフェアトレード商品化や品揃えの拡充を大きく加速させました。過去に欧米では小売大手のフェアトレード拡充を契機に市場が一気に拡大した経緯もあり、日本でも市場成長への期待が高まっています。

近年気候変動や人権問題への危機感も背景にSDGsへの関心が急拡大する中、フェアトレードは環境・人権の両側面にアプローチ出来る仕組みとして、Z世代を中心に消費者からの支持がまっています。そうした消費者のニーズの変化に加え、自社のサプライチェーンの透明性向上や原材料の継続的な確保の手段としても企業から注目され、フェアトレード認証参加組織数も2021年は243社と昨年から10%増加(2020年は221社)しました。

認証基準に従い、フェアトレード認証製品販売事業者から報告された販売数値をもとに認証機関フェアトレード・ラベル・ジャパンが集計しグラフ作成

 

 

地球環境の保全や貧困の改善につながることを保証する認証ラベルの存在は、エシカルなライフスタイルに関心を寄せる消費者にとって商品を選ぶ際の分かりやすい判断基準になると注目が高まっています。

【一般消費者の声(例)】
・フェアトレードについて学校の授業で学んできた息子から教わった。自分たち親世代よりもずっと知っていてびっくりする。
・1つ1つの商品がつくられた背景を自分だけで見極めることはとても大変で難しい。フェアトレードのラベルがあることで選びやすく助かる。
・自分は環境問題に関心があるが、フェアトレードが貧困だけでなく環境にも貢献出来ると知って驚いた。色々なインパクトがあると聞くと嬉しい。
・大切な人へのプレゼントや自分へのご褒美の商品が、誰かを傷つけて作られたと思うと罪悪感がある。誰かの助けになる商品だと心も軽い。

  • 日本市場は広がっているものの、欧米諸国と比べると18分の1など。依然として差は大きい

 

※認証基準に従い、フェアトレード認証製品販売事業者から報告された販売数値をもとに認証機関フェアトレード・ラベル・ジャパンが集計しグラフ作成
出所:Annual Report 2020, Max Havelaar Foundation (Switzerland) 、Annual Report and Effectiveness Report 2020/2021, Fairtrade Germany

フェアトレード・インターナショナルの本部があるドイツと日本の市場規模を比較すると、ドイツは2,374億円と、日本の約18倍。一人当たりの年間購入額が最も多い(※)スイスと年間購入額を比較すると、スイスは11,267円と日本の約108倍という結果となりました。欧州諸国で規模が大きい背景には、消費者の環境・社会課題に対する意識の高さや、フェアトレードの認知の高さを受けて、企業が積極的にフェアトレードを取り入れる傾向があります。(※)2020年に市場統計を公表している国と比較
 

  • フェアトレード ミリオンアクションキャンペーン2022開催中!

フェアトレードの市場規模が広がることは、開発途上国の児童労働などの課題解決や地球環境の保護が進むことに繋がります。日本のフェアトレード市場の拡大を目指し、5月を「フェアトレード月間」としてキャンペーンを開催しています。5月の第2土曜日は「世界フェアトレード・デー」と呼ばれ、世界中で一斉にフェアトレードに関するイベントが行われます。ミリオンアクションキャンペーンは、5月の1か月間に「商品購入」や「SNS投稿」、「イベント参加」などフェアトレードに関するアクションを増やしていくキャンペーンです。全国のフェアトレード関連企業や、フェアトレードの普及・啓発活動をしている市民団体や学生団体、フェアトレードタウンなども巻き込む国内最大級のフェアトレードのキャンペーンで、初開催した昨年は目標を大きく上回る119万アクションを達成しました。本年は昨年目標の1.5倍に上る150万アクションを目指して、著名人をアンバサダーに起用し、昨年からさらに参加団体の幅を広げ、フェアトレードに関するイベントや情報発信を行っています。

アンバサダーには吉川ひなのさん(モデル/起業家)、廣瀬俊朗さん(元ラグビー日本代表キャプテン)、望月理恵さん(株式会社セント・フォース取締役)、堀潤さん(ジャーナリスト)、末吉里花さん(エシカル協会代表理事)、エバンズ亜莉沙さん(エシカルコーディネーター)が就任。4月28日開催のキックオフイベントでは、アンバサダーのうち3名に加え、イオントップバリュ株式会社、エスビー食品株式会社、UCCホールディングス株式会社の3社が登壇しました。
ミリオンアクションキャンペーンHP:https://fairtrade-campaign.com/
 

  • フェアトレードとは?

フェアトレードとは直訳すると「公平・公正な貿易」です。通常の取引では、市場価格の情報や販売先の選択肢の欠如により、末端の小規模生産者は、安く買い叩かれてしまうことが今も多くあります。その結果、生産者の生活水準低下、コスト削減を目的とした児童労働、過剰な農薬による環境破壊や生産者が健康被害をうけるという問題が引き起こされます。フェアトレードは、人と環境に配慮して生産されたものを適正な価格で取引し、持続可能な生産と生活向上を支援する仕組みです。フェアトレードによる取引では、適正価格の保証・プレミアムの支払い、児童労働の禁止、環境に配慮した生産などが行われます。国連のSDGs(持続可能な開発目標)の17の目標全ての達成に寄与すると言われ、特に8つ(目標1貧困、目標2飢餓、目標5ジェンダー、目標8労働環境、目標12持続可能な消費と生産、目標13気候変動、目標16平和、目標18パートナーシップ)の達成に大きく寄与すると言われています。

  • 認定NPO法人フェアトレード・ラベル・ジャパン(FLJ)とは?

1993年設立。国際フェアトレードラベル機構(Fairtrade International)の構成メンバーとして、日本国内における国際フェアトレード認証ラベルの認証・ライセンス事業、フェアトレード の啓発・アドボカシー活動を行う認定NPO法人です。国際フェアトレードラベル機構は、公正な取引を通じた世界の貧困問題の解決、生産者の持続可能な生活の実現を目指して1997年設立された国際組織。現在開発途上国 71カ国・190万人以上の生産者・労働者と消費国30カ国メンバーが参加しています。

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