1.目的
庄内地域において、過疎地域等における医師不足や住民の高齢化に対応するため、「遠隔診療」を普及させることとします。遠隔診療の器具を搭載した医療カーの活用によって、看護師が診療補助するなどの遠隔診療モデルについて実証実験を行い、さらに無線環境などにおける医療機器の通信品質や操作性等、技術的な評価を実施します。
また、地域住民の交流を活性化させる地域コミュニティ形成のため、地域のコミュニティセンター(以下、コミセン)へ高臨場での健康相談や高齢者の社会参加、学びの場の創出等の実現をめざします。その得られた結果をもとに、実装における課題を抽出することとします。
2.背景と経緯等
コロナ禍における介護施設や病院での感染クラスターの発生を背景に、医師と利用者および患者が直接対面することなく、また遠方からでもすぐに診察することができるリモート診察システムの導入が急務となっております。また、医療過疎地においては、遠隔診療は住民の安心、安全な生活に不可欠です。
しかし、現在のリモート診察システムは、単にパソコンやタブレット、スマホなどで、医師と患者らが会話をする機能に限られ、顔色など病状の診断に不可欠な情報や臨場感が不足しております。そのため、山形大学では、文部科学省COIプログラム※を通して、プロジェクト参画企業であるNTT東日本と共同で令和3年10月、酒田市の日本海総合病院、松山診療所と飛島診療所に本リモート診察システムを設置して運用を開始しました。
※センター・オブ・イノベーション(COI)プログラム:⽂部科学省が基礎研究段階から実⽤化を⽬指した産学連携による研究開発を⽀援する取り組み。
3.具体的取り組み
本取り組みにおいては、山形大学および医療機器販社などは、電子聴診器やエコーなどのセンサーをシステムに組み込み、より多機能な診察を可能にするとともに、多くのバイタル情報を医師に伝えることにより、リモート診察システムの診断精度を向上いたします。システムの運用は、酒田市(日本海総合病院の協力)が実証に取り組む医療Maas事業との連携を検討していきます。
さらには、高齢者の見守りも兼ねてリモート健康相談等をコミセンでも行い、各種活動の際に、気軽に健康相談できるネットワーク環境を整備します。また、高臨場大型モニターを設置し、コミセン同士を繋ぐことによって多機能な「ハブ(HUB)コミセン」とし、公益文科大が中心となり、コミセン間における地域住民間の交流活発化を促します。
コミセンにおいては、こども教室を高齢者参加で行うことにより、子どもと高齢者間での交流を活発化させ、小中学生の居場所づくりや学習をサポートとともに、高齢者の社会参加を促します。
(概念図)
4.締結日
2023年6月2日(金)