■実証実験の実施背景
IPv6(Internet Protocol Version 6)は、IPv4に続く次世代のインターネットプロトコルです。IPv4と比較した際のIPv6の技術的メリットとしては、膨大なIPアドレス数の提供、効率的なルーティング、セキュリティ面や通信品質の向上などがあげられます。IPv6普及・高度化推進協議会のデータによると、日本国内のアクセス網におけるIPv6 の普及率は、2021年3月には80%(※1)を超えています。さらには、近年ではIPv4aaS(IPv4 as a Service)の登場により、IPv4とIPv6の両方に対応した環境構築が可能になり、IPv6の利用は拡大傾向にあります。しかし一方で、IPv6ではアドレス空間の大きさからインターネットユーザーに関する地理情報の把握が極めて困難でした。地理情報の把握が困難なことは、例えばコンテンツ配信における著作権・放送権保護や、企業におけるマーケティング活動の障壁となりえ、解決方法が模索されてきました。
■実証実験の概要
上記の実施背景を受け、IPoE協議会では、IPv6サービスを提供する各VNE(Virtual Network Enabler)事業者(※2)と協力し対応を進めてきました。この度、商用利用を前提とした利用規約の整備、利活用しやすい新しいデータ形式への対応が完了したため、このデータを用いた実証実験を行います。今回の実証実験では、IPoE協議会が各VNE事業者から収集したIPv6アドレスの地理情報を用います。本データは都道府県単位でのデータのため、精度の高い地域判別ができます。
1. 実証実験内容 ※図1ご参照
本実証実験では、以下記載の1)~4)のフローについて、技術的な連携を検証します。その上で、IPv6アドレスの地理情報を用いた動画配信制御に関する精確性について、総合的な判断をいたします。
※各項目末尾に記載のカッコ内は、各フローの担当団体、企業名になります。
1)IPv6アドレス地理情報の収集(IPoE協議会)
2)データ形式変換システムの構築(当社)
※IPoE協議会のデータをベースに、同社データを一部補完(※3)
3)CDNエッジへの地理情報の設定(構築と実証)(Jストリーム)
4)IPv6アドレス地理情報に基づいた動画配信制御の実証(Jストリーム)
2. 実験期間2023年5月~9月(予定)
※1 IPv6普及・高度化推進協議会では、普及状況の把握に賛同頂けるISPの協力を得て、フレッツ光ネクスト、 およびその他のネットワークについて、IPv6での接続が可能なアカウント数の割合を収集し、 IPv6普及状況の指標のひとつとして公開しています。
出典:アクセス網におけるIPv6の普及状況、IPv6普及・高度化推進協議会
https://www.v6pc.jp/jp/spread/ipv6spread_03.phtml
※2 VNEとは、IPoE方式においてISPに対してエンドユーザーに対するIPv6接続機能を提供するIPoE接続事業者のことです。
出典:IPoE方式とVNEの役割 IPoE協議会、石田慶樹
https://ipoe-c.jp/__assets__/pdf/ipoe_vne.pdf
※3 IPoE協議会の収集外となるIPv6、 IPv4の地理情報については、当社のデータを用いて補完。インターネット全体に対してのサービスが提供できるようにします。
■一般社団法人 IPoE協議会について
一般社団法人 IPoE協議会はインターネットを国民のための高度情報通信ネットワーク社会基盤と捉え、東日本電信電話株式会社・西日本電信電話株式会社が提供するインターネット接続サービス「フレッツ光」のIPv6 IPoEをはじめ、各種インターネットアクセス基盤を活用して日本におけるインターネットの普及拡大をはかり、IPv6の利用を促進することにより、国民が利用しやすい環境を形成するための諸事業を行い、新しい生活と産業の具現化に資することを目的とした団体です。
<一般社団法人 IPoE協議会 概要>
組織名:一般社団法人 IPoE協議会(英:IPoE Council)
設立:2020年6月(2018年3月から任意団体NGN IPoE協議会として活動)
代表者:理事長 石田慶樹(いしだ よしき)
活動内容:
(1) IPv6インターネット接続機能(IPv6 IPoE方式)(以下「IPoE機能」という。)の活用による日本のインターネット普及と利用促進に係る諸事業の企画、立案および実施
(2) IPoE機能を活用した諸事業に関する啓発・広報活動
(3) 日本のインターネット普及推進に向けた政策提言活動
(4) その他、協議会の目的を達成するために必要な活動
所在地:〒108-0014 東京都港区芝五丁目27番6号 泉田町ビル5階
■株式会社Jストリームについて
株式会社Jストリームは1997年の設立以来、動画配信を主軸に事業展開を続けております。自社で保有・運営する独自のコンテンツ配信ネットワーク(CDN)を活用した動画配信に加え、これまで積み上げてきたノウハウを活かした動画の企画・制作・運用やWebサイト制作、システム開発、動画広告による収益化支援まで総合的なサービスとソリューションを提供することで、年間1,200社・10,000案件以上の企業活動における動画活用を支援しています。
<株式会社Jストリーム 概要>
社名(商号):株式会社Jストリーム(英:J-Stream Inc.)
証券コード:4308(東証グロース)
設立:1997年5月
資本金:21億8,237万円(2023年3月末現在)
代表者:代表取締役社長 石松 俊雄(いしまつ としお)
事業内容:
(1)ネットワークシステムにおける、動画データ及び各種情報の提供サービス業
(2)ネットワークシステムを利用した会員情報管理、商取引、決済処理に関する受託業
(3)デジタルコンテンツ、出版物の企画・制作・販売及び賃貸業
(4)ネットワークシステムに関するハードウェア・ソフトウェア・付帯サービスの企画、開発、運営、制作、販売、輸出入・賃貸及び代理店業
(5)広告・宣伝に関する企画・制作及び代理店業
(6)1から5に関連するコンサルテーション、調査、分析、研究等
本社:〒105-0014 東京都港区芝2-5-6 芝256スクエアビル6階
西日本オフィス:〒530-0003 大阪府大阪市北区堂島2-4-27 JRE堂島タワー5階
■株式会社Geolocation Technologyについて
株式会社Geolocation Technologyはインターネットユーザーの位置情報を活用した、効果的なウェブマーケティングを実現するサービスや、不正アクセスを防止するサービスの開発・提供を行っています。2000年に創業以来、継続し培い構築したIPアドレスを活用したデータベース「SURFPOINT™」の運営及び利用による各種サービスの提供を行うIP Geolocation事業と、IPアドレスの売買の仲介を行うIPアドレス移転事業を運営しています。
<株式会社Geolocation Technology>
社名(商号):株式会社Geolocation Technology(英:Geolocation Technology, Inc.)
証券コード:4018(福岡証券取引所Q-Board)
設立:2000年2月
資本金:2億2,539万円(2022年12月末時点)
代表者:代表取締役社長 山本 敬介(やまもと けいすけ)
事業内容:IP Geolocation技術の開発及びサービス等の提供
URL:https://www.geolocation.co.jp/
本社:〒411-0036 静岡県三島市一番町18-22 アーサーファーストビル4F