「あなたの心と社会を動かした信頼のおけるコンテンツ」を表彰「Internet Media AWARDS 2023」グランプリと部門賞など全13作品を発表

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一般社団法人インターネットメディア協会(通称:JIMA)(代表理事・瀬尾傑)は、信頼性のある情報をわかりやすく正しく世の中に伝え、社会をよりよい方向に導いた作品や活動に光をあてるとともに、情報伝達における質の高さを追求しイノベーションに挑むメディア事業社や関係者をたたえる『Internet Media AWARDS 2023』(実行委員長・谷本有香)を開催しました。

第3回となるInternet Media AWARDS 2023では、2022年中(2022年1月1日〜12月31日)に公開・注目されたコンテンツや活動を対象とし、幅広く公募を実施した結果、応募作152件を集めました。JIMA会員の投票による第一次選考、専門家や識者からなる選考委員の討議による最終選考を経て、受賞作品が決定しましたのでお知らせします。
受賞は、「テキスト・コンテンツ」「ビジュアル・コンテンツ」「メディア・イノベーション部門」「スポンサード・コンテンツ」「ソーシャル・グッド」「アクション・フォー・トラスト」の各部門、および選考委員による議論から追加された「選考委員特別賞」の7部門10作品・活動となりました。

さらに、10作品・活動の中から「グランプリ」作品には、朝日新聞社による「みえない交差点」が選出されました。
また、今年度より次世代を牽引する30歳未満の選考委員3名が自身の感性や独自の視点でオンラインコンテンツ作品を選ぶ「U30’s VIEW」(アンダーサーティズビュー)を新設。選考委員それぞれが1作品ずつ選出しました。

JIMA : グランプリ、部門賞など全13作品を発表!ーーInternet Media Awards 2023
  JIMA INTERNET MEDIA AWARDS 2023 グランプリ、部門賞など全13作品を発表! 〜 グランプリは朝日新聞社「みえない交差点」に決定! 〜 信頼性のある情報をわかりやすく正しく世の中

■グランプリ/ビジュアル・コンテンツ部門 受賞作品
みえない交差点 https://www.asahi.com/special/jiko-kosaten/

受賞者:朝日新聞社

受賞者コメント:

交通事故の発生場所を示す位置情報をうまく使えば、事故が多発する危険な交差点がくまなく発見できるのではないか。そんな狙いから、この「みえない交差点」というプロジェクトは始まりました。 分析を進めるうち、危険な交差点だけでなく、すべての事故のデータを載せたマップを作る案が浮上しました。しかし、事故の件数は当初70万件、その後100万件まで増えるなどデータ量が多く、そのままでは表示が重くなってしまいます。それでも、技術陣が工夫を重ね、最終的にはスマホでも軽快に扱えるページができあがりました。今回、グランプリだけでなく、ビジュアル・コンテンツ部門賞としても評価いただき、大変うれしく思っています。 この受賞をきっかけに、この事故マップが一層広まり、結果として交通事故の減少に繫がってくれれば幸いです。 (山崎 啓介/朝日新聞社デジタル機動報道部)

 

選考委員より:
受賞した「みえない交差点」は、警察庁が公開した全国交通事故統計データ約100万件を地図上に可視化したコンテンツである。同作品は可視化するだけでなく、事故が多発しているにも関わらず見過ごされている小さな交差点を独自の解析手法によってあぶり出し、現場での取材に基づいた分析を含む特集記事や連載も提供している。それら一連の活動が、交差点を所管する行政も動かし、事故防止のための標識の新設や集計手法の改善につながるなど、社会課題の解決に貢献している。大量のデータの分析やブラウザでの軽量な動作に必要な技術力、取材を通じて深く掘り下げコンテンツに落とし込む編集力、読者が圧倒される情報量をビジュアライズする表現力のいずれも優れたインパクトのある作品といえるだろう。(山辺 真幸)
 

【選考委員】(五十音順)
小木曽 麻里(SDGインパクトジャパン共同代表​​)
白河 桃子(ジャーナリスト、相模女子大学大学院特任教授)
瀬尾 傑(一般社団法人インターネットメディア協会 代表理事)
関 治之(一般社団法人コード・フォー・ジャパン 代表理事)
谷本 有香(Forbes JAPAN  Web編集部 編集長)
浜田 敬子(ジャーナリスト/前Business Insider Japan統括編集長/AERA元編集長)
干場 弓子((株)BOW&PARTNERS 代表/(株)ディスカヴァー・トゥエンティワン共同創業者・前社長)
森 健(ジャーナリスト/専修大学文学部非常勤講師)
山辺 真幸(データビジュアライズデザイナー/情報可視化研究者)
 

 

【U30’s VIEW選考委員】(五十音順)
坪井 俊輔(サグリ株式会社代表取締役CEO)
中村 多伽(taliki CEO talikiファンド代表パートナー)
増田 奈保子(大阪大学医学部医学科5年生)

■受賞作品
テキスト・コンテンツ部門
出生数80万人割れの衝撃。地方の少子化対策はここがズレている

受賞者 OTEMOTO
URL https://o-temoto.com/akiko-kobayashi/kanakoamano2//
選考委員より
中央地方双方、ずれまくっている少子化対策だが、特に、地方における少子化の原因について、「そもそも女性たちが就職したいと思えるような魅力的な職場が地元にない」ことを、さまざまなデータから読み解き、それに基づく提言を行っている本稿の示す観点は、多くの人たち、特に当事者の女性達にとっては、今わかったことではない当然のことだ。にもかかわらず、地方の施政者達にも国の施政者達にもそれは見えていない。オールドメディアのマスコミの発信の中枢にいる人たちにも見えていない。理解と関心がなければ見えないし、見えなければ書けない。マスコミではなく、こうした女性向けのオウンドメディアだからこそ生まれた記事なのだろう。その内容に拍手喝采すると同時に、社会派インターネットメディアとしてのオウンドメディアの可能性を拓いてくれた本稿に、本年度のJIMAテキスト部門賞を捧げたい。(干場 弓子)

テキスト・コンテンツ部門
「お金お金お金、献金献金で家庭ぐちゃぐちゃ」山上徹也容疑者の家庭だけではない”統一教会”元信者が語る【第1弾】富山

受賞者 チューリップテレビ ニュース
URL https://newsdig.tbs.co.jp/articles/tut/92792
選考委員より
テキスト・コンテンツ部門は多数のご応募をいただきました。今回選出されたのは、富山県の地方局チューリップテレビのテキストコンテンツです。「お金お金お金、献金献金で家庭ぐちゃぐちゃ」山上徹也容疑者の家庭だけではない“統一教会“元信者が語る(チューリップテレビ)は、数ある「統一教会」のコンテンツの中でも地元の信者、家族をを丹念に描いたシリーズ。翻弄される生々しい家族の姿がうかびあがってきます。他にもチューリップテレビは地元の市政、県政と統一教会の関係も取材しています。地元と統一教会を徹底的に深掘りするローカルコンテンツならではの強みがあり、全国ネットとは一味違うアプローチが目を引きました。テキストコンテンツとして発信することで、地方局の放送ではできない全国ネット化が実現します。「リアルタイムで放送を見てもらいたい」という局内のハードルを超える必要がありますが、ニュース番組の短い尺に収めるため、捨てざるを得なかった膨大なコンテンツも生きる仕掛けです。今は当たり前のテレビ番組のテキスト化ですが、改めて良質なテキストコンテンツの担い手としてのテレビに注目しました。(白河 桃子)

スポンサード・コンテンツ部門
【領収書が捨てられる】やったー!やったー!やったー!

受賞者 オモコロ
URL https://omocoro.jp/kiji/324698/
選考委員より
スポンサード・コンテンツはデジタルメディアの収益源として重要な役割を果たしているだけでなく、読者の「ためになり、面白い」ものが求められ、読ませる見せることがより重要になっています。クライアントの訴求したいメッセージを伝えつつ、コンテンツそのものの力も問われるようになっているという意味では、より制作者の力量が問われるようになっているのです。そういう観点から今回の応募作品を見ると、まず表現方法の多彩さが目につきました。アワードなどのイベント、ウェブトゥーンを彷彿とさせるようなもの、アーティストとコラボしての音楽など・・。通常の記事などでも参考になるような手法がありました。大賞に選んだオモコロの「領収書が捨てられる。やったー!!」は、表現方法の斬新さ、面白さ、インパクトの強さ、そしてクライアントへの訴求力、という全ての点で頭ひとつ出ていました。内容は比較的シンプルながら、編集部一同の高い熱量に審査員一同思わずクスッと笑ってしまったほどです。漫画のような構成にもやられた、と思いました。一方で今回の審査では、改めてスポンサード・コンテンツとは何かということも考えさせられました。今回クライアントが発信している動画も応募していただきましたが、私はスポンサード・コンテンツとは、メディアがクライアントのメッセージをコンテンツとしてどう見せるかという第三者としての目線が入るものだと考えています。また言わずもがなですが、通常のニュース記事などとは一線を画し、このコンテンツはスポンサードであるという明記もしっかりすることが必要だと考えています。この2点を前提にした面白い作品を、来年も多くの作品の応募をお待ちしています。(浜田 敬子)

メディア・イノベーション部門
AIと呪文で、もう逢えない妻の新しい写真を捏造した(CloseBox)

受賞者 株式会社テクノコア テクノエッジ編集部 シニアエディター兼コミュニティーストラテジスト 松尾公也
URL https://www.techno-edge.net/article/2022/12/17/634.html
選考委員より
近年急激な進化を遂げている生成系AIを利用して亡くなった妻の写真を生成し、新たなテクノロジーのユースケースとして話題になった。イノベーティブなアイデアは賛否両方の側面で話題になるものであるが、本取り組みも、発表後故人との向き合い方について賛否両論が沸き起こった。AIそのものは道具にしか過ぎず、それをどう使っていくか、倫理的に許される範囲はどこまでなのか、それは社会に委ねられている。今後進化し続けるAI技術に対してどのように付き合っていくのかを考えさせられる良いコンテンツであった。寄せられた反対意見についても本人が真摯に回答をしており、その姿勢にも好感が持てた。(関 治之)

ソーシャル・グッド部門
いじめ そのときできることは? #今つらいあなたへ

受賞者 Yahoo! JAPAN
URL https://news.yahoo.co.jp/special/anti-bullying/
選考委員より
今日のメディア報道において、SDGsと関わりのない話題を探すことは難しいのでは、と感じるほどSDGsの文字がメディアに溢れています。それと同時にインターネットメディアはSDGsを前進させるのか後退させるのか、その役割と責任も大きくなってきています。そしてその役割も「伝える」だけでなく直接「アクション」を促そうとするものも増えてきたと感じます。今回はそんな視点から「いじめ そのときできることは? #今つらいあなたへ」を選ばせて頂きました。こちらの作品は、必要な情報や知識を、必要な人に、必要な時に届ける、そして一人でも多くの悩んでいる人、命を救いたい、という想いが非常にストレートな作品です。漫画や統計を用い、一貫して読み手目線に立った構成も素晴らしいです。(小木曽 麻里)

アクション・フォー・トラスト部門
記者の目:露メディアの改ざん疑惑 ネット情報、透明化せよ・連載 オシント新時代~荒れる情報の海の一連の報道

受賞者 毎日新聞社 木許はるみ
URL https://mainichi.jp/articles/20220317/ddm/005/070/017000cc
選考委員より
エントリーはロシアメディアによる日本のコメント欄の改ざん疑惑を指摘したコラム記事だった。だが、その土台には、2022年新年に連載した「オシント新時代 荒れる情報の海」という一連の記事があった。テーマはオシント(公開情報)。政治、社会、外交で重要になるオシントに着目、掘り下げて取材していた。中国政府の企業への関与を明らかにし、個人情報を割り出す「特定班」の手法や動機に迫り、公安調査庁がインテリジェンス活動でも強化した様子を報じた。一連の報道は、本部門の趣旨に極めて高く一致していたように思う。理屈を述べるより、具体的な事実をもってオシントの重要さを打ち出した一連の記事は報道の意義をあらためて示した。(森 健)

選考委員特別賞
教師から性暴力、34年後の勝訴 「重い扉」開けた男性の願い

受賞者 Yahoo!ニュース
URL https://news.yahoo.co.jp/articles/4c3f08455a7e1c422c7390bdcf7a09d41a362ebe
選考委員より
認知されにくい男性の性被害に迫った当記事は、これまで目が向けられづらかった「男性への性暴力」、また、「スクールセクハラ」という問題に切り込むことで、タイトルの通り、社会における「重い扉」をひとつ開くきっかけになった作品である。男性が実名で中学生時代に教師から受けていた性暴力を告白、34年後に加害教師を訴え、勝訴を勝ち取った。このコンテンツによって、改めて性被害は女性だけだという偏見を壊し、また、守られていると思われていた学校という閉ざされた空間でも被害は起こりうるという認知を広げたことの意義は大きい。また、筆者である秋山氏の長きに渡り、同問題を取材してきているバックグラウンドも当コンテンツの信頼性に寄与している。(谷本 有香)

選考委員特別賞
OSINTが切り拓く「報道の新時代」——世界のジャーナリストが注目する調査報道テクニック

受賞者 熊田安伸
URL https://www.mediatechnology.jp/entry/AllofOSINT
選考委員より
ネットメディアは、いい意味でも悪い意味でも、プロによるコンテンツとアマによるコンテンツを並列化する。その中で、水が低い方に流れてしまうのを恐れていた私だったが、昨年、それが杞憂と言うより、私の偏見であることに気づかされた。そして今年、現在、我が国における調査報道の第一人者である熊田さんによる本稿をはじめとして、複数取り上げられていたOSINT(Open Source Intelligence)は、一歩進んで、ネットメディアだからこそ質を深め、表現を高められることを示す好例だった。特に、Bellingcatを紹介する本稿は、これまでプロとその組織力に拠るとされていた調査報道の担い手を一般にも広げたという点でその意義は大きい。まさに、「報道の新時代」が切り拓く「インターネットメディアの新時代」だ。それはまた、そもそものリソースのオープン化が遅れる日本の後進性をも明らかにするものとなっているようではあるが……。(干場 弓子)

選考委員特別賞
後藤達也/Twitterなど

受賞者 後藤達也
URL https://twitter.com/goto_finance
選考委員より
マスメディアのビジネスモデルが大きく変わる中で、ジャーナリズムの機能をどう維持するのかは、インターネットメディアの抱える大きな課題の一つです。後藤達也さんは経済ニュースの分野で個人による信頼ある情報発信に取り組むことで、多くの読者から支持を獲得しました。Twitter、noteなどのツールを駆使し、ジャーナリスト個人の活動がサステイナブルであることを証明した活動は、大きなインパクトをもたらしたものとして、選考委員特別賞に選びました。(瀬尾 傑)

U30’s VIEW
選考委員 坪井俊輔(サグリ株式会社代表取締役CEO)
「WELgee」は、未来を奪われ日本にたどり着いた難民の再出発を支援する(ICC FUKUOKA 2022)

受賞者 NPO法人WELgee 渡部カンコロンゴ清花、ICCパートナーズ株式会社
URL https://youtu.be/VXDlvZCDB60
選考委員より
ICCサミットFUKUOKA2022ソーシャルグッドカタパルトの場と「未来を奪われ日本にたどり着いた難民の再出発を支援する」という7分間のWELgeeのプレゼンは2022年中に、私自身が最も心を動かされたコンテンツでした。WELgeeの活動は我が国の難民認定の現状や、なす術がないと思われる課題に自分ごととして取り組めるようにしている活動です。このようなソーシャルな活動に焦点を置き、誰もが見られるようにYoutubeや書き起こし記事などのコンテンツを発信をされているICCパートナーズやICCサミットの場は大きな貢献をしていると感じました。ICCサミットFUKUOKA2022ソーシャルグッドカタパルトでユーグレナ社の出雲充氏がされた「世界で一番アントレプレナーに冷たい国、日本」という発言も、WELgeeの渡辺カラコロンゴ清花氏が優勝時に日本社会の受け入れづらさに対する悔しさをコメントしている際も大きく惹きつけられるものがあり、私に非常にインパクトを残し、選考をさせていただきました。

U30’s VIEW
選考委員 中村多伽(taliki CEO talikiファンド代表パートナー)
neco-note

受賞者 株式会社neconote
URL https://www.neco-note.com
選考委員より
この度受賞された皆様、おめでとうございます。既存の枠組みの中だと解決できなかった社会課題に対して、メディアやコンテンツの力を活用することで構造変革を起こすきっかけとなる作品を選びました。まだ影響範囲は小さかったとしても、私の心を動かしたのと同様に社会を動かし影響力を増していくことと、それに共鳴して新たな作品が生まれ指数関数的に影響が増えることを願っています。

U30’s VIEW
選考委員 増田奈保子(大阪大学医学部医学科5年生)
NO YOUTH NO JAPAN

受賞者 一般社団法人NO YOUTH NO JAPAN
URL http://noyouthnojapan.org/
選考委員より
ただの学生である私が選ぶ側の立場に立たせていただいていることが畏れ多いですが、このアワードのお話をいただいたときにまず思い出したものの1つがNO YOUTH NO JAPANさんでした。活動を初めて知ったとき、若い世代の政治参加をもっと身近なものにすることを目指して掲げられた、「#わたしたちの生きたい社会をつくろう」というハッシュタグに深く共感したことを覚えています。特にInstagramを用いた発信では、政治や選挙そのものだけではなく、教育、所得、医療など、私たちに直接的に関係するトピックをわかりやすく発信されていることが印象的でした。若者に身近な媒体を用いて、U30が、U30に発信し、U30から変えていくムーブメント。僭越ながら、応援しております。

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一般社団法人インターネットメディア協会(JIMA)について

2019年4月設立(任意団体)。新聞、雑誌、放送からインターネット専業まで、インターネットでメディア活動を行うメディア企業、報道機関などを対象として、業態を超えて課題の共有、議論を行う一方、情報発信者および情報受信者を含んだ「リテラシー」向上のための社会的な活動を推進する団体。2021年6月22日に法人登記をし「一般社団法人インターネットメディア協会」を設立。2023年3月現在の会員企業(もしくは会員メディア)と賛助会員数は、57にのぼる。

JIMA : 一般社団法人インターネットメディア協会
私たちは情報にとって「信頼性」こそが命だと考えます。メディアやプラットフォームが、生活者(インターネットユーザー)により信頼される存在になるために、参考となる指針を議論し提案していくと同時に、フェイクニュースへの対応など最新の知見を共有していきます。
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