- 実証実験概要
1. 背景と目的
天龍村は長野県の南端部にあり、東西に11.4km、南北に9.9kmの不整形をなし、東に熊伏山を最高峰にして四囲が800m級の山に囲まれた面積108.9㎢の純山村です。村の中央を天竜川が南流しており、その支流が造るV字渓谷の中に集落が点在しています。高度経済成長以降、林業の長期凋落が原因で深刻な過疎化が進んでおり、買い物は飯田市へ出かける住民が多く、片道1時間程度の時間を要しています。また、少子高齢化が深刻な問題で、高齢化率が60%を超え、県内1位、かつ全国でも3位となっています。令和3年度末時点で食料品を扱う商店が2店舗しかなく、かつ店主の高齢化により存続が危ぶまれている状態で、こうした事態を打開するため、村では令和4年度に公設民営によるミニスーパー「満島屋」を開設しました。買物難民が増加していることに加え、点在する集落までの道路も狭隘かつ代替道がない地域も多く、災害時等は長期間孤立してしまう恐れもあります。
本実証実験により、村内の地域課題解決、ドローン配送導入による観光産業・経済の振興、地域雇用・人材育成・地域防災へのインフラ整備を推進してまいります。
2. 実施内容
今回の実証では中山間地域での災害時を想定し天龍村中学校に仮設ドローデポ®︎を設置して、エアロネクストが開発をした物流専用ドローンAirTruck*3を用いて避難所指定の天龍村小学校、天龍村保育所への救援物資と想定したカイロ、お菓子、食料品を配送しました。ドローンが空から降りて来て商品が届けられた際は、児童たちから大歓声があがり、児童代表の生徒は、「ドローン大きくてビックリしました。沢山運んでくれてありがとう。」とコメントしています。
今後も地域住民への理解促進及び地域課題の解決へ向けドローンをはじめとする次世代高度技術を活用しドローン配送と陸上配送を融合した新スマート物流”SkyHub®“の社会実装に向けた検討を進めてまいります。
※本実証実験は、ココネット株式会社がプライムとなり、一般社団法人環境普及機構より、令和4年度二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金交付対象事業(社会変革と物流脱炭素化を同時実現する先進技術導入促進事業)として採択されています。
(資料)
*1 新スマート物流
物流業界が共通に抱える人手不足、環境・エネルギー問題、DX化対応等の課題を、デジタルやテクノロジーを活用しながら解を探究し、人々の生活に欠かせない生活基盤である物流を将来にわたって持続可能にするための官民での取り組み。ラストワンマイルの共同配送、陸送・空送のベストミックス、貨客混載、自動化技術等々、業界内外の壁を越えたオープンパブリックプラットフォーム(O.P.P.)による共創で実現を目指す。
*2 新スマート物流SkyHub®︎
エアロネクストとセイノーHDが共同で開発し展開する、既存物流とドローン物流を繋ぎこみ、地上と空のインフラが接続されることで、いつでもどこでもモノが届く新スマート物流のしくみ。
ドローン配送が組み込まれた、オープンプラットフォームかつ標準化したしくみで、ドローンデポ®︎を拠点に、SkyHub®アプリをベースにした配達代行、オンデマンド配送、医薬品配送、異なる物流会社の荷物を一括して配送する共同配送などのサービスを提供する。SkyHub®の導入は、無人化、無在庫化を促進し、ラストワンマイルの配送効率の改善という物流面でのメリットだけでなく、新たな物流インフラの導入であり、物流改革という側面から人口減少、少子高齢化による労働者不足、特定過疎地の交通問題、医療問題、災害対策、物流弱者対策等、地域における社会課題の解決に貢献するとともに、住民の利便性や生活クオリティの向上による住民やコミュニティの満足度を引き上げることが可能になり、地域活性化を推進するうえでも有意義なものといえる。
*3 物流専用ドローン AirTruck
次世代ドローンのテクノロジースタートアップ、株式会社エアロネクストがACSLと共同開発した日本発の量産型物流専用ドローン。エアロネクスト独自の機体構造設計技術4D GRAVITY®*4により安定飛行を実現。荷物を機体の理想重心付近に最適配置し、荷物水平と上入れ下置きの機構で、物流に最適なユーザビリティ、一方向前進特化・長距離飛行に必要な空力特性を備えた物流用途に特化し開発した「より速く より遠く より安定した」物流専用機です。試作機は日本各地の実証実験で飛行し日本No.1の飛行実績をもつ。
*4 機体構造設計技術4D GRAVITY®
飛行中の姿勢、状態、動作によらないモーターの回転数の均一化や機体の形状・構造に基づく揚力・抗力・機体重心のコントロールなどにより空力特性を最適化することで、安定性・効率性・機動性といった産業用ドローンの基本性能や物流専用ドローンの運搬性能を向上させるエアロネクストが開発した機体構造設計技術。エアロネクストは、この技術を特許化し4D GRAVITY®特許ポートフォリオとして管理している。4D GRAVITY®による基本性能の向上により産業用ドローンの新たな市場、用途での利活用の可能性も広がる。
【天龍村とは】
天龍村は、長野県の南端に位置し、村の南側は愛知県と静岡県に接しています。東西に11.4km、南北に9.9km、面積の9割以上が山林で、村の真ん中を南北に流れる天竜川と、その支流が造るV字渓谷の中に集落が点在する「純山村」です。長野県で最も温暖な土地であり、いち早く梅や桜が開花することから、「信州に春を告げる村」をキャッチフレーズとしております。
*天龍村詳細についてはhttp://www.vill-tenryu.jp/ をご覧下さい。
【ココネット株式会社とは】
ココネットはセイノーホールディングスの子会社で、買い物弱者の課題解決に向けた取り組みを2011年より専門的に取り組み、御用聞き、食料品のお届け、見守りなどの活動を行い、ノウハウの蓄積を進めてまいりました。地域の隅々にまで目を向け、生活者の小さな困りごとを解決できる“ハーティスト”(お届けスタッフ)を通じて、新しいつながりを地域に生み出しています。「ハーティストに相談すれば何とかなる」地域のみなさまにとって、そんな安心に溢れるコミュニティを生み出したいと考えます。人と人をつなぐ、人と想いをつなぐ“コンシェルジュ”としての役割を担うことで、全国に心豊かな“くらし”を創造していきます。
*会社概要はhttps://www.coconet.co.jp/ をご覧下さい。
【セイノーホールディングス株式会社とは】
セイノーホールディングスは、価値創造型総合物流商社を標榜し、お客様に「時空を超えた価値提供」を目指しています。お客様の繁栄を基軸に、日本全体の効率化を意識したプラットフォームを構築すべく、オープンニュートラルな関係で業界内外において手を取り合い、お客様により良い最適なサービスを提供する「オープン・パブリック・プラットホーム構築(O.P.P.)」を具現化させることをグループの全体戦略としています。ラストワンマイル領域においては、生活様式の変化や構造変化に対応すると共に、買い物弱者対策、貧困家庭対策等の社会課題解決型ラストワンマイルO.P.P.の構築を積極的に推進・拡大しています。
*会社概要はhttps://www.seino.co.jp/seino/shd/overall-condition/ をご覧下さい。
【株式会社エアロネクストとは】
IP経営を実践する次世代ドローンの研究開発型テクノロジースタートアップ、エアロネクストは、空が社会インフラとなり、経済化されて、ドローンで社会課題を解決する世界を生み出すために、テクノロジーで空を設計する会社です。コアテクノロジーは、重力、空力特性を最適化することで、安定性・効率性・機動性といった産業用ドローンの基本性能や物流専用ドローンの運搬性能を向上させる、独自の構造設計技術4D GRAVITY®︎。この4D GRAVITY®︎を産業用ドローンに標準搭載するため強固な特許ポートフォリオを構成し、4D GRAVITY®︎ライセンスに基づくパートナーシップ型のプラットフォームビジネスをグローバルに推進しています。また、ドローンを活用した新スマート物流SkyHub®の実現のために戦略子会社を設立し、ドローン配送サービスの社会実装にも主体的に取り組んでいます。
*会社概要は https://aeronext.co.jp/company/ をご覧下さい。
【株式会社NEXT DELIVERYとは】
「人生100年時代の空と陸と時間を繋ぐ4D物流™インフラで、豊かさが隅々まで行き渡る国へ」をビジョンに、2021年に山梨県小菅村に設立されたドローン配送を主事業とするエアロネクストの子会社。エアロネクストとセイノーHDが共同で開発し展開する、既存物流とドローン物流を繋ぎこんだ新スマート物流のしくみSkyHub®︎の実質的な企画運営、全国展開を推進しており、ドローン配送に関わるハード及びソフトウェアの開発、製造、販売、レンタル及び保守事業等の周辺事業も展開しています。山梨県小菅村を皮切りに、北海道上士幌町、福井県敦賀市等、地域物流の効率化、活性化に取り組んでいます。
*会社概要は https://nextdelivery.aeronext.co.jp/をご覧下さい。
*エアロネクストおよびエアロネクストのロゴおよび、「4D GRAVITY(R)」「SkyHub(R)」「ドローンデポ(R)」「ドローンスタンド(R)」は、株式会社エアロネクストの商標です。
*その他、このプレスリリースに記載されている会社名および製品・サービス名は、各社の登録商標または商標です。