東海村と日立システムズによるBPR(業務改革)共同研究の結果について ー全業務可視化から業務量削減の実践による自治体BPR手法を構築ー

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 東海村(村長:山田 修/茨城県那珂郡東海村)と株式会社日立システムズ(代表取締役 取締役社長:柴原 節男、本社:東京都品川区/以下、日立システムズ)は、連携協定にもとづくBPR(業務改革)を前提としたDX手法に関する共同研究(期間:2021年7月~2023年2月)を実施してきました。2022年度は、2021年度の共同研究では至らなかった、全庁の業務の可視化やBPRによる業務量削減効果を測る検証とその実践を通じてBPR手法の構築に取り組みました。
 この取組みの中で、全29課を対象に4,339業務の業務内容および業務量を可視化したうえで、総労働時間の1.21%に当たる12,680時間相当の業務量削減案を創出しました。東海村は、この削減案をもとに業務改善計画を作成し、業務改善を実行しました。その結果、2022年度目標値(4,195時間)に近い3,968.7時間を削減できる見込みです。これにより、実践したBPR手法の有効性が確認できたため、東海村は共同研究を終えた後も、この手法に基づきBPRを継続し、2040年度の削減目標達成に向けさらなる業務量削減とDX推進に取り組みます。

■背景

・東海村では、「とうかい”まるごと”デジタル化構想」にもとづきDX(デジタル・トランスフォーメーション)を推進しており、東海村と日立システムズは、東海村のめざす「とうかい”まるごと”デジタル化構想」を共同で推進していくため、2021年6月24日に連携協定を締結しています。

・東海村は今回、最新の人口統計である東海村人口ビジョンをもとに業務量削減目標値を見直し※1、2040年までに現在の業務量を5.80%(60,303時間)削減する目標を再設定しました。そのために有効なBPR手法を検証・構築し、業務の見直しと業務へのICTツール活用、ひいては業務時間削減を実現するため、日立システムズと2022年度の共同研究に取り組みました。

※1昨年度は国⽴社会保障・⼈⼝問題研究所で2018年度に推計した将来人口減少率をもとに業務量削減目標値を策定

共同研究における2040年度までの業務量削減目標値共同研究における2040年度までの業務量削減目標値

 

 

■2022年度の実施内容および結果

 

(1)「庁内の業務内容・業務量の可視化」と「改善すべき業務の特定」

実施

内容

①現状把握

・全課に業務抽出アンケートを実施し、業務一覧を抽出

・全課に業務把握アンケートを実施し、業務一覧の各業務の業務内容と業務量を抽出

結果

・全29課、4,339業務の業務内容と業務量(計364,068時間/年)を可視化

・可視化した業務量をもとにABC分析を実施し、全業務時間の80%を占める592業務を優先

的に改善すべき業務に設定

 

(2)業務改善案を検討

実施

内容

②改善案検討

・業務改善案を検討し、業務改善実行計画を作成

結果

・優先的に改善すべき業務の中から各課で選定した数業務(計174業務)を対象に改善策を検討し、12,680時間の削減を見込める業務改善案を作成

・作成した業務改善案を、各課の実行計画として作成し、進捗を管理

 

(3)全庁的にBPR(業務改革)を実行する仕組みを整備・実行

実施

内容

③改善案実行

・改善案実行計画をもとにBPRを実行し、適時DX所管課が支援

④BPRマネジメント手法の確立

・BPRを実行するための仕組み、ルールを整備

・BPRに活用できるノーコードツールの試験的導入と活用できる人材育成

結果

・業務改善(業務内容の変更/RPA/AI-OCRなど)を実行し、30業務で総労働時間の0.38%(3,968.7時間)の削減率を達成

・BPRを実行するための仕組み(業務把握ツール、BPR運用ルールなど)を整備

業務改善の結果(抜粋)業務改善の結果(抜粋)

 

 

 2022年度の共同研究では、可視化した業務4,339業務のうち、分析結果から業務量の多い592業務を抽出し、その中から改善が見込める業務内容かどうかを見極めながら174業務について改善検討会を実施しました。

 

 検討した174業務の工数削減率を計算した結果、総労働時間の1.21%(12,680時間)の業務量削減が見込めることが分かりました。これは、東海村の定める業務量削減目標値の2024年度削減率を超える結果となっており、「とうかい”まるごと”デジタル化構想」の目標を達成できる期待が高まる結果となりました。

 また、策定した実行計画をもとに30業務の改善実行にも着手し、2022年度末には、総労働時間の0.38%(3,968.7時間)を削減する見込みです。

 

■今後の展望

 東海村は、2023年度以降もBPRを継続するとともに、積極的に新技術を取り入れることで、さらなる業務量削減とDX推進に取り組みます。そして、これらの取組みを通して、職員の改革意識を育てていき、生産性が高く高度化・多様化する住民ニーズに対応できる行政経営体へと転換していきます。

 日立システムズは、AI-OCRやRPAなどの業務量削減に向けた取組みに必要なIT技術の提供を通じて、今後も引き続き東海村のBPRを支援していきます。また、現在 国の主導で自治体情報システムの標準化が進められています。そのなかでもBPRの必要性が呼びかけられており、各自治体で検討を進めている状況です。今回の共同研究で得られた知見をもとに、業務改善のプロセス化およびプロセス実行を支援するサービスを検討し、自治体のBPRを成功に導いていきます。

 

■「とうかい”まるごと”デジタル化構想」の詳細について

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■日立グループにおける自治体DXの取り組みについて

自治体DX:公共ITソリューション: 日立
人々の生活の中で生まれる多種多様なデータ。日立はこれらのデータを活用し、人々の暮らしに還元できる街を考えています。地域が抱える、高齢化、少子化、人口減少、インフラ老朽化などさまざまな課題解決を、デジタルの力でサポートします。

 

■お問い合わせ先

東海村 総合戦略部地域戦略課デジタル戦略担当

〒319-1192 茨城県那珂郡東海村東海3丁目7番1号

E-mail:marudigi@vill.tokai.ibaraki.jp

 

株式会社日立システムズ お問い合わせWebフォーム

資料請求・お問い合わせ:株式会社日立システムズ
株式会社日立システムズ

 

以上

 

参考資料

■フェーズごとのBPR手法構築にあたって東海村で実践した取組み

 

①現状把握フェーズ

 東海村では、課ごとに分掌事務(例:「DXの推進に関すること」など)が定められており、その分掌の範囲でさまざまな業務を行っています。この分掌事務から業務に分解していく手法をとって、業務一覧を作成しました。

 その後、抽出した業務すべてに関し、業務担当者に作業内容や作業時間を入力し、一連の順序で可視化を行ったことにより、職員が違和感なく現状把握作業に取り組むことができました。

 また、業務可視化に必要な情報の記入については、業務フロー図の作成や詳細の業務手順をすべて記載すると職員の負担増となることから、入力項目を選択方式とするなど簡潔な文章を入力するだけで改善案を表現できるようなツールを作成しました。さらに、業務把握アンケートの確認・集計・分析を行う作業を自動化し、事務局の作業負担軽減を図りました。

 

②改善案検討フェーズ

 可視化した業務のうち、BPRの優先度が高い業務を容易に選定できるように「どのような業務がBPRによる業務量削減効果が高いか」などの分析が可能なツールを作成しました。しかし、機械的な選定では改善余地が見込めるか不確定であったため、ツールによる一次選定の後、村地域戦略課と日立システムズ共同で業務内容を確認し、最終的な改善検討会の対象業務を選定しました。

 改善検討会では、ほとんどの改善案を村職員がディスカッションを通じて導きだしました。BPRの直接的な効果は業務量削減ですが、実践を通じた職員の意識改革という効果も大きいとの共通理解を得ました。この過程および結果は、今後東海村でBPRを継続していくうえで、職員の改革意識とスキルのさらなる醸成につながったと考えます。

 

③改善案実行フェーズ

 改善案は「原課で実行するもの」と「DX推進(地域戦略)課で実行するもの」に分けられます。特に原課主体の改善案実行を促すために、複数回に分けて期限を設け、その進捗管理を行いました。

 

④BPRマネジメント手法の確立フェーズ

 BPRの実行内容やアウトプットを明確にすることで、「BPRで何をすればよいのか、どのような結果を得られるのか」を東海村と日立システムズ間で共有しながら進めました。また、東海村だけでなく、他自治体でも適応できるよう汎用性のあるマネジメント手法を前提に検討しました。

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