今回の調査は、大手企業(1001名以上規模)、中堅企業(101名~1000名規模)、中小企業(100名以下規模)といった従業員規模による傾向も分析しています。
調査の結果、電子帳簿保存法に対応した大手企業のうち6割以上がメリットを感じていることが分かりました。一方、中小・中堅企業では、約6割がデメリットを感じており、電子帳簿保存法に対応したサービスを導入せず、自社のみで対応をしている場合に「業務フローの複雑化」や「請求書処理時間の増加」といった課題が多く上がっていることが明らかになりました。
■調査結果サマリ
- 全体の約5割が電子帳簿保存法に対応しているが、対応している割合は大手企業が約7割、中小企業が約3割と差がある
- 電子帳簿保存法に対応した大手企業の6割以上はペーパーレス化の推進や業務効率化のメリットを感じているが、中小・中堅企業ではデメリットを感じている人の方がやや上回った
- 電子帳簿保存法に対応したサービスを導入せず自社のみで対応した場合、よりデメリットを感じる傾向が判明し、特に中堅企業では約8割と謙虚な結果に
■調査の背景
2022年1月の電子帳簿保存法改正から約1年が過ぎ、宥恕期間終了まで1年を切りました。企業は電子帳簿保存法への対応にどのように向き合っているのか、対応状況や課題を明らかにするため「電子帳簿保存法に関する実態調査」を実施しました。
■調査の結果
- 全体の約5割が電子帳簿保存法に対応しているが、対応している割合は大手企業が約7割、中小企業が約3割と差がある
請求書関連業務に携わる1000名のビジネスパーソンのうち、電子帳簿保存法に「対応している」と答えたのは49.2%で「対応していない」が39.7%、「分からない」が11.1%でした。
また、従業員規模別に見てみると、大手企業では「対応している」が76.0%である一方、中小企業は「対応している」が37.6%という結果となり、従業員規模によって対応状況に大きな差があることが分かりました。
- 電子帳簿保存法に対応した大手企業の6割以上はペーパーレス化の推進や業務効率化のメリットを感じているが、中小・中堅企業ではデメリットを感じている人の方がやや上回った
続いて、電子帳簿保存法に対応した企業に、対応によ変化をたずねたところ、大手企業はメリットの方が大きいと回答した人が62.2%だったのに対し、中小・中堅企業ではデメリットを感じている人の方がやや多い結果となりました。
また、メリットの方が大きいと答えた大手企業に、具体的な理由を聞いてみると、第一位は「勤務先で書類のペーパーレス化が進んだ」、第二位は「請求書を処理する時間が減った」、第三位は「請求書を探すのが容易になった」でした。電子帳簿保存法への対応はペーパーレス化や業務効率化の推進につながっていることが分かりました。
- 電子帳簿保存法に対応したサービスを導入せず自社のみで対応した場合、よりデメリットを感じる傾向が判明し、特に中堅企業では約8割と謙虚な結果に
続いて、中小・中堅企業の中から、電子帳簿保存法に対応したサービスを導入せずに自社のみで対応した人に、メリットとデメリットのどちらが大きいかを聞きました。その結果、中小企業においては64.2%、中堅企業においては77.8%がデメリットの方が大きいと感じていることが分かりました。前述の通り、中小・中堅企業は対応方法によらずデメリットの方が大きいと感じている人が過半数に上りましたが、自社で対応した場合には、よりデメリットを感じていることがうかがえる結果となりました。
デメリットを感じている理由の第一位は「業務フローが複雑になった」、第二位は「請求書を処理する時間が増えた」、第三位は「対応方法の策定や社内周知の策定が大変だった」でした。自社で対応する場合、業務フローを再構築する必要があり、それに伴うさまざまな課題が生じていることが分かりました。
■総論:約半数が電子帳簿保存法に対応しているが、自社対応の場合は業務負荷がかかってしまう傾向に
今回の調査で、2022年1月に施行された電子帳簿保存法への対応は、大企業ほど進んでおり、従業員規模によって対応状況に大きな差があることが分かりました。
また、大手企業ほど電子帳簿保存法への対応にペーパーレス化の推進や業務効率化といったメリットを感じている一方、中小・中堅企業では、デメリットを感じる傾向が強いことが分かっており、自社での対応による業務の複雑化が要因であることが明らかになりました。
大手企業と比較して、中小・中堅企業では自社対応の場合最低限の法対応以上に予算や人員を割くことが難しく、その結果、新たな業務負荷が生まれていることが予測されます。
現在の対応方法を見直す企業も出てくると考えており、電子帳簿保存法への対応と業務効率化を同時に実現できるサービスの需要はより一層高まると考えられます。
■Sansan株式会社 Bill One Unit プロダクトマーケティングマネジャー 柘植 朋美のコメント
今回の調査を通じて、改めて実感したのは従業員規模によって電子帳簿保存法の捉え方に差が生じていたことでした。特に中小・中堅企業において、自社で対応することによって業務負荷が増加している点については、経理DXを推進している当社としても解決していきたいと考えています。
令和5年度税制改正大綱では、検索機能の確保要件やスキャナ保存要件の一部緩和が発表されましたが、これは「電子帳簿保存法に対応しなくてよい」ではなく、「各企業に合ったやり方で対応をしていこう」というメッセージだと理解しています。経理の現場では、紙の請求書による、確認・保管工数の増加やテレワーク移行ができないなど、いまだに多くの課題が残っています。また、2023年10月にはインボイス制度の導入も予定されており、請求書業務が大きく変わっていく中、業務の見直しは急務です。
電子帳簿保存法の目的は対応することではなく、対応をきっかけにペーパーレス化や業務効率化を推進することだと考えています。実際に、今回の調査でも「ペーパーレス化が進んだ」「請求書の処理時間が短縮された」などのメリットが挙げられていました。当社では、より多くの企業が電子帳簿保存法に対応し、業務効率化や月次決算の加速といった効果を感じられるよう、引き続きサポートを行っていきます。
■調査概要
調査名: 電子帳簿保存法に関する実態調査
調査方法:オンライン上でのアンケート調査
調査地域:全国
調査対象:請求書を取り扱う業務を担当するビジネスパーソン1000名
調査期間:2023年1月25日~2023年2月3日
調査企画:Sansan株式会社
※1:請求書関連業務とは、請求書の受け取り、振り分け、内容確認、支払い申請、支払い承認、経理部門への請求書提出、請求書の仕訳入力、支払いの実施、請求書の保管などを指します。
(以上)
■請求書受領から、月次決算を加速する「Bill One」
Bill Oneは、Sansan株式会社が提供するインボイス管理サービスです。郵送やメールといったさまざまな方法・形式で届く請求書をオンラインで一括受領し、素早く正確にデータ化。請求書をクラウド上で一元管理することで、アナログで非効率な請求書業務をデジタル化します。インボイス制度や電子帳簿保存法にも対応し、月次決算業務を効率化することで、企業経営における意思決定のスピードを加速します。
■Sansan株式会社 会社概要
「出会いからイノベーションを生み出す」をミッションとして掲げ、働き方を変えるDXサービスを提供しています。主なサービスとして、営業DXサービス「Sansan」やキャリアプロフィール「Eight」、インボイス管理サービス「Bill One」、契約DXサービス「Contract One」を国内外で提供しています。
設立:2007年6月11日
URL:https://jp.corp-sansan.com
所在地:150-0001 東京都渋谷区神宮前5-52-2 青山オーバルビル 13F
資本金:65億11百万円(2022年11月30日時点)
事業内容:働き方を変えるDXサービスの企画・開発・販売
Sansan https://s.sansan.com
Eight https://8card.net
Bill One https://bill-one.com
Contract One https://contract-one.com