上田正樹さんをゲストに迎えて2月12日(日)に開催された『無学 鶴の間』第10回のレポートを公開いたします。
- イベントレポート
『無学 鶴の間』第10回のゲストは、京都市出身のR&B・ソウルシンガー、ソングライターである上田正樹。1983年「悲しい色やね」がシングルチャート1位となり、一躍ブレイクを果たした後も、そのヒットに甘んじることなく、パワフルな活動を続け、日本を代表するシンガーとしてワールドワイドに活躍している。
上田とは古い付き合いだという鶴瓶が「本ちゃんの『無学』には出てくれましたが、こちらの配信の方にも出てもらいたいと思っていました」という言葉とともに上田を呼び込むと、集まった観客は大喜び。「よう来てくれた、ホンマに。体重も変わってないんちゃう? なんでこんなに変わってないの?」と鶴瓶が感心した様子を見せると、上田が「家系ちゃうか? ボクの所の家系は、大体こういうやせ型が多いんですよ」と返すなど、関西出身の二人ならではのリラックスした雰囲気で終始、トークが繰り広げられた。
上田がシンガーを志そうと思ったきっかけは高校時代。「朝日のあたる家」などのヒット曲で知られるイギリスのロックバンド、アニマルズの来日公演で聴いた「ブーン ブーン」に衝撃を受けたからだという。「当時はそれがブルースだということも分からなかった。それでいきなり3階の奥からブワーッと走ってきて。手前まで来て、イエーッと歌ってて。(ボーカルの)エリック・バードンという人がボクに握手をしてくれた。そのとき、自分の全部の細胞が震えるくらい感動して、絶対にこれをやろうと思った」と上田が振り返ると、「それがブレてない。今もずっと歌い続けているからな」と返した鶴瓶。上田も「だからすごいラッキーだった」としみじみ付け加えた。
だが当時は、ロックをはじめとしたビートの強い音楽をやる人間は不良だと言われ、大人たちが眉をひそめていた時代。もちろん上田の家族も大反対だったというが、「どうしてもやりたかった。しょうがないから家出をするしかないと思って。でも書き置きをして出ていくのはマズいから。風呂おけとバイトで買った安いギターを持って『ちょいと風呂に行ってくるわ』と言って走って出ていった。ただ東京に行く金はなかったから、近所の(大阪の)天王寺公園に行って。その日はそこのベンチで寝ようかと思ってたら、おっさんが『誰のベンチで寝てんねん』と。『誰のベンチって決まってるんですか』と言ったら。『俺のベンチや!』と。その当時、ホームレスの人が30人くらい。(会場を見渡して)ちょうどこれくらいちゃうか?」と付け加え、会場は大笑い。
さらに「ただその人が偉いのは、厳しかったの。水道があるから、寝る前に歯を磨きなさいと言われて。で、ベンチの横にダンボールでベッドを作ってくれた。ええとこあるやろ」と続けた上田に、鶴瓶も「今はそういうころが薄れてきているけど、そういうことですよ」と深くうなずいてみせる。だがその男性は、翌朝、目を覚ました上田に「お前、何か持ってるなら、なんかやれ」と言ってきたという。「それで英語の歌を、『ブーン ブーン』とか歌ったけど、『そんなんしょうもない。森進一を歌え』と。でも(森進一の曲は)全然分からへん。そんなんがスタートでした」と笑いながら付け加える上田だった。
その後、伝説のスーパーバンド”上田正樹とサウス・トゥ・サウス”を結成し、音楽シーンに鮮烈な印象を残した上田だったが、同バンド解散後に高知に移住した時期があったという。「そうしたら東京の事務所の人が高知まで来て。それまでは歌謡曲みたいなのはアカンと言い続けてきたんだけど、『アカンって言わずに一回やってみて。身体がアカンかったら(本当に)アカンにしよう』と言われて、それで行くことにした」と振り返る上田だが、その3~4年後に出したシングル曲「悲しい色やね」が大ヒットを記録することとなる。
だが周囲の盛り上がりをよそに、本人としては戸惑いの方が大きかったという。「道を歩いていると『上田正樹や』と言われて、めっちゃビックリして。ただこうなると、ちょっとはカッコつけないとアカンのかなと思うようになったんやけど、そんな時に鶴瓶ちゃんの番組に出させてもらって。笑ったらアカン。笑ったら退場みたいなルールの番組だったんやけど、その時に鶴瓶ちゃんがみんなの前に出てきて、『お尻かいたら粉が出た』と言ったら、みんながワーッと笑ったんです。やっぱりあれが自分の好きなことをやろうと思った原点だった」と振り返った上田は、「やはりずっと音楽をやってこられたのも、『お尻かいたら~』があるから。あのままカッコつけてたらたぶん、今はもうやってないと思う」と笑顔。それを聞いた鶴瓶も「『お尻かいたら粉が出た』がそこまで影響して、うれしいわ」と笑ってみせた。
そしてその後は上田が歌を披露することに。一曲目はキーボードの弾き語りで「悲しい色やね」。ジャジーなキーボードの音色と、ブルージーな歌声が響き渡り、一気に会場を別世界へと誘った。
続いて横須賀出身のシンガーYoshie.Nも合流し、今度はギターの弾き語りで「River Side Blues」を披露。ギターを手にした上田は、「今からやる曲は、鶴瓶さんの番組で北海道の余市に行った時に、そこの川のほとりで作った曲です。最初は『余市川ブルース』という曲にしようかなと思ったんですけど、なんだか演歌の人みたいだなと思って、『River Side Blues』というタイトルにしました」と紹介。ゆったりとレイドバックしたサウンドに、上田のスモーキーな歌声と、Yoshie.Nのパワフルな歌声が絶妙に絡み合うと、会場はいつしか拍手でリズムを刻み込んでいた。
そして最後は、鶴瓶が吉岡里帆と共演したドラマ「しずかちゃんとパパ」のエンディングテーマを上田が担当した「You are so beautiful」。「普通は、だいたいレコード会社の人が、ドラマの曲に決まりますと連絡するんですけど、これは鶴瓶ちゃんが『今度使われるで』と電話してきて。(上田が)『ほんまかいな』ということがありました。以上です」と簡潔にその経緯を説明し、会場を沸かせた上田。オリジナル版のジョー・コッカーをほうふつとさせるようなブルージーな歌声と、そこに優しく寄り添うようなYoshie.Nのコーラスが作り出す極上の空間にそっと耳を傾ける観客たち。中には涙を流す人もいたほどだった。
このこぢんまりとした空間で歌を披露することになり、「すごいうれしいです。(お客さんが)ものすごく間近にいてるから」とご機嫌な様子を見せた上田は、「いちおうアンコールね」と呼びかけて「陽よ昇れ(Let it shine on )」を披露。上田とYoshie.Nの絶妙な掛け合いが会場をリラックスムードに包み込み、そして歌い終わった彼らに鶴瓶たちから「アンコール」のかけ声が。
実はそれ以上の曲は何も準備をしてなかったという二人だが、最後の曲として急きょ「ゆたかなくらし」を披露することに。終始、パワフルに歌いあげた二人に、鶴瓶たちも「ありがとう!」と二人に惜しみない拍手を送る。「こうやって人がいて、笑うのも必要やな」としみじみ語る上田に、「そう、エンタメって必要なんですよ」と返した鶴瓶。あらためて「ずっと死ぬまでやると思いますんで」と宣言する上田に、会場からも大きな拍手が送られた。
『無学 鶴の間』は、毎月1回、U-NEXTにて独占生配信を行なっており、次回(第11回)は、3月4日(土)の生配信を予定しています。また『無学 鶴の間』過去の配信回は、見逃し配信/アーカイブ配信中。生配信を見逃した方も、ぜひお楽しみください。
【『無学 鶴の間』第10回 見逃し配信はこちら】
https://video.unext.jp/?lc=LIV0000000744
【番組公式Twitter】
https://twitter.com/mugakutsurunoma
【『無学 鶴の間』(第10回)配信情報】
◆配信期間
見逃し配信:配信中
※配信開始から一定期間経過後、見放題作品へ切替えて配信を継続する予定です。
◆出演 笑福亭鶴瓶、<ゲスト>上田正樹
◆会場 帝塚山無学
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