超高ダイナミックレンジの分光器を開発
2月1日より受注開始
紫外光から近赤外光の領域にある物質の吸収を利用する成分分析装置に本製品を組み込み、試料に多く含まれる光の吸収量が多い成分と吸収量が少ない微量成分を同時に分析することで、薬品や化学品などの品質管理における成分析の効率を高めることができます。また、プラズマの発光を高精度に分析することができるため、プラズマの応用研究が進むと期待されます。
本製品は、国内外の分析装置メーカーや大学、研究機関などに向け、2月1日(水)より受注を開始します。なお、本製品は1月31日(火)から2月2日(木)までの3日間、米国カリフォルニア州サンフランシスコで開催される国際会議「SPIE Photonics West(フォトニクス ウエスト)2023」の併設展示会に出展します。
光学部品の一種であるホログラフィックフィルタの光の吸収度合いを示すOD値の測定結果。測定条件を弱い信号に合わせると強い信号が飽和するため正しいデータの取得が困難だが、本製品はダイナミックレンジが高いため、弱い信号から強い信号までを同時に正しく測定することができる。
<製品の概要>
本製品は、光半導体素子と分光光学系を一体化した、超高ダイナミックレンジの分光器です。
物質の光吸収量の測定において、分子には固有の振動があり、そのエネルギーに起因する特定の波長の光を吸収する性質を利用します。このため、試料に光を照射し透過や反射した光を測定することで、試料に含まれる成分の種類や量を分析することができます。
当社は、紫外光から近赤外の領域に感度があり、その範囲の波長を同時に測定できるマルチチャネル型の分光器を開発、製造、販売していますが、従来製品はダイナミックレンジに限度がありました。このため、例えば光の吸収量が大きく異なる成分が含まれている試料の成分分析では、測定条件を調整し複数回の測定を行う必要がありました。また、強い信号と弱い信号が同時に存在するプラズマ発光において、弱い信号を精度よく分析するためには、強い信号をフィルタでカットする必要がありました。当社は、これらの計測の効率向上に向け、高ダイナミックレンジ分光器の開発に取り組んできました。
今回、独自の設計技術を応用し光半導体素子の構造を工夫するとともに、独自のソフトウェア技術により、極めて高いダイナミックレンジを実現しました。この結果、200nmから900nmの光の波長範囲において、従来製品の約100倍となる2,500,000:1と超高ダイナミックレンジで強い信号と弱い信号を同時に測定することができる分光器の開発に成功しました。また、独自の光学設計技術により、分光器に組み込む光学系の設計を工夫し、トレードオフの関係にある高感度と高波長分解能を両立するとともに、迷光(※2)の発生を抑えることで測定精度を高めています。
光の吸収を利用する成分分析装置に本製品を組み込むことで、試料に多く含まれる光の吸収量が多い成分と、吸収量が少ない微量成分を高い精度で同時に分析することができます。この結果、薬品や化学品などの品質管理において、複数回の測定を行うことなく微量に含まれる不純物を検出できることから成分分析の効率を高めることができます。また、強い信号と弱い信号が同時に存在するプラズマの発光を高精度に分析することで、プラズマの応用研究が進むと期待されます。
今後、本製品を拡販するとともに新たな用途を開拓していきます。
※1 ダイナミックレンジ:識別できる光の強さの最小値と最大値の比率。比率が大きいほど、より強い光とより弱い光の量を同時に正しく計測できる。
※2 迷光:測定に使用する信号光以外の不必要な光で、測定誤差が生じる要因となる。
<製品の主な特長>
1.2,500,000 :1 の超高ダイナミックレンジを実現
光半導体素子の構造を工夫し、200nmから900nmまでの光の波長範囲において、ダイナミックレンジを従来製品の約100倍となる2,500,000:1まで高めたことで、これまで識別できなかった信号も測定できます。
2.高感度、高波長分解能、低迷光で測定精度を向上
分光器に組み込む光学系の設計を工夫することで、感度を損なうことなく波長分解能を高めています。同時に、迷光の発生を抑えることで高い測定精度を実現しています。
●受注開始 2023年2月1日(水)
●販売価格(税込) OPAL-Luxe 高ダイナミックレンジ分光器 C16736-01 7,370,000円
●販売目標台数 初年度50台/年、3年後200台/年
<製品案内ページ>
https://www.hamamatsu.com/jp/ja/product/photometry-systems/spectrometer/spectrometer/opal-luxe.html
<当社Webサイト>
https://www.hamamatsu.com/jp/ja.html
この件に関するお問い合わせ先
■報道関係の方 浜松ホトニクス株式会社 広報室 野末迪隆
〒430-8587 浜松市中区砂山町325-6 日本生命浜松駅前ビル
TEL053-452-2141 FAX053-456-7888 E-mail: nozue-m@hq.hpk.co.jp
時間外は、携帯電話080-8262-0374へお願いします
■一般の方 浜松ホトニクス株式会社 システム事業部システム営業推進部 鈴木健司
〒431-3196 静岡県浜松市東区常光町812
TEL053-431-0150 FAX053-433-8031 E-mail: s-kenji@sys.hpk.co.jp