GEヘルスケアと愛媛大学、乳がん高精度診断に向けた共同研究の初期検討結果を発表

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GEヘルスケア・ジャパン株式会社(以下 GEヘルスケア、本社:東京都日野市、代表取締役社長兼CEO:多田荘一郎)と国立大学法人愛媛大学(以下、愛媛大学、愛媛県松山市、学長:仁科 弘重)は、2021年よりGEヘルスケアと愛媛大学が開始した共同研究を通じて、人工知能を用いることで、乳腺病変の良悪性鑑別の精度を向上させることができる可能性を示唆する初期検討結果を発表しました*。
今回の研究では、愛媛大学医学部附属病院で得られた乳がん病変データに人工知能技術を使用した解析を行います。この研究により、乳腺病変の良悪性鑑別の精度を向上させることで、将来的に患者さんの乳がんの診断や治療に伴う身体的負担や心理的不安、検査コストの低減につながる可能性があります。これまで、乳腺MRIでは、Breast imaging reporting and data system(BI-RADS)[i]を用いて良悪性診断が行われてきましたが、人工知能を活用することで、新たな診断方法の確立を目指し、患者さんにとって有益な技術となるよう、開発をすすめていきます。

写真左から、愛媛大学:松田 卓也助教/松田 恵講師/城戸 輝仁教授/山下 政克教授、
GEヘルスケア・ジャパン:松葉 香子執行役員/ハック・ハスナイン シニアサイエンティスト/植竹 望部長

背景:罹患率第1位にある乳がんの早期発見・良悪性鑑別能の向上が多くの患者の利益につながる
2019年の日本女性の乳がんの罹患数は97,142と全てのがん種の中で第1位、死亡数も年々増加の一途をたどっており、乳がんの早期発見および良悪性の鑑別が長らく課題としてありました[ⅱ]。
乳がん検診では、通常、視触診・マンモグラフィなどの検査が実施され、乳がんの早期発見に非常に有用です。乳がん検診でがんの疑いがある病変が発見された場合、精密検査として超音波検査やMRIなどの画像検査が行われます。精密検査では、病変の部位や大きさを確定し、医師によってそれらの検査画像を肉眼的に評価したり、画像上で様々な数値などを手動で測定したりした結果から、判断基準に即した良悪の鑑別も行います。しかし、本当は良性でも悪性と区別が難しい画像の見え方となったり、逆に、本当は悪性でも良性と紛らわしい画像となったりする場合もあります。これらの画像検査において、従来の判断基準で、ある程度悪性が疑わしい結果であれば、病変の組織を採取し、病理組織学的診断による確定診断が行われます。
しかし、病理組織学的診断は病変の一部を採取するために針を刺すなど侵襲性が高く(体に負担があること)、患者さんにとって身体的負担、結果を待つまでの心理的ストレスがあります。このことから、苦痛やストレスから患者さんを守るためにも、病理組織学的診断前に高い診断精度で病変の良悪性の鑑別が可能な新たな検査法の開発が長らく望まれてきました。

人工知能技術を用いることで非侵襲的かつ鑑別精度の高い手法の開発を目指す
GEヘルスケアと愛媛大学は、乳がんの早期発見・診断精度向上に向けた非侵襲的な検査方法を開発するべく2021年より共同研究を開始しました。共同研究では、愛媛大学医学部附属病院で得られた乳腺病変のデータに人工知能技術を使用した解析を行い、画像データから人工知能を用いて乳腺病変の良悪性を鑑別できる可能性を示唆する結果を得ました。
精密検査の際に撮影するMRIに人工知能技術を活用することで、非侵襲的な画像検査の段階で従来までの良悪性診断方法よりも、高い精度で病変の良悪性を鑑別できる可能性があります。将来的に、開発が進めば、生検による患者さんの身体的負担や結果を待つことへの不安などの心理的ストレス、そして検査コストの低減が期待されます。
本結果は初期検討のため、今後更なる研究を行い、臨床診断に有益な感度および特異度を有した解析手法を確立できるよう、引き続き取り組んでまいります。

■愛媛大学医学部附属病院 放射線科で医師を務める松田恵は次のように述べています。
「従来までの一般的な乳腺MRIでの良悪性鑑別方法であるBI-RADSを用いた診断では特異度が高くない点など、診断精度に限界がありました。また、MRI検査では、非常に多数の種類の画像・数値データなど大量の情報を総合的に判断して診断を行わなければならないのですが、人間の目で認識し、解釈することが一度にできる情報量は限られています。しかし、人工知能は我々人間の目で認識や解釈が困難な情報も認識し、処理できる可能性があると考えられます。そこで、MRIによる画像診断を行う際に、人工知能技術を医師が補助的に使用することで良悪性の診断精度を向上できるのはないかという仮説を持ちました。
人工知能を活用することで、乳腺MRIによる良悪性鑑別の精度を向上させることで、将来的には、精密検査として画像検査を行った後の生検を回避することで乳がんの診断や治療に伴う患者さんの身体的負担を軽減できたり、検査コストを低減できるなど、患者さんにとっての利益につなげることができるのであれば、素晴らしいと考えております。GEヘルスケアと共同で取り組んできた研究を通じて、まだ初期検討の段階ではありますが、期待できる結果が出てきたことを嬉しく思います。患者さんとそのご家族のためにも臨床で使うことができるよう、引き続き研究を重ねてまいります。」

■GEヘルスケア・ジャパン研究開発部長、Japan Research Leaderの植竹望は次のように述べています。
「愛媛大学様とは今までも様々な話題で共同研究させていただいておりますが、先生方の患者さんへの思いやりと医療課題を解決する情熱に感銘を受けています。本研究話題において、先生方との共創により日本のみに限らず世界中で課題となっている乳がんの診断課題を克服する可能性を示唆する初期検討結果に至った事を大変うれしく思います。今後も共同研究をすすめ社会実装を経て世界中の患者さんに高精度診断を提供することを目指します。」

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* 第42回 医療情報学連合大会(第23回日本医療情報学会学術大会)
[ⅰ] ACR(American College of Radiology)により乳房画像診断の用語などの標準化と精度管理を目的としたガイドライン。日本のカテゴリー分類は悪性の確信度を示しカテゴリー1(異常なし)から5(悪性)に分類される。
[ⅱ] 国立がん研究センターが運営している公式サイト、がん情報サービス(https://ganjoho.jp/public/index.html)が2022年10月05日に掲載した統計
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■愛媛大学医学部について
愛媛大学医学部は1973年に発足し、1976年に医学部附属病院を開院しました。医学部創設以来の基本理念である「患者から学び、患者に還元する教育・研究・医療」のもと、一貫して患者から学ぶ真摯な態度と教育・研究・医療の成果を患者に還元する優れた能力を併せ持つ医療人の育成に努めています。愛大病院では愛媛県の中核病院として、愛媛県民から信頼され愛される病院、患者さんの立場に立てる医療人の養成、愛媛で育ち世界に羽ばたく医療の創造を目標に、地域に根ざした医療を実践しています。
詳細はホームページ(医学部:https://www.m.ehime-u.ac.jp/)(附属病院:https://www.hsp.ehime-u.ac.jp/)をご覧ください。

■GEヘルスケア・ジャパンについて
GEヘルスケア・ジャパン株式会社は、GEヘルスケアの中核拠点の1つとして1982年に創設されました。予防から診断、治療、経過観察・予後管理までをカバーする「プレシジョン・ヘルス」の実現を目指し、
インテリジェント機器やデータ分析、ソフトウェア、サービス等を提供しています。国内に研究・開発、製造から販売、サービス部門までを持ち、日本のお客様のニーズにお応えしつつ、日本が直面する医療課題の解決に取り組んでいます。日本における社員数は約1,700名、本社および60カ所の事業拠点があります。
詳細はホームページ www.gehealthcare.co.jp をご覧ください。

 

 

 

 

 

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