リアルテックファンド、高性能な分離膜により熱エネルギーに依存する分離・精製工程の変革を目指すSEPPUREへ出資

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 リアルテックホールディングス株式会社(所在地:東京都墨田区、代表:丸幸弘、永田暁彦、以下:「当社」)が運営するリアルテックグローバルファンド※1は、耐熱・耐圧・耐有機溶剤性と優れた透過・分離性能を備えるナノろ過膜を開発するシンガポール発のベンチャーSEPPURE Pte. Ltd.(以下、「SEPPURE」)への出資を実施したことをお知らせします。当社は、顧客開拓と日本企業・研究機関・町工場等を活用した大規模システムの製造支援を通じてSEPPUREの成長に貢献して参ります。

現状の化学分離工程の課題
 食用油や石油、創薬、半導体等の様々な産業において、溶液中の成分を分離・精製する工程は幅広く存在します。例えば、植物油産業において、オイルシード(原材料)から油を抽出法により搾取する際、有機溶剤(アセトン・ヘキサン等)が使用されます。しかし、有機溶剤は有害なため、その後工程で分離・回収(溶剤回収)が必要です。現状は、熱エネルギーを活用した蒸留等が広く活用されています。しかし、熱を活用した分離は、世界で消費されるエネルギーのうち約15%を消費する※2と言われており、環境負荷が非常に大きい手法です。
 一方、事業会社にとっては、燃料の高騰によるコストの上昇や爆発事故の危険性が課題として挙げられます。これらの課題に対して、環境負荷を削減しながら、事業会社の利益や付加価値を向上させる解決策が求められています。
 ろ過膜は有効な解決法であり、長らく基礎研究がされてきた分野です。しかし、現状では浄水処理や海水淡水化への活用は進んでいるものの、溶剤回収のような化学分離においては実装が進んでいません。主な原因としては、有機溶剤中では膜が膨潤・溶解してしまい、性能を発揮することができないことが挙げられます。

優れた耐熱・耐有機溶剤性と透過・分離性能を備えるナノろ過膜を開発
 SEPPUREは、創業者兼CEOであるMohammad Farahani氏がシンガポール国立大学(NUS)でのPhD在籍中に開発した技術をもとにスピンアウトしたベンチャーです。SEPPUREが開発している膜は、分子量が150〜2000g/モルの範囲の溶質を優先的に除去する高分子膜です。独自のレシピにより、ポリマー同士を架橋し、耐熱(100〜150℃)に優れた素材に加工を施すことにより、広範囲なPh・極性・非極性の液体中でも安定して性能を発揮することができます。さらに、独自の製造ノウハウを活用して中空糸膜を成形することで、競合の分離膜と比較して10〜20倍の透過性や4〜5倍の単位面積を実現しました。
 SEPPUREのナノろ過膜を活用し、従来の熱を活用した分離・精製工程を代替することで、30%以上の運用コスト、60%以上のCO2排出量削減が見込めます。植物油用途では、前述の溶剤回収の工程ですでに実証が進んでおり、2022年1月にはシンガポールとインドに拠点を有するレシチン製造業者であるGIIAVA社と、産業規模システムの導入に向けたMOU※3を締結しました。植物油用途での大規模化と並行して、熱分離による環境負荷や高額な燃料費や分離による成分ロスが課題となっている化学・石油化学・半導体等の他産業への導入も模索して参ります。小規模サンプルでのPoC/試験が可能ですので、環境にやさしい分離・精製を探求している企業の皆様は是非ともSEPPUREとの連携をご検討ください。

投資の目的と資金使途
 かねてより日本市場へ進出していたSEPPURE社は、当社グループ会社のリバネスが主催するTECH PLANTER DEMO DAY in Singapore2021に参加し、リアルテックホールディングス賞を受賞する等、リアルテックエコシステムとの関係性を築いてまいりました。SEPPUREは日本市場を重要視しており、植物油産業に限らず、化学・半導体・石油化学等の産業における実証パートナーとの連携を期待しています。当社は唯一の日本籍VCとして今回の調達ラウンドに参画いたします。パートナー企業やエコシステムとの連携を通じて、SEPPUREの日本市場進出を支援いたします。また、大規模システムの実装に挑戦するSEPPURE社に対して、パートナー企業や町工場ネットワークを活用した製造の支援も併せて実施して参ります。

※1:正式名称:「リアルテックグローバルファンド1号投資事業組合」
※2:https://www.nature.com/articles/532435a
※3:https://www.linkedin.com/pulse/decarbonizing-agri-food-sector-seppure-giiava-partner-build-worlds-/

SEPPUREについて

  • 設立年月:2018年10月15日
  • 所在地:The Galen, 61 Science Park Road, #03-09, Singapore 117525
  • 代表者:Dr. Mohammad Hossein Davood Abadi Farahani
  • 事業内容:高い耐有機溶剤性と分離性能を備えるナノろ過膜を開発
  • 公式サイト:https://www.seppure.com/
  • 出資時期:2022年10月

■リアルテックファンドについて
地球や人類の課題解決に資する革新的テクノロジーを有するスタートアップ(リアルテックベンチャー)への投資育成を行うベンチャーキャピタルファンドです。国内外の政府・企業・自治体と密に連携し、技術の社会実装を最速・最大化させるためにフルハンズオンで支援を行っています。これまで200億円以上を運用し、国内外のスタートアップ70社以上に投資しています。 2021年には、ディープテック領域に投資するファンドとしては日本で初めてのインパクト投資ファンドを設立しました。

■リアルテックホールディングスについて
地球や人類の課題解決に資する革新的テクノロジー(リアルテック)の社会実装を目指して創設された、株式会社ユーグレナと株式会社リバネスの合弁企業です。研究開発型スタートアップとして幾多の困難を乗り越えてきたユーグレナと、研究から技術の社会実装への包括的な支援を行うリバネスの知見を活かし、投資育成などの事業を行っています。
HP: https://www.realtech.holdings

<お問い合わせ先>
リアルテックホールディングス株式会社
広報担当:成田
https://www.realtech.holdings/contact

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