予想増益率は夏号から一段と向上 自動車など輸出産業で円安追い風

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 3月期決算企業の2023年3月期第1四半期決算が出そろいました。株式会社東洋経済新報社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:駒橋憲一)では、業界担当記者が決算発表を受けて取材を行い、全上場企業について独自に今期、来期の業績予想を見直しました。
 四季報予想を集計した結果、今期(22年7月期~23年6月期、対象3530社)の予想営業利益は、全産業で22.6%増加する見通しとなりました。16.4%の営業増益見通しだった四季報夏号(22年6月発刊)から、さらに増益率が向上しました。
 業種別では、鉄道大手を中心に陸運業が4.1倍と営業利益を拡大し、空運業も3期ぶりに黒字化の見通しです。情報・通信業は前期赤字だったソフトバンクグループが黒字化し、営業利益が2.8倍に膨らみます。その一方で、電気・ガス業は燃料価格の急激な上昇が直撃し、四季報夏号の営業増益予想から一転、赤字転落の見込みとなりました。31業種(銀行業、保険業を除く)では、電気・ガス業だけが営業赤字予想です。
 製造業では自動車業界を中心に円安が業績を押し上げ、輸送用機器が前期比9.7%増益と四季報夏号より増益率が高まりました。半導体業界も高水準の需要が続き、半導体製造装置メーカーなどを含む電気機器は20.8%増益と好調です。
 市場別では、東証プライム・名証プレミアの企業は22.7%の営業増益。IT企業が多い東証グロース・名証ネクストの新興市場は26.9%増の見通しです。
 コロナ禍の緩和が企業活動全般に追い風となっていますが、原材料や燃料価格の急騰が痛手となる企業も多く出ています。同時に、原燃料価格の上昇を受けて、サービスや製品に対する価格転嫁の進み具合が業績に与える影響が大きくなっています。外国為替市場での円安ドル高が進んでいることも、輸出産業の業績拡大につながる一方で、原材料や部材、製品を輸入する企業ではコスト増の要因となります。

(注)業種別、市場別業績集計の算出方法
『会社四季報 2022 年4 集』掲載会社で、今期・来期の予想および実績2期分がある企業の業績を集計。実績・予想とも連結決算の数値を優先。ただし、決算期変 更企業、連結決算方式変更企業、上場企業の子会社は除く。銀行、保険の営業利益は集計していない。
 

 

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