変身する太陽電池!?「トヨタのサステナビリティ実験 #発電中を広告中」 を、渋谷で8月24日(水)から実証展示

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トヨタ自動車株式会社(本社:愛知県豊田市、代表取締役社長 豊田章男、以下トヨタ)は、日本ペイント・オートモーティブコーティングス株式会社(本社:大阪府枚方市 以下、NPAC)とF-WAVE株式会社(本社:東京都千代田区)と共同で、太陽電池の表面をデザインできる太陽電池向け加飾フィルム(以下、加飾フィルム)を活用した、カラフルな太陽電池を、2021年3月に発表いたしました※1 。
この度、多くの方に加飾フィルムの技術を知って頂くべく、2022年8月24日(水)から26日(金)まで、SHIBUYA109店頭イベントスペースにて「トヨタのサステナビリティ実験 #発電中を広告中」と題した展示を実施いたします。

カーボンニュートラル実現に向けた動きが加速する中、再生可能エネルギーのさらなる普及拡大を目指し、従来の黒色や紫色だけでなく、周囲の景観に合わせてデザインできる太陽電池のニーズが高まってきています。2018年に開発をスタートさせた太陽電池を覆う加飾フィルムは、 2021年3月〜継続中の熊本県での実証実験により、発電量を大幅に損なうことなく、太陽電池をカラフルに彩れることが実証されました。

今回、多くの方が行き交う渋谷で、「トヨタのサステナビリティ実験 #発電中を広告中」と題し、景観に溶け込みながら本当に発電できることを実証実験。発電した電気で扇風機を動かすことで、発電の見える化を図ります。加飾フィルムの技術を通して、SDGs貢献につながるトヨタの取り組みを知っていただく目的で展示を行います。

この加飾フィルムは、幅広いカラーバリエーションを持つため、軽量な太陽電池に装着すれば、店舗や家屋壁面、モビリティの外板などへの搭載が期待されます。また、シート状の太陽電池に装着すれば、将来、衣類や鞄、アウトドアグッズに搭載し、歩きながら発電することも期待できます。
発電量については、青色の加飾フィルムを搭載した太陽電池で、1m2当たり63W程度の発電量を測定しました。
※熊本県に設置した10m×10mサイズの加飾太陽電池の場合は、6.3kW程度の発電量を試算

幸せの量産をミッションに掲げ、自動車をつくる会社からモビリティカンパニーへの変革を進めるトヨタ。様々な領域でSDGsへの取り組みを広げています。

トヨタのサステナビリティ実験WEBサイト(8月24日公開):https://toyota.jp/info/sdgs/?padid=from_release_qr_solar
トヨタSDGsへの取り組みWEBサイト: https://global.toyota/jp/sustainability/sdgs/
F-WAVE株式会社:https://www.fwave.co.jp/
日本ペイントホールディングス:https://www.nipponpaint-holdings.com/news_release/2021033001/
※1:T. Masuda 他 IEEE Journal of Photovoltaics 8 (5), 1326-1330, 2018
        T. Masuda 他 Coatings 8 (8), 282, 2018
 

  • 加飾フィルムの概要

1-1.開発背景
再生可能エネルギーのひとつ太陽電池の普及が進むなか、その設置場所が建物の屋根上から壁面、モビリティなどへと広がりが見られてきています。そのため従来の黒色や紫色などの太陽電池に加えて、周囲の景観に合った高意匠の太陽電池のニーズが高まっています。通常、太陽電池をフィルムで覆うと太陽光が透過せず発電しなくなります。今回トヨタとNPACが開発した加飾フィルムは太陽光の大部分が透過できるため、太陽電池の発電量を大幅に損なうことなく、ピンク、ブルー、グリーンなどカラフルな色で太陽電池を加飾できるという特長があります。

開発した加飾フィルム
 

開発した加飾フィルムを貼り付けた太陽電池

1-2.発色方法について
人が物体の色を知覚するのは、光源からの光が物体にあたり、その物体が反射した光が網膜上の視細胞を刺激することによって「色(反射物体色)」として認識するためです。今回トヨタとNPAC、F-WAVEが開発した加飾フィルムに含まれる顔料は特定の波長の太陽光を反射することで人に「色」を認識させつつ、残りの太陽光は透過することができます。
従ってこの加飾フィルムを太陽電池に装着すると、太陽電池の発電を確保しつつ、太陽電池を加飾することが可能です。
具体的には、加飾フィルムに使用している顔料は、特定の波長を反射して発色する半透明の自動車塗装向け顔料を利用しています。この顔料は鱗(うろこ)のような形状のため、色ムラなく均一な発色を実現するには、顔料が同一方向を向くよう配列させ、塗膜の厚みを高精度に均一(数マイクロメートル)にコントロールする必要があります。そこで、自動車外装を加飾ラッピングする樹脂フィルムの製造技術を応用し、透明樹脂の中に顔料を浮遊させ、顔料が同一方向に配列されるよう透明樹脂をシャープな刃で一方向に伸ばすことで、色ムラなく均一に発色する加飾フィルムを実現しました。
加飾フィルムの色は、使用する顔料の選定によって幅広く変化させることが可能で、印刷技術と融合することで木目やレンガ調、迷彩柄など意匠を表現することも可能です。

発色の概念図
 

フィルムを均一に発色させる工夫 *反射光のみ説明

1-3.発電量への影響について
今回開発した加飾フィルムは太陽光を透過するため、太陽電池に装着しても発電できるというメリットがあります。ただ発色のため加飾フィルムの表面でわずかに光が反射するため、約10%ほどの発電量低下が発生します。例えば、加飾フィルムを装着した太陽電池は、加飾フィルム無しの場合と比べて、木目調(写真左)では約90%※2、緑色(写真右)では92%※2の発電量が確認されています。発電量の低下率は発色の濃さや色相によって異なります。
※2 複数の測定結果の平均的な値を示しています。

加飾フィルムをF-WAVEが量産する軽量フレキシブル太陽電池に実装した状態
木目調加飾フィルム(左)と単色フィルム(右)を貼り付けた加飾太陽電池

1-4.加飾太陽電池の応用先
加飾フィルムは、幅広い色のバリエーションを持つため、周辺環境と調和した色や意匠性を再現することが可能です。例えば、軽量な太陽電池に加飾フィルムを装着すれば、店舗や家屋壁面やモビリティの外板などへの搭載が期待されます。またシート状の太陽電池に装着すれば、いままで太陽電池を設置できなかった衣類や鞄、アウトドアグッズなどへの活用が期待されます。

迷彩柄の加飾フィルム(左)を活用し、迷彩柄の太陽電池を製作。
屋外や非常時にスマートフォンに直結して充電でき、ポータブル電源を充電できるようなアウトドアグッズ(右)を試験的に製作。

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