安全教育を「教科書」から「VR体験」へアップデートーはんだ付けを学べるVRChatワールド「NiceHANDA!!」を公開ー

NiceHANDA!!とは

「NiceHANDA!!」は、はんだ付け初心者でも楽しく学べることを目指した、VRChat上の体験学習ワールドです。

内装は学校の工作技術室をイメージしており、教室のような空間に2つの作業机が並んでいます。各机の上には、はんだごてと電子基板がセットされ、現実の実習風景をそのままメタバースに持ち込んだような空間になっています。ワールドは以下の通り。

次の操作手順がアイコンで表示されていくため、初めてVRに触れる人でも直感的に操作方法がわかるようになっています。

はんだごてにはプラグがついており、グリップして電源タップに近づけると起動します。起動すると先端が赤く光り、机の上にゲーム開始用のパネルが表示されます。

「どれだけ上手にはんだ付けを出来たか」といった要素をもとにスコアが算出され、その結果がワールド後方にあるホワイトボードにランキング形式で表示されます。

同じインスタンスにいるフレンドとスコアを競い合えるため、「もう一回！」と自然に繰り返し遊びたくなる設計になっています。

現実世界のはんだごては金属部分が非常に高温になり、持ち方を誤るとやけどの危険があります。

「NiceHANDA!!」では、加熱された金属部分に触れるとプレイヤーの視界が一気に赤く染まり、「ここは危険」という感覚を強烈に印象づけます。実際にはやけどを負うことなく、「触ってはいけない場所」を体で覚えられるため、リアルの体験実習に入る前の予習として非常に有効です。

さらに、教室内の壁面パネルには、村田製作所が公開している「電子工作のコツ／はんだ付け」（https://article.murata.com/ja-jp/article/soldering）をもとにした「はんだ付けのやり方」や「良い例・悪い例」の図解が掲載されています（許諾済み）。

VR空間の中でいつでも見返せる“お手本”があることで、正しいイメージを視覚的に確認しながら、より良いはんだ付けをしっかり学ぶことができます。

安全面への配慮に加え、はんだ付けの速度と精度をスコア化することで、ゲームとしても楽しめるように設計しました。

フレンド同士でランキングを競い合いながらプレイできるため、「授業だからやる」のではなく、「楽しいからもう一回やりたい」という、自発的な学びにつながる体験を提供します。

本ワールドは静岡県工業高校校長会からの依頼を受けて制作されました。

工業高校では様々な体験実習が行われており、その一環としてはんだ付けも行われていましたが、以下のような課題がありました。

安全面への不安
　はんだごての持ち方を誤り、やけどなどの怪我につながるケースがありました。注意喚起をしていても、生徒によっては聞き逃してしまったり、正しいイメージが持てなかったりすることがありました。
教材の分かりづらさ
　白黒写真と文章のみ、といった従来型の教材も多く、「どこが危険か」「どう持てば良いか」といった感覚的な部分が伝わりにくいという課題がありました。

「NiceHANDA!!」は、こうした課題を解決するために設計された新しい形の実習教材です。高校での実習利用を前提としているため、スタンドアロンVRヘッドセット（Meta Questシリーズなど）のみでも動作するよう、軽量な設計となっています。