企業向け経済インフラプラットフォームである Stripe は、この度、世界 8 市場(オーストラリア、フランス、ドイツ、日本、メキシコ、シンガポール、英国、米国)で、少なくとも自社の売上の 10% がオンライン販売によるものであると考える企業の役員または CFO などの財務を担う意思決定者 1,700 人以上を対象に調査した 「CFO レポート : 自動化とデータ統合が実現する財務・経理の未来」を発表しました。本レポートでは、今日の財務責任者が財務・経理部門の未来に向けて準備している 3 つの取り組みに焦点を当てています。
■CFOレポート: https://go.stripe.global/rs/072-MDK-283/images/CFO_Insights_report_JP.pdf
<日本市場の傾向>
●決済サービスを「戦略的成長を促進するプロフィットセンターや資産」と見なす世界的な傾向に対し、日本では「コストセンターや負債」と見なす傾向が強い
●多くの日本の財務責任者 (70%) が、ソフトウェアプロバイダーの統合の主な目的として「コスト削減」を優先している (グローバルはたったの 46%)
1)グローバルの CFO がより的確で素早い事業判断を下すためにソフトウェアプロバイダーの統合を急ぐ中、日本では「迷っている」と回答
2010 年代に SaaS プロバイダーが急増し、これにより、企業はさまざまなツールを使って、事業に欠かせない業務を自動化できるようになりました。大半の企業がビジネス運営に多数のシステムを導入していますが、調査に回答した CFO は、 使用しているシステムがあまりにも多いことに頭を悩ませています。
■日本は決済をコストと捉え、収益拡大に寄与すると認識していない傾向
異なるシステムを複数使用し管理することで発生する、意思決定のスピードの鈍化等の解決策として検討されるものの 1 つが、ソフトウェアプロバイダーの一部を統合することです。実際に、グローバルの財務責任者の 55% が、「今後 1 ~ 2 年以内に使用しているソフトウェアプログラムを統合したい」と考えており、そのうち半数近くが、統合の目的として「データの一元化」を挙げています。しかし、自社が使用している多数のソフトウェアプロバイダーを統合することについて、他国が積極的に検討する中、「迷っている」と回答する割合は日本が 44% とかなり高く (グローバル平均:19%、シンガポール:6%)、日本はソフトウェアプロバイダーの統合がもたらす優位性に確信が持てていないのが現状です。
また、統合を検討している場合には、その理由として「コスト削減」を挙げる人は他国よりも圧倒的に多く 70% という結果になり、決済システムの効率化を収益を上げる戦略の一環としてよりもコスト削減の一環として捉えていることが伺えます(グローバル平均:46%)
決済サービスそのものについての認識もグローバルと日本では乖離があり、グローバルでは「戦略的成長を促進するプロフィットセンターや資産」と見なす傾向にあるのに対し、日本では「コストセンターや負債」と見なす傾向が強いことが分かっています。
これらのデータから、日本の財務責任者は海外の同業者に比べて、決済サービスを単に削減すべきコストと考える傾向が強く、財務的な負担としてのみ捉え、最新の決済サービスが事業の成長を促進させているということを認識していない可能性があります。
そもそも日本の財務責任者は、自社の財務管理のためのさまざまなシステムやデータベース、ツール、ベンダーなどをすべて統合して、手作業なしで一カ所にまとめることができると考えている割合も低く (日本:46%、グローバル平均:63%)、これを実現するため、現在直面している障壁について尋ねたところ、日本の財務責任者の 36% が「コスト」と回答しています (グローバル平均:23%)。グローバルで課題となっている「システムの数が多すぎる」ことを挙げる傾向は 23% と低く、(グローバル平均:35%、シンガポール:47%) 扱っているシステムの多さや統合の可能性を認識できていない可能性があります。
また、日々のビジネス活動の管理をより円滑にするためにERP ソフトウェアを導入している割合はグローバルが 45% なのに対し、日本では 23% と 20 ポイント以上低く、今後 1 年以内に ERP ソフトウェアの切り替えを積極的に検討している割合も低いことが分かっています(グローバル平均:51%、日本:26%)。
さらに、日本の財務責任者は自社の ERP システムに関する、変更のしやすさや使い勝手の良さなどさまざまな機能性を評価していない傾向にあるといえるでしょう。
2)財務部門の想定以上に、財務業務の自動化が進む
どのような業務にも非戦略的な要素は含まれるものの、調査対象となった財務責任者が率いるチームの約半数 (40%) が、75% 以上のバックオフィス業務を手作業で行っています。結果として、利益に最も影響する戦略的なプロジェクトに費やせる時間が大幅に減少しています。
しかし、調査対象の CFO (グローバル全体) は、自社の財務チームが戦略的業務に費やす想定時間は 39% と考える中で、実際に費やされている割合は 38% と差異がほとんどなく、その大半が戦略的業務とバックオフィス業務に費やす時間のバランスは適切だと考える傾向にあると言えます。
■日本では非効率に直面し、手作業によるプロセス管理からの脱却を模索!
一方日本では、戦略的業務に費やす時間がグローバルより 5 ポイント高い 45% であり、より戦略的業務に時間を割いていることが分かります。 ただ、日本では現金の照合に毎月 100 時間以上費やす傾向が強く (9%)、グローバル平均 (3%) の 3 倍となっているなど、バックオフィス業務の捉え方も日本独自の傾向が強く見られました。
3)テクノロジー活用と自動化が進んでも「人」の介入が今後も大きな役割を果たす
人工知能 (AI) と大規模言語モデル (LLM) が急速に進化する中、必要とされるタスクのどの部分を AI に完全に任せ、どの部分を人間の介入や監督が必要かを企業は見極める必要があります。ソフトウェアシステムと従業員の間での役割分担は業界によって異なりますが、テクノロジーを使ってどのように業務を補強できるかについては、あらゆる企業が熟考することになるでしょう。特に財務部門は、手作業による事務処理に毎月何十間も費やしていることを考えると、自動化による成長促進が期待できます。
しかし、財務責任者は手動での確認と管理は自動化と同じくらい重要だと考えています。たとえば、調査対象の CFO は、月次のレポート作成、データ入力、経理業務の効率化に最も関心を持っていましたが、一方で、どの財務業務を手動で行いたいかという質問に対しても、ほぼ同じ選択をしており、矛盾を抱えています。
その他)決済方法の種類から見る日本の傾向
決済サービスは時代の変化を確実に捉え、進化を続けています。コロナ禍で人気となったサブスクリプションサービスですが、無料開始期間や料金の段階的な変更など複雑な決済システムを必要とするため、簡単に移行できないと考える企業が多くみられ、特に日本は、定期的なサブスクリプションでの支払い率が未だ 10% と低く、最も高いシンガポール (84%) と比較すると、74 ポイントも差があることが分かっています (グローバル平均:47%、オーストラリア:56%)。
デジタル請求書の使用率も日本は 25% と低い傾向にあり、グローバル平均の 52% に比べて半分以下、シンガポールの72%とは約 1/3 の結果となりました。一方、紙の請求書を使用している割合は 52% と他国に比べて最も高い傾向にあり、(グローバル平均:45%、オーストラリア:46%、シンガポール:58%)いまだアナログな対応が根強く残っていることを示唆しています。ただ、10月より開始するインボイス制度によりこの状況は大きくシフトすると予想されています。
多対多を結ぶマーケットプレイスやプラットフォームを通した決済は、グローバル平均が 41%、中でもシンガポールは 79% にも及んでいる一方、日本では 11% にとどまっており、今後この方面でのビジネスモデルの多角化が期待されています。
Stripe 日本法人代表取締役のダニエル・へフェルナンは以下のように述べています。
「日本はグローバルに比べさまざまな面で『コスト削減』の意識が強く、ビジネスの成長を促進する可能性のある決済サービスの導入に対して消極的な印象を受けています。今まで手作業での処理や複数のシステムを使用していたことで生じていたタイムロスも、先進的な決済テクノロジーを導入することで業務効率化による収益向上など、コスト削減以上の効果が見出せると信じています。今後も進化し続ける日本企業の更なる成長をサポートしてまいります。」
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Stripe について
Stripe は、企業向けの経済インフラプラットフォームを構築する会社です。スタートアップから世界的な大企業まで、数百万におよぶ企業が Stripe を導入して支払いを受け取り、収益を成長させ、新たなビジネス機会を加速させています。サンフランシスコとダブリンに本社を持つ Stripe は、インターネットの GDP を拡大させることを使命に掲げています。
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