類設計室「中大規模木造建築」の普及促進で大学や企業、自治体との共同研究の紀要を発表しました

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株式会社類設計室(本社:大阪市淀川区、社長:阿部紘)は8月9日、中大規模木造建築の普及に向けた、大学や企業、自体との研究の成果を紀要として発表しました。今回の発表はこれまでの成果をまとめたもので、各共同研究は今後も続いていきます。

類設計室は9年前から中大規模建築の木造化に注目し、研究を続けています。SDGsなどの社会期待の高まりを受け、大学・企業・自治体との共創による研究を現在さらに加速させています。

たとえば、九州大学とは中大規模木造建築で使える工法を研究。地域材をそのまま使える無垢材を使い、接着材を使用せずにビスでつなぐ工法について実証実験を行いました。

今後建替え需要が見込まれる学校校舎は、いわゆる「木3学」と呼ばれる木造3階建ての学校校舎が注目されます。弊社は、全国3例目となる文科省の「木の学校づくり先導事業」による設計で、木造建築の第一人者である杉本洋文氏(株式会社計画・環境建築会長)と協働しました。全国普及型のモデルづくりを目指して、防災安全性への対応や木造の環境特性の改善を盛り込んだ設計仕様の標準化を進めています。

他にも自治体に対して地域材の供給量を調査し需給体制を検討するなど、建築の木造化を推進し、SDGsなど環境課題の解決と循環社会の実現に努めていきます。

【産学共創による「建築の木造化」研究について】

現在、「建築の木造化」については、次の3つのテーマで技術追求をしています。

1.「大規模建築物への無垢材活用」~地元で供給可能な無垢材を最大活用する工法

2.「木造3階建ての学校計画」~普及力を高めるための標準化

3.「都市の学校木造化」~需要元として学校校舎に注目

【各研究の概要】

〈1.九州大学と共同で、大規模建築物への無垢材活用の道を開く「重ね梁」の標準化に挑戦〉

重ね梁の荷重試験重ね梁の荷重試験

今後の木材利用の促進に向けては、地産材の使用を前提とした中大規模の建築が望まれます。

製材を組み合わせた「重ね梁」は無垢材でロングスパンが実現できる解決策となりますが、中大規模の部材に採用するにはまだ十分な知見(剛性、耐力)が蓄積されていません。そこで弊社は、九州大学・佐藤利昭准教授とともに、接合材にビスを斜めに打った重ね梁の実験を行いました。

今後も大学や企業、自治体との共創による技術追求については随時、概要などを発表してまいります。

〈2.全国普及型モデルを目指し、在来軸組み工法による木造3階建て校舎の中・大規模空間を実現〉

木軸部モデル作成木軸部モデル作成

木造3階建て学校校舎の建設促進に向けて、弊社設計の学校建築において、法令規制への対応や木造特有の環境の改善を盛り込んだ、設計仕様の標準化に取り組みました。

なお、協働設計者は、木造建築の第一人者である㈱計画・環境建築の杉本洋文氏、(建築家、代表取締役会長)とともに共創したプロジェクトです。(「全国に先駆けた中大規模木造建築の挑戦」https://www.rui.ne.jp/project_story/pj03/)。

規格材(流通材)を余すことなく効率よく使うため、尺貫法により柱スパン・階高の設定を行いました。結果、歩留まりは集成材を上回りました。

木造特有の環境の改善に関しては、工事に際し、上下階の遮音性の確保ために天井の工法を3案試施工し、性能を測定して工法を決定しました。最終的な性能は、学会の等級2級を確保しました。(音響実測の協力:国立研究開発法人建築研究所・平光厚雄氏、前田建設工業)

〈3.需要元として学校校舎に注目し、都市の学校木造化を推進〉

生産現場に赴き調査をしている様子生産現場に赴き調査をしている様子

木造建築の普及にあたっては、森(地方)と都市が結ばれる、木を媒介とした循環構造がまず何より必要だと考えています。

この循環構造の核は需要と供給の安定的な体制です。今回、需要としては公共建築物の4割を占める学校校舎、供給としては市町村単位の地産木材を想定しました。

試設計や生産現場に赴き調査した結果、学校校舎は今後も建替え需要が続くと見られる一方、市町村単位での木材供給量は現状では、必要量を下回る可能性があることが分かりました。市町村単位で供給を可能とする調達のルートやシステムの構築が今後の課題です。

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