未来社会価値研究所報(Annual report 2022)を発表

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株式会社日本総合研究所(本社: 東京都品川区、代表取締役社長: 谷崎勝教、以下「日本総研」)は、「未来社会価値研究所」(以下「本組織」/※1)の活動として、2050年頃の日本を展望し、そこでの社会的な価値(社会的通念とされるであろう価値観)の探求を進めています。この度、2022年度の活動進捗報告を、「未来社会価値研究所報(Annual report 2022)」(以下「本書」)としてまとめました。

 本書では、2050年までの社会で中心的な役割を担う世代である30歳代の研究員を中心に議論を重ねて、取りまとめた分析、提言、活動報告を以下の4つの章立てで論考として掲載しています。

・ 立ちすくむ日本のいま/邪悪な問題の連鎖から考える

・ 企業価値評価2.0

・ 少子化の現状と今後の婚姻制度について

・ ヴァーチャルシンクタンク活動を通じてユースの社会参加を考える

本書は、以下からご覧になれます。

https://www.jri.co.jp/MediaLibrary/file/pdf/company/media/2023/0726/%E6%9C%AA%E6%9D%A5%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E4%BE%A1%E5%80%A4%E7%A0%94%E7%A9%B6%E6%89%80%E6%89%80%E5%A0%B1.pdf

■背景

 過去30 年から10 年ほど前の間に常識とされてきた「社会的な価値」が、地球と社会をめぐる制約条件によって、2050年までの間に、劇的に変化することが予想されます。「経済成長は全てを癒すものであり、万事に優先すべき」という合意が、プラネタリー・バウンダリー(人類が生存できる安全な活動領域とその限界点)の存在によって、大いに揺らいでいることなどは、その一例です。

 さらに、「社会的な価値」の合意形成が困難になっている状況への危機感があります。「社会的な価値」が空洞化した共同体は、意思決定不能となり混乱が蔓延し、相互扶助のシステムが崩壊してしまう。結果、個人は凄惨な状況にさらされるという心配が大きくなっています。

 そこで、本組織では、仮に予測・予想した姿が現実にならなかったとしても、未来の「社会的な価値」の構成要素を明らかにしておくことが将来世代にとって有益な材料を提供することになると構想しました。「社会的な価値」が空洞化しつつあるなかで、それを立て直すためには、社会的に「価値あるもの」と見なされることのうち、何が時代遅れで、何が環境変化に適応するため新たに必要なのかに関する仮説を複数提起することが、建設的な議論の起点になると考えました。2050年頃の日本を展望し、そこでの社会的な価値の探求活動の最初の進捗報告として、本書をまとめています。

■概要

 本書は、4つの章立てとなっています。

 「立ちすくむ日本のいま/邪悪な問題の連鎖から考える」では、「日本では、経済成長が他国に比べ実現できていない」をはじめとした、日本の典型的な問題と称される5つのテーマを取り上げました。各テーマについて、観察、推察、洞察、可視化を行うことで、各人が気づいていない課題や価値観を見いだして共有化したのちに、見いだした問題や構造が一目で理解できるよう表現した作業の結果を取りまとめています。

 「企業価値評価2.0」では、これまでの企業価値評価が、経済的視点からのアプローチが主体であり、近年のサステナビリティの議論においてさえ、ESG 投資家などファイナンスセクターが起点となってけん引していることに着目しています。その上で、今後の企業価値評価が、評価の当事者、評価手法、さらにはコミュニケーション方法など、マルチステークホルダーそれぞれの観点に立つ、これまでとは異なるあり方が想定されるという仮説を提起しました。具体的には、①多元的価値評価の意義、②台頭するレピュテーション・ゲームと企業評価の関係、③「働き手」を起点にした新たな企業価値評価の展望、④社会的企業と新たな法人格の可能性などについて、論考を掲載しています。

 「少子化の現状と今後の婚姻制度について」は、未婚、非婚、結婚、離婚、再婚といった「婚」をめぐるイベントのなかに、社会的な価値が著しく表れるという着眼をもとにした調査研究です。この「婚」をめぐる意識変化から、2050年頃の日本を展望し、そこでの社会的な価値の探求を進めた調査研究活動の初期の成果が取りまとめられ、現在の少子化対策の課題導出にもつながる内容となっています。

 「ヴァーチャルシンクタンク活動を通じてユースの社会参加を考える」では、中長期での社会課題の当事者である将来世代(以下「ユース」)の声に対して傾聴と対話を進めることが、2050年頃の日本を展望し、そこでの社会的な価値の探求を進めていく上で有効な手段になると考え、ユースが主役となって、社会課題を探索、解決に向けての提言活動を行う場の創出や支援を行うという本組織の活動の進捗報告を行っています。具体的には大学生が立ち上げた一般社団法人との共同研究の事例や、都内私立大学が開催した高校生向け「SDGs まちづくりコンテスト」を支援した事例を報告しています。

 日本総研は、「次世代起点で知見・技術を追求し、顧客・社会と新たな価値を共創」を中期経営計画のビジョンとして掲げ、「社会的価値共創のリーディングカンパニー」を10年後の目指す姿としています。本組織の活動を含め、こうしたビジョンや目指す姿の実現を推進してまいります。

(※1)未来社会価値研究所

 2030年から2050年というスパンで、将来世代が直面するであろう問題に光を当て、その解決策を社内外の叡智を結集して共に考え、提言発信すると同時に、日本総研のみならずSMBCグループ、さらには外部の企業・組織と連携して具現化する社内組織。

 「10月1日付組織変更のお知らせ(未来社会価値研究所の設立他について)(日本総研ニュースリリース/2021年09月13日)

10月1日付組織変更のお知らせ(未来社会価値研究所の設立他について)
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