スーダン:紛争激化100日毎時1件以上、子どもの権利侵害報告~少なくとも435人の子どもが犠牲、2,025人が負傷【プレスリリース】

この記事は約6分で読めます。

保健センターで週次の検診を受ける、生後9カ月のナスラちゃん。栄養不良と診断され、2週間前に治療を受けてから、今は回復傾向にある。(スーダン、2023年7月4日撮影) © UNICEF_UNI409663_Awad保健センターで週次の検診を受ける、生後9カ月のナスラちゃん。栄養不良と診断され、2週間前に治療を受けてから、今は回復傾向にある。(スーダン、2023年7月4日撮影) © UNICEF_UNI409663_Awad

【2023年7月24日 ポートスーダン/ニューヨーク発】

スーダンでの残酷な紛争が100日を迎えるなか、ユニセフには、平均して1時間に少なくとも1件に匹敵する、2,500件という途方もない数の子どもの権利に対する深刻な侵害の報告が寄せられています。これは、信頼性の高い情報源からのユニセフへの報告をまとめた数字にすぎないため、実際の数ははるかに多いとみられています。また、1,400万人近い子どもが人道支援を必要としているこの国で、最も弱い立場にある者に日々危機が及んでいるという厳しい状況を思い起こさせるものでもあります。

* * *

ユニセフ事務局次長のテッド・チャイバンは今週スーダンを訪れ、「この100日間で紛争がスーダンの子どもたちに与えた影響の大きさは、ほとんど理解を超えています。過去に暴力の連鎖の中を生きてきた父母や祖父母たちは、今、自分の子どもや孫が同じような恐ろしい経験をするのを目の当たりにしなければならないのです。日々、子どもたちが殺され、負傷し、誘拐され、彼らが頼りにしている学校、病院、重要なインフラや命を守る物資が損傷を受け、破壊され、略奪されています」と述べています。

スーダンとの国境のアドレまで逃れたマハマトさん(17歳、左)、ウサマさん(15歳、右)、ジブリールちゃん(4歳、中央)兄弟。避難中に目の前で母親を殺され、父親とはぐれてしまった。(チャド、2023年6月17日撮影) © UNICEF_UNI398997_Mスーダンとの国境のアドレまで逃れたマハマトさん(17歳、左)、ウサマさん(15歳、右)、ジブリールちゃん(4歳、中央)兄弟。避難中に目の前で母親を殺され、父親とはぐれてしまった。(チャド、2023年6月17日撮影) © UNICEF_UNI398997_M

この紛争では、少なくとも435人の子どもの命が奪われ、少なくとも2,025人の子どもが負傷したと報告されています。死傷者の報告に加え、ユニセフは、スーダンの一部で保健医療施設に対する攻撃が激化しているという憂慮すべき報告を受けています。最悪の被害を受けている地域では、68%の病院が業務を停止せざるを得なくなったと推定され、少なくとも17の病院が爆撃を受けたと伝えられています。さらに数カ所の病院が軍事拠点に転用されたとみられ、救急車が攻撃の的になっているとも繰り返し伝えられています。

 

紛争が始まって3カ月以上が経過し、暴力行為により何百万もの家族が家を追われています。この危機以前、スーダンには380万人近くの国内避難民がいて、そのうち190万人が子どもでした。新たに170万人の子どもが家を追われ、飢え、病気、暴力および家族との離別などの危険にさらされながら、スーダン国内を、また国外へと移動しています。誘拐、武装集団への徴兵、民族を標的にした暴力、および女性と女の子に対するジェンダーに基づく暴力の報告も増加しており、420万人の女性と女の子がジェンダーに基づく暴力の危険にさらされています。

 

治安状況による移動の制限、行政上および官僚主義の障壁、人道的アクセスの拒否は、切実に助けを求めている人々に必要な援助を届ける上で依然として非常に大きな障害であり、支援従事者を脅かしています。重要な物資や施設の破壊や略奪と相まって、少なくとも69万人の子どもが深刻な急性栄養不良に陥り、170万人の1歳未満児が必要不可欠な予防接種を受けられず、感染症の集団発生のリスクが高まっています。

 

ワドメダニでユニセフのスタッフから衛生キットを受け取る10歳のラハフちゃんと母親。(スーダン、2023年7月18日撮影) © UNICEF_UNI416771_Awadワドメダニでユニセフのスタッフから衛生キットを受け取る10歳のラハフちゃんと母親。(スーダン、2023年7月18日撮影) © UNICEF_UNI416771_Awad

チャイバン事務局次長は、「この100日間で明らかになったことはーーあらゆる紛争でも同じですがーー子どもや家族に対する直接的・間接的な影響は壊滅的であり、紛争当事者たちが戦闘を止め国際法を守ることを約束するなど、協調した行動を取らない限り、子どもの権利に対する深刻な侵害はひどくなるばかりだということです。人道支援に携わる人々や命を守るための物資が安全で妨害されることなく確実に到達できなければ、また緊急に必要とされる追加資金がなければ、何百万人もの子どもたちの未来が危ぶまれたままになってしまいます」とも述べています。

 

このような厳しい状況の下、ユニセフはパートナーと共に、この100日間で、300万人以上の子どもと女性に保健物資を、140万人に安全な飲料水を提供しました。また170万人の子どもに栄養不良の検査を実施し、そのうち8万2,000人に救命治療を届けました。さらに、10万人近くの子どもと養育者が、全国各地に400カ所以上設けられた安全な場所などを通じて、心理社会的カウンセリングや保護支援を受けています。

 

これまでにユニセフは、ダルフール、コルドファン、ハルツームの戦闘地域を含むスーダン各地に、5,500トンを上回る命を守る物資を届けました。しかし、戦闘が続く中、ニーズは高まる一方であり、多くの脆弱なコミュニティは依然として人道支援の手が届かない状況にあります。

 

スーダンで最も弱い立場にある約1,000万人の子どもに支援を届けるため、ユニセフは8億3,800万米ドルの資金を呼び掛けていますが、7月中旬現在でまだ総額の9%しか集まっていません。ユニセフは、この危機に巻き込まれた最も脆弱な子どもたちに対する、命を守るために必要な保健、栄養、水、衛生、学習、保護の支援を維持し、かつ規模を拡大するため、資金を緊急に必要としています。

* * *

■ ユニセフについて

ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念をさまざまな形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています。 https://www.unicef.or.jp/

※ ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する33の国と地域を含みます

 

■ 日本ユニセフ協会について

公益財団法人 日本ユニセフ協会は、33の先進国・地域にあるユニセフ国内委員会の一つで、日本国内において民間で唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。 https://www.unicef.or.jp/

タイトルとURLをコピーしました