認定NPO法人キャンサーネットジャパン(東京都文京区 理事長 岩瀬 哲)は、このたび、薬剤師向け慢性骨髄性白血病(CML)治療環境向上プロジェクトをスタートいたしました。
血液のがんである慢性骨髄性白血病(CML)の患者支援として、治療環境の向上、特にアドヒアランス(患者が治療方針の決定に賛同し積極的に治療を受けること)支援を目的に、薬剤師を対象とした無料で視聴できる特設動画サイトを作成いたしました。
薬剤師向け 慢性骨髄性白血病(CML)治療環境向上プロジェクト
特設動画サイト
10数年前まで治療が困難だったCMLは、医学の進歩により、今や ABLチロシンキナーゼ阻害剤 (TKI) を継続的に服薬することで、CMLで死亡することはほぼ無いとまで言われるようになりました。しかし、非常に高価なTKIを生涯服用しけなければならないCML患者は、医療費の軽減目的や副作用の苦しみから自己判断で減薬したり中止したりするケースが散見されます。
CML患者にとって主治医の次に身近な医療者は、TKIを渡す薬剤師です。TKIは内服薬であり、その服薬アドヒアランスが治療のカギを握るため、CML患者にとって薬剤師は大変重要な存在だということが本プロジェクトに先立ち実施した血液内科医、CML患者対象のアンケートでも浮き彫りになりました。
CML患者アンケート、血液内科医アンケートの結果
動画を視聴できるのは薬剤師(および医療者)の方のみです。血液内科医によるCMLの解説動画(5本)、薬剤師からのメッセージ動画(2本)が掲載されており、視聴前後にそれぞれ簡単なアンケートへの回答をお願いしています。このプロジェクトに参加された方の希望者には修了証をお渡しします。また、修了者の希望により、修了者在局の薬局名を一般の方もご覧いただける特設サイトのトップページで公開し、CML患者の方が安心して通うことができる薬局として周知されます。
一人でも多くの薬剤師の方に動画を視聴いただき、CMLについて深く学んだ薬剤師の方がCML患者のサポーターとなっていただくことで、CML患者の服薬アドヒアランスが向上することを願っています。
なお、この企画は、ファイザー株式会社より、医学教育プロジェクトの助成を受け2023年夏まで実施予定です。
<特設サイト掲載動画一覧>
<認定NPO法人キャンサーネットジャパン>
1991年に発足し、がん患者が本人の意思に基づき治療に臨むことができるように、科学的根拠に基づく情報発信を行うことをミッションとしています。2001年にNPO法人化、2007年1月に専用事務局を開設し、現在は東京と大阪を拠点に全国で活動しています。2016年8月認定NPO法人となり、現在の主な活動は、各種がんについての啓発イベント、全国のがん診療連携拠点病院等に設置されている「もっと知ってほしいシリーズ冊子」の制作、養成講座や認定試験など教育事業等も実施しています。これらの活動を通して、がんと向き合う人々が自分らしくがんと向き合える社会を実現することを目指しています。希少がんも含め、あらゆるがんに関する最新医療情報発信のため、2014年より毎年開催しているジャパンキャンサーフォーラムは、がん患者・家族のみならず一般市民を対象とした最大級のがん啓発イベントです。