約9割が週休3日制の導入を検討したことがない。「ワーク・ライフ・バランスの向上」などメリットを感じるも、「部署間の不公平」「出勤日の勤務時間の増加」などが導入のネックに

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日本で唯一の総務専門誌『月刊総務』を発行する株式会社月刊総務(所在地:東京都千代田区、代表取締役:豊田健一)は、全国の総務担当者を対象に「週休3日制と働き方についての調査」を実施し、141名から回答を得ました。

【調査結果 概要】

  • 約9割が週休3日制の導入を「検討したことがない」

  • 週休3日制のメリットは「ワーク・ライフ・バランスの向上」がトップ

  • 週休3日制の導入ネックは「部署間の不公平」出勤日の勤務時間の増加」など

  • 約7割の総務が、自社でも週休3日制を導入したいと「思わない」

  • 約10社に1社が、就業規則に穴があり従業員とトラブルになった経験あり

【調査結果 詳細】

  • 約9割が週休3日制の導入を「検討したことがない」

週休3日制を導入しているか尋ねたところ、「導入している」が3.5%、「導入を検討している」が3.5%、「検討したが導入しなかった」が4.3%、「導入を検討したことはない」が88.7%という結果になりました(n=141)。

<導入している・導入を検討している理由>

・採用競争力、従業員の柔軟な働き方

・多様な働き方を認めたい

・ワーク・ライフ・バランス実現

・親会社が導入した

<導入していない・導入を検討していない理由>

・現時点で必要性を感じていないため

・週休3日にしても生産性は上がらないと思うため

・週3日では業務が回らない

・顧客に合わせた働き方が業種のため

  • 週休3日制のメリットは「ワーク・ライフ・バランスの向上」がトップ

週休3日制の企業側のメリットはなにか尋ねたところ、「ワーク・ライフ・バランスの向上」が70.9%、「従業員のモチベーションアップ」が42.6%、「人材採用」が32.6%と続きました(n=141)。

  • 週休3日制の導入ネックは「部署間の不公平」「出勤日の勤務時間の増加」など

週休3日制の導入のネックになにか尋ねたところ、「部署間の不公平」が62.4%、「出勤日の勤務時間の増加」が49.6%、「従業員間の不公平」が46.8%と続きました(n=141)。

  • 約7割の総務が、自社でも週休3日制を導入したいと「思わない」

総務として、自社でも週休3日制を導入したいか尋ねたところ、「とても思う」が10.6%、「やや思う」が22.0%、「あまり思わない」が47.5%、「全く思わない」が19.9%という結果になりました(n=141)。

<導入したい理由>

・ワーク・ライフ・バランスの向上、採用に有利となると考えられるため。

・人材採用における差別化や、社員のウェルビーイングの向上に役立つと思うため

・人によっては家庭の事情などでその方が働きやすい人もいる

・より業務に集中できるし、休日が増えるため、ON/OFFが付けられる

<導入したくない理由>

・主に生産部門の人員調整が困難

・勤務日の業務が増加するように思うため

・業務形態から現実的ではない

・業務内容によっては適用できないため、従業員間に不公平が生じるため

  • 週休3日制度を導入するとしたら「月または年単位で労働時間を調整し給与は減らさない」が約2割

あなたの会社で週休3日制を導入するとしたら、どんな形になると思うか尋ねたところ、「そもそも実現できない」が34.0%、「月または年単位で労働時間を調整し給与は減らさない」が21.3%、「給与を減らして導入する」が17.7%と続きました(n=141)。

そもそも実現できない:34.0%

月または年単位で労働時間を調整し給与は減らさない:21.3%

給与を減らして導入する:17.7%

1日の勤務時間を増やして給与は減らさない:16.3%

勤務時間は減るが給与は減らさない:10.6%

  • 半数以上が、コロナが明けて働き方の見直しを実施

コロナが5類になり、働き方の見直しをしているか尋ねたところ、「はい」が55.3%、「いいえ」が44.7%という結果になりました(n=141)。

<見直しをしている内容>

・テレワークから出社に戻した

・在宅勤務から出社に戻したタイミングで、「在宅勤務制度」を新たに設けた

・コロナ陽性になった際の出勤ガイドラインの見直し

・出張の許可 イベントへの参加許可

  • 約9割が、就業規則を法令遵守の観点から見直すことができている

就業規則を法令遵守の観点から見直すことができているか尋ねたところ、「十分に見直せている」が34.0%、「やや見直せている」が53.9%と、合わせて87.9%の企業が見直せていることがわかりました(n=141)。

<就業規則について課題に感じていることやエピソード>

・法改正等による就業規則見直しが早い段階から準備できていない事が課題

・定期的なアップデートは割と工数が掛かる

・経営陣が変わる度に内容が二転三転すること

・時代とともに変化に対応できていない

就業規則の作成あるいは見直し時に、誰に確認してもらっているか尋ねたところ、「社労士」が57.4%、「弁護士」が19.9%と続きました。また、誰にも見てもらっていない企業が約2割にのぼることも明らかになりました(n=141)。

社労士:57.4%

弁護士:19.9%

その他:15.6%

見てもらっていない:19.9%

  • 約10社に1社が、就業規則に穴があり従業員とトラブルになった経験あり

就業規則に穴があり、従業員とトラブルになったことはあるか尋ねたところ、「はい」が9.9%、「いいえ」が90.1%という結果になりました(n=141)。

<トラブルの内容>

・手当の支払基準、昇給の基準など

・残業時間の法令遵守

・休職の取り方

・正社員と契約社員で差がある ジェンダー問題

  • 総評

2021年6月に決定した骨太の方針の中に「選択的週休3日制の普及」が盛り込まれ、さらに、現在国会で盛んに議論されている“異次元の少子化対策”においても選択的週休3日制度の普及が盛り込まれています。

こうした背景から注目の集まる週休3日制ですが、まだ多くの企業が導入の検討にも至っていないという実情が本調査で明らかになりました。社内の人繰りや取引先などの理解、そして管理の問題など、まだ現場の総務にとってハードルに感じることも多くあるでしょう。

現在、働き方の多様化が進んでいます。週休3日制を導入している企業がそのノウハウを公開することで、社会全体として週休3日制導入の機運が高まっていくことと思います。継続的に情報収集をしながら、自社に合った運用の形を検討し続けることが重要です。

『月刊総務』8月号(7月8日発売)では週休3日制の最新動向や企業事例を紹介します。ぜひご覧ください。

  • 株式会社月刊総務 代表取締役社長  豊田 健一 プロフィール

株式会社月刊総務 代表取締役社長

戦略総務研究所 所長

早稲田大学政治経済学部卒業。株式会社リクルートで経理、営業、総務、株式会社魚力で総務課長を経験。日本で唯一の総務部門向け専門誌『月刊総務』前編集長。現在は、戦略総務研究所所長、(一社)ファシリティ・オフィスサービス・コンソーシアム(FOSC)の代表理事として、講演・執筆活動、コンサルティングを行う。著書に『経営を強くする戦略総務』(日本能率協会マネジメントセンター)など。

※「働き方」「リモートワーク・テレワーク」「総務関連全般」等についても取材可能です。

【調査概要】

調査名称:週休3日制と働き方についての調査

調査機関:自社調査

調査対象:『月刊総務』読者、「月刊総務オンライン」メルマガ登録者ほか

調査方法: Webアンケート

調査期間:2023年5月19日〜2023年5月26日

有効回答数:141件

  • 調査結果の引用時のお願い

※本調査内容を転載・ご利用いただく場合は、出典元の表記をお願いします。

例:「『月刊総務』の調査によると」「『月刊総務』調べ」など

  • 『月刊総務』について

創刊60年の日本で唯一の総務専門誌。「すべての総務パーソンの心に、火を。」をキャッチフレーズとし、総務部門で働く人を中心に、幅広くビジネスパーソンに読んで役に立つ記事を提供。上場企業、大手事業会社、中堅・中小企業と、幅広い規模の企業に定期購読していただいております。(創刊:1963年6月/印刷部数:1万2,000部/定価:1,100円)

  • 株式会社月刊総務 会社概要

社名:株式会社月刊総務

代表:代表取締役 豊田健一

住所:〒101-0054 東京都千代田区神田錦町2-2-1 KANDA SQUARE 11F

設立:2018年8月

事業内容:

・日本で唯一の総務・人事部門専門誌『月刊総務』の発行

・バックオフィス業務の「困った」を解決する「月刊総務オンライン」の運営

・「総務セミナー」「総務サロン」の主催

・働き方改革関連コンサルティング 等

URL:https://www.g-soumu.com/

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