公益財団法人東日本不動産流通機構によると、2022年度における首都圏中古マンションの成約件数は35,381件(前年度比93.5%)、7年連続で新築マンション供給数を上回りましたが、不動産価格高騰の影響を受け、前年度を下回る結果となりました。そんな中、2022年度の「R住宅」の発行件数は全国で5,623件(前年度比94.2%)となり、成約数よりやや緩やかに前年を下回る結果となりました。また、累計では、2009年より14年で、68,532件となりました。【図1】
■エリア別発行件数
エリア別の発行件数は首都圏が最も多く、75.5%を占めました。次いで関西が8.6%、東海が4.6%、その他のエリアが11.3%発行されています。【図2】
■R住宅は首都圏における中古マンション成約の1割強に相当
首都圏における中古マンションのR住宅発行件数(R1住宅+R3住宅)は4,118件で、首都圏の中古マンション成約件数全体の11.64%を占めています。
■R住宅エコ
2022年6月より登録を開始した、リノベーションの省エネ基準を満たす『R1住宅エコ』の発行件数は15件となりました。断熱・省エネに関する補助金の拡充や2023年度よりスタートした住宅の環境性能等に応じた住宅ローン控除借入限度額の上乗せ措置がスタートした影響を受け、2023年度より登録件数が増えています。
2022年4月19日発表「省エネリノベーション住宅の普及・標準化を目指し、新たに『R1住宅エコ』基準を策定。優良なリノベーションの品質基準を満たす『R住宅』」
■R住宅発行件数ランキング
インテリックスが1,039件発行し、全国最多となりました。次いで大京穴吹不動産が937件で2位に、エフステージが695件で3位となりました。上位4社は全て買取再販型の事業を主体とした企業が占めました。
請負型ではリノベるが273件で最多となり、次いでgrooveagentが118件で2位に、リノステージが101件で3位となりました。シンプルハウスは関西エリアの企業で唯一上位20位に入りました。【表1】
東日本不動産流通機構によると、首都圏中古マンション新規登録の平均築年数は28.46年(前年度27.42年)と経年化が進んでいます。 また、リノベーションは、建建替え新築に比べCO2排出量や廃棄物排出量を大幅に削減でき(※1)、脱炭素社会におけるソリューションの一つであることが確認されています。経年化の進行や脱炭素社会実現に向けて、今後益々ニーズが高まっていくことが考えられます。
リノベーション協議会は、今後も優良なリノベーション住宅の普及浸透を推進し、既存住宅流通の活性化に寄与してまいります。そして、リノベーションによる既存住宅の性能や価値の再生・向上によって、住まいを求める人が「自分らしく」「無理なく」「自由に」住まい選びが出来る市場をつくり、地球環境にやさしく、真に豊かな暮らしの実現に寄与してまいります。
※1リノベーションでCO2排出量を76%、廃棄物排出量を96%削減。出典:『リノベーションによる二酸化炭素排出量および廃棄物排出量の削減効果』(リノベる・金沢工業大学 佐藤考一研究室・国士舘大学 朝吹香菜子研究室)
一般社団法人リノベーション協議会について
消費者が安心して既存住宅を選べる市場をつくり、既存住宅の流通を活性化させることを目的に、2009年7月に発足したリノベーション業界団体です。現在、業界・業種の枠を超えた809社(正会員600社、賛助会員193社、特別会員4名・9法人・3自治体)が参画し、優良なリノベーションの統一規格「適合リノベーション住宅」を定め、建物タイプ別に品質基準を設定、普及浸透を推進しています。区分所有マンション専有部に関する品質基準を満たす「R1住宅(アールワンジュウタク)」、区分所有マンション共用部も含む品質基準「R3住宅(アールスリージュウタク)」、戸建住宅の品質基準「R5住宅(アールファイブジュウタク)」が運用されており、適合リノベーション住宅発行件数は、累計68,532件(2023年3月31日現在)。2022年 6月からは、R1住宅エコ基準も運用開始し、地球環境にもやさしいリノベーションの普及を目指します。
また、本年より中古住宅流通とリノベーションの提供に必要な知識を総合的に学ぶことができる新たな資格制度「リノベーションコーディネーター資格制度」を創設。リノベーション業界に関わる人材の知識や技術の底上げや、他業界からの転職、新卒採用等、採用機会の拡大や人材定着につなげ、中古住宅の流通とリノベーションの活性化に寄与してまいります。
名称 :一般社団法人リノベーション協議会
理事長:山本 卓也
設立 :平成21 年5月20日
住所 :東京都渋谷区渋谷2-2-2青山ルカビル4F