社長の平均年齢は60.4歳、過去最高を更新 50歳以上が8割を占める

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昨今、日本企業の後継者不足は深刻な社会課題であり、このまま改善されなければ国内経済に重大な影響を及ぼすとされる「事業承継2025年問題」が現実味を帯びてくる。後継者の不在率は減少傾向で推移するなど明るい材料も見られる一方で、2022年度の「後継者難倒産」は過去最多の487件を数え、足元では既に経営リスクとして顕在化している。そこで帝国データバンクでは、全国の「社長年齢」について調査・分析を実施した。

 帝国データバンクの調査では、2022年時点の社長の平均年齢は60.4歳となった。前年から0.1歳上回り、統計として遡れる1990年から32年連続で上昇し、過去最高を更新した。また、2022年に社長が交代した割合は3.82%で、前年から0.1pt低下した。2010年以降は3%台後半で推移した。加えて、社長が引退する平均年齢は68.8歳となり、70歳が目前の段階で交代している結果となった。

<年代別構成比> 「50歳以上」の社長が8割超、5年間で3.0pt上昇

 2022年時点における社長の年代別構成比をみると、「50歳以上」が全体の8割を占める結果となった。2017年時点と比較すると、3.0pt上昇している。そのうち70代以上は25.2%となり、社長の4人に1人は70歳以上の高齢者で占められていることがわかった。うち80歳以上は5.0%におよび、2017年から1.2pt上昇した。

 他方、40歳未満は3.3%にとどまり、2017年から0.9pt減少した。

<業種別> 「不動産」が62.5歳と高水準、若手起業家が多い「サービス業」は58.9歳

 社長平均年齢を業種別でみると、「不動産」が62.5歳で最も高く、80歳以上の割合は9.5%にのぼった。不動産業をより細かくみると「土地賃貸」で66.6歳と高く、細分類8業種のうち7業種で60歳を上回った。他方、「サービス」は58.9歳で最も低かった。いわゆる“IT企業”が主に分類され若手起業家が多い「パッケージソフトウェア」では56.1歳となり、全体(60.4歳)を大きく下回っている。

  また、上場企業の社長平均年齢は58.7歳となった。最年少社長は、VTuberグループの運営などを手掛けるANYCOLOR(東京都港区、東証プライム上場)の田角陸社長(27歳、2022年調査時点)。

<都道府県別> 上位3県は東北地方が独占、東高西低が鮮明に

 社長平均年齢を都道府県別でみると、秋田県が62.4歳(2021年比+0.1歳)で最も高かった。1990年比では+8.6歳となり、上昇幅も全国で最も大きい。次いで岩手県(62.3歳、同+0.2歳)と青森県(62.1歳、同+0.2歳)が続いた。東北地方は6県すべてで60歳を上回り、上位3県を独占した。他方、平均年齢が最も低かったのは三重県(59.1歳、同+0.1歳)で、2017年から6年連続となった。三重県は2022年時点の後継者不在率が29.4%*と全国で最も低く、唯一の20%台であり、事業承継が進んでいると考えられる。

 なお、47都道府県のなかで社長平均年齢が前年から低下した地域はなく、地域を問わず社長の高齢化が進行している。社長平均年齢が60歳を下回ったのは10都府県にとどまり、全国のなかでも新興企業が集まり開業率が高い大都市圏では、比較的低位な傾向がみられた。

<売上高区分別> 「1億円未満」「500億円以上」で60歳超

  社長平均年齢を売上高別にみると、「1億円未満」が61.8歳で最も高かった。次いで「500億円以上」の大企業が60.7歳で続き、50歳以上が9割超を占めるという特徴がみられ、なかでも60代に半数以上が集中している。

今後の見通し:顕在化する社長の「高齢リスク」、時間的余裕のある丁寧な事業承継を

社長の平均年齢は60.4歳となり、2022年も過去最高を更新し、高齢化に歯止めがかからない。また、社長交代時の平均年齢が68.8歳と、70歳に迫る高水準であった。帝国データバンクが集計した2022年度の後継者難倒産では、その主な要因として「代表者の病気・死亡」が占める割合が47.8%にのぼり、過去10年間で最も高かった。社長が高齢化し事業承継への着手が遅れた場合、社長の高齢リスクによって承継が間に合わないケースや、充分な引き継ぎができず承継後に経営が行き詰まる懸念もありそうだ。

 こうした現状を踏まえると、スムーズな事業承継を実現するためには早期の着手が欠かせないといえる。中小企業庁が公表している「事業承継ガイドライン」において、事業承継の構成要素として主に“人・資産・知的財産”の観点があげられているが、それらを短期間で後継者に引き継ぐことは難しい。事業承継は急を要するものではなく後倒しにされる場面も少なくないが、突発的に引き継ぐことになれば、自社のみならずステークホルダーへの悪影響も生じかねない。バトンタッチの時期を見据えながら、時間的余裕を持った事業承継を進める必要があるだろう。

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