双日、ナノ分離膜を用いたDAC技術の2020年代後半の実用化に向け新会社を設立

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 双日株式会社(以下「双日」)は、2022年2月の九州大学との覚書締結を通じてDAC技術(membrane-based Direct Air Capture、以下「m-DACTM(*1)」)の2030年までの実用化に向け調査・研究を進めてきましたが、2020年代後半に社会実装を前倒しすべく新会社Carbon Xtract(カーボン エクストラクト) 株式会社(以下「Carbon Xtract」)を設立しました。
 地球温暖化対策として世界各国で2050年にCO₂排出ネットゼロを目指していますが、IEA(International Energy Agency/国際エネルギー機関)は「化石燃料などの消費抑制による排出削減で達成できるのは現時点の排出量の90%強で、2050年の排出ネットゼロには、2030年時点でDAC技術による7千万トン程度のCO₂の直接吸収が必要」と報告しています(*2)。この実現に向けて日本でも2023年5月12日にGX(グリーントランスフォーメーション)推進法が成立し、DACを始め脱炭素に関わる革新的技術の社会実装を後押しするための先行投資支援体制と市場整備が推し進められています。

 双日もm-DACTMの早期の製品実用化と社会実装には研究開発段階からの潜在需要家との連携が不可欠と判断し、材料ベンチャーの株式会社ナノメンブレンら(*3)と共同で新会社Carbon Xtractを設立しました。今後、双日の顧客ネットワークによる共創を通じて、m-DACTMの製品実用化と利活用を推進し、小型・分散型DAC市場におけるリーディングカンパニーを目指します。

 

【m-DACTMを活用した製品イメージ(九州大学芸術工学部イラスト)】【m-DACTMを活用した製品イメージ(九州大学芸術工学部イラスト)】

 双日は、サステナビリティへの取り組みを経営の重要課題と位置づけ、「サステナビリティチャレンジ」(*4)の中で「脱炭素社会実現」を責務と考えています。九州大学による革新的技術を社会実装させる本取組みは、「脱炭素社会実現」に寄与するものです。双日は、今後も大学や研究機関から生まれる技術を社会実装へ結びつけ、脱炭素社会の実現に貢献していきます。

(*1)ナノ分離膜を用いたDAC技術「m-DACTM」
 大気中の二酸化炭素(CO2)を直接回収する技術。九州大学が研究開発を進めるm-DACTMは、空気を膜でろ過するだけでCO2を回収する方法で、従来のCO2分離膜と比べ極めて高いCO2透過性を有すナノ分離膜を使用することが特徴。
(*2) IEA(International Energy Agency/国際エネルギー機関) Unlocking the potential of direct air capture: Is scaling up through carbon markets possible?/IEA Commentary (2023年5月)
(*3) Carbon Xtractには九州大学も出資を検討中。
(*4) 双日「サステナビリティチャレンジ」
(URL)  https://www.sojitz.com/jp/csr/priority/challenge.php

(参考)
【Carbon Xtract株式会社の概要】

会社名 Carbon Xtract株式会社
代表者 森山 哲雄
設立 2023年5月26日
事業内容  分離ナノ膜を用いて大気から二酸化炭素を選択的に回収する技術を活用した装置・製品の開発・販売

 

関連ニュースリリース:
1)2022年2月9日付「九州大学と双日、分離膜を用い、大気から二酸化炭素を直接回収する技術とその関連技術の社会実装に関する覚書を締結」
(URL)  https://www.sojitz.com/jp/news/2022/02/20220209.php
2)2023年3月22日付「九州大学、双日、九州電力は大気中の二酸化炭素を回収する技術を用いたDAC-U装置の用途を共同開発・検証するために覚書を締結しました
(URL)  https://www.sojitz.com/jp/news/2023/03/20230322-01.php

 

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