・甲南女子大学とPREVENTとの産学連携による共同研究論文が英文誌に掲載。
・モバイルヘルスを活用した生活習慣改善支援プログラムにより、血管疾患ハイリスク者の血圧を低下させる可能性があることを報告。
・研究の成果は、今後のモバイルヘルスを活用した保健指導の発展に寄与することが期待。
【本件の概要】
甲南女子大学看護リハビリテーション学部理学療法学科講師の金居督之が筆頭著者として執筆した論文が、英文誌Circulation Reportsに掲載されました。本研究は、甲南女子大学と共同研究契約を締結しているPREVENTと共同で実施されました。
近年、健康・医学研究の向上のためにスマートフォンアプリなどのワイヤレスデバイスを活用するモバイルヘルスが注目されています。PREVENTは“一病息災の健康づくり支援モデル”という事業ミッションを掲げ、モバイルヘルスを活用した生活習慣改善を支援する疾病管理プログラムを実施しています。
本研究では、PREVENTに蓄積された二次データをもとに、将来心血管疾患や脳血管疾患の発症リスクが高いと想定される高血圧症・糖尿病・脂質異常症のすべての生活習慣病を保有する方(虚血性心疾患ならびに脳血管疾患ハイリスク者)への疾病管理プログラムの効果について検証しました。
【生活習慣改善支援プログラムの詳細】
専属の医療専門職が、生活習慣の客観的評価やヒアリングを行い、一人ひとりに合わせた最適な健康づくりプランを提案し、生活習慣改善を6カ月間サポートします。プログラムの参加者は、スマートフォンアプリを介して日々の血圧、体重、身体活動量や塩分摂取量など数値化します。モニタリング結果は、専属の医療専門職に共有され、2週間に一度の電話面談やチャットを介して行動変容に関するサポートを受けます。プログラムの取り組みの様子はレポートを介して主治医と連携され、医療機関との連携のもとプログラムは提供されます。
【研究の結果】
最終的に解析対象となったハイリスク者は125名であり、プログラム前後の収縮期血圧および拡張期血圧の比較を行いました。その結果、収縮期血圧は3.8mmHg低下(プログラム前:131.9mmHg、プログラム後:128.0mmHg)、拡張期血圧は2.4mmHg低下する(プログラム前:83.6mmHg、プログラム後:81.2mmHg)ことが分かりました。また、プログラム期間中には重篤な有害事象が生じることはありませんでした。
なお、本研究は対照群を設定していない前後比較試験であったため、自然経過の中で血圧が低下した可能性も否定できません。本研究は二次データによる解析のため、研究の限界はあるものの、本研究成果は今後のモバイルアプリを活用した保健指導の発展に寄与することが期待されます。
論文情報
論文名:A Mobile Health-Based Disease Management Program Improves Blood Pressure in People With Multiple Lifestyle-Related Diseases at Risk of Developing Vascular Disease – A Retrospective Observational Study –
掲 載 紙:Circulation Reports
著者:Masashi Kanai, Takuya Toda, Kojiro Yamamoto, Marina Akimoto, Yuta Hagiwara
DOI:https://doi.org/10.1253/circrep.CR-22-0024
筆頭著者
甲南女子大学看護リハビリテーション学部理学療法学科
講師 金居 督之
専門:脳卒中、身体活動量、ウェアラブルデバイス、mHealth
HP:https://nozoe-kanai-lab.notion.site/d6fabba4e94841819fbda745b0419b9d
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