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調査背景
SDGs達成に向けた取り組みによる影響や食品ロス問題など、特にタンパク質の分野において「代替フード」が注目されている昨今。日本においても、数多くのメーカーによって大豆ミートや植物性ミルクなどといった商品が続々と登場しています。
しかし、海外と比較すると日本ではまだまだ浸透しているとは言い難い状況です。
今回はそんな「代替タンパク質」について、生活者からどのようなイメージを抱かれているのか、そのイメージと今後の喫食意向との関係などを調査しました。是非今後のマーケティング活動の一資料としてご活用ください。
調査データのダウンロードはコチラ(GT表、クロス表、リリース) 「代替タンパク質に関する調査」 「代替タンパク質」について、生活者からどのようなイメージを抱かれているのか、そのイメージと今後の喫食意向との関係などを調査しました。是非今後のマーケティング活動の一資料としてご活用ください。 |
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調査概要
1.調査の方法:Webアンケート方式で実施(人口構成比に基づいてウエイトバック集計)
2.調査の対象:全国の20歳以上69歳以下の男女
3.有効回答数:1,000名
4.調査実施日:2023年4月21日(金)~2023年4月22日(土)
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「代替タンパク質に関する調査」主なトピック
✓「代替タンパク質」のうち「食べたいと思う」TOPは「植物由来の代替肉」56.8%、
✓「食べたくないと思う」TOPは「昆虫食」86.3%
✓「代替タンパク質」を今後食べたいと思う理由:原料が“想像しやすいから”
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普段の食事で積極的に摂取している/しようと心がけている栄養素(n=1,000)
はじめに、普段の食事において積極的に摂取している、または積極的に摂取しようと心がけている栄養素をお聞きしました。
下のグラフは、男女別で積極的に摂取している/しようと心がけている割合をそれぞれ表しています。
全体の結果を見ると、「食物繊維」がトップで44.5%となり、そこに43.2%と僅差で「たんぱく質」が続きました。
一方男女別で結果を見ると、「食物繊維」は男性で36.6%、女性で52.6%と、16ポイントもの差が生じています。
栄養素に対する意識は女性の方が男性よりも全体的に高いことがわかりますが、女性の場合ホルモンやさまざまな影響で便秘等が多いということもあり、中でも特に「食物繊維」を積極的に摂取しようと意識を向けている人が多いのかもしれません。
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「代替タンパク質」という言葉の認知度(n=1,000)
「代替タンパク質」という言葉について知っているかお聞きしました。
なお、回答者にはあらかじめ以下の文章をご覧いただいた上で回答していただきました。
全体の結果を見ると、「代替タンパク質」という言葉の意味合いを認知していた割合(「聞いたことがあり、言葉の意味を詳しく知っていた」「聞いたことがあり、言葉の意味をなんとなく知っていた」の合算)は55.7%と半数を超える結果となりました。
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「代替タンパク質」に該当すると認知していたもの(n=556)
前掲した設問「『代替タンパク質』という言葉の認知度」にて認知していた方に対し、「代替タンパク質」に該当するものとして、自身が知っていたものをお聞きしました。
下のグラフは、知っていた方の割合をそれぞれ表しています。
全体の結果を見ると、「植物由来(大豆などから製造された食品)の代替肉」が82.6%の認知度合いでした。これは、次点の「昆虫食(コオロギやイナゴなどの昆虫を使った食品)の代替肉」の54.2%よりも28.4ポイント高い認知度合いです。
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「代替タンパク質」に対するイメージ(n=1,000)
次に、「代替タンパク質」に対するイメージをそれぞれお聞きしました。
設問では、回答者がイメージしやすいように「代替タンパク質を利用した代替肉」と表現しています。
全体の結果を見ると、植物由来(大豆などから製造された食品)の代替肉と発酵由来(伝統的な発酵・バイオマス発酵・精密発酵させて製造された食品)の代替肉は、ともに「身体によさそう」というイメージが最も強いことがわかりました。
特に植物由来の代替肉は「身体によさそう」というイメージを、半数近くの42.4%の割合で抱かれており、さらに「タンパク質が豊富」「おいしそう」というイメージもそれぞれ28.4%・14.8%と、4つの代替肉のうち最多の票を集めています。
細胞培養(細胞を培養して製造された牛肉や魚肉など)の代替肉については、「科学的」というイメージが最多の27.5%、次点で「様々な食品に代用できそう」なイメージが18.3%となりました。「タンパク質が豊富」「身体によさそう」なイメージはそれぞれ13.3%・11.0%の票を集めています。
昆虫食(コオロギやイナゴなどの昆虫を使った食品)の代替肉の場合、最も多かった「タンパク質が豊富」というイメージでも18.7%にとどまっており、そもそも項目にあるようなポジティブなイメージを抱く割合の低さが目立ちました。
4つの代替肉のうち最も抵抗感が強いと言えるでしょう。
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「代替タンパク質」を今後食べたいと思うか(n=1,000)
次に、「代替タンパク質」を今後食べたいと思うかお聞きしました。
設問では、回答者がイメージしやすいように「代替タンパク質を利用した代替肉」と表現しています。
全体の結果を見ると、4つの代替肉のうち、今後食べたいと思う人の割合が最も高かったのが「植物由来(大豆などから製造された食品)の代替肉」で56.8%でした。(「食べたいと思う」「やや食べたいと思う」の合計)
次点で「発酵由来(伝統的な発酵・バイオマス発酵・精密発酵させて製造された食品)の代替肉」が44.9%、次に「細胞培養(細胞を培養して製造された牛肉や魚肉など)の代替肉」で32.3%。
「昆虫食(コオロギやイナゴなどの昆虫を使った食品)の代替肉」は13.7%で、喫食することに最も消極的であることがわかりました。
前掲した設問【「代替タンパク質」に対するイメージ】にて、「身体によさそう」「タンパク質が豊富」「おいしそう」という3つのイメージにおいてトップであった「植物由来の代替肉」が、本設問の喫食意向についてもトップを飾ることとなりました。
2番目に喫食意向が高い「発酵由来の代替肉」についても、「身体によさそう」「タンパク質が豊富」「おいしそう」なイメージは同じく2番目に強くなっていました。
このことから、「身体によさそう」「タンパク質が豊富」「おいしそう」というイメージが強ければ強いほど、今後の喫食意向は高まる傾向にあり、「おいしそう」というイメージがあまり強くなくても、「身体によさそう」なイメージが強ければ、食べたいと思ってもらえる可能性が高いことがわかります。
一方「発酵由来の代替肉」よりも喫食意向が低かった「細胞培養の代替肉」については、前掲した設問にて「科学的」「様々な食品に代用できそう」というイメージが2TOPとなっており、かつこの2つのイメージは「発酵由来の代替肉」よりも高くなっていました。(「科学的」なイメージについてはトップ)
このことから、「科学的」「様々な食品に代用できそう」というイメージは、喫食意向にあまり関係しないことがわかります。
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「代替タンパク質」を今後食べたいと思う理由(自由記述回答)
前掲した設問【「代替タンパク質」を今後食べたいと思うか】にて、いずれかの「代替タンパク質」について「食べたいと思う」「やや食べたいと思う」と回答した方に対し、その理由を自由記述にて具体的にお聞きしました。
植物由来の代替肉や発酵由来の代替肉については、“安心”や“抵抗がない”などといった言葉が多く挙がっていました。
「代替」と聞くと不信感を抱いてしまう生活者も多いですが、この2つの代替肉は、どんなものなのか想像しやすいことや、「植物」「発酵」という言葉自体へのプラスのイメージが、喫食意向に繋がっているようです。
細胞培養の代替肉や昆虫食の代替肉については、“興味”や“気になる”といった言葉が多く挙がっており、「どんなものなのか想像できないから食べてみたい」という声が目立ちます。特に昆虫食の代替肉は、メディアをきっかけに興味を持つ人も一定数いるようです。
■植物由来の代替肉を食べたいと思う理由(一部抜粋)
・大豆などから生成されたものならば安心して食べられそう
・植物は普段から摂取しているので抵抗なく摂取出来そうだから。
・想像出来て、安心して食べられそうだから。
・大豆なら身体にも良さそうだから
・一番無難
・イメージ的にヘルシーで効率よくタンパク質を摂れそうだから。
・不信感がない
・ヘルシーで安全性が高そうなイメージだから。
・馴染みのある食材だから
■細胞培養の代替肉を食べたいと思う理由(一部抜粋)
・安価に食べられるイメージがあるから
・元の細胞が牛肉や魚肉なら抵抗感がない
・細胞を培養するというのが興味深いから
・動物の犠牲を減らそうなので
・味の違いが気になるから
・肉の再現性が高そうだから。
・食糧難の対策になりそう
■発酵由来の代替肉を食べたいと思う理由(一部抜粋)
・丁寧に作られていそうだから
・栄養が豊富そうだから。
・発酵、というだけで体によさそうなイメージがある
・発酵食品という言葉に良いイメージを持っているため
・危険がなさそう
・自然的で安心して食べれそうだから
■昆虫食の代替肉を食べたいと思う理由(一部抜粋)
・美味しいという評判を聞くから
・最近マスコミ等で話題になっていて興味がある
・テレビで見て、興味をもったから
・脂肪が少なそう
・話題になっているから。
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「代替タンパク質」を今後食べたいと思わない理由(自由記述)
前掲した設問【「代替タンパク質」を今後食べたいと思うか】にて、いずれかの「代替タンパク質」について「あまり食べたいと思わない」「食べたいと思わない」と回答した方に対し、その理由を自由記述にて具体的にお聞きしました。
4つの代替肉について、食べたいと思わない理由に大きな違いはなく、全体を通して「値段が高そう」「信頼できない」「おいしくなさそう」「肉のおいしさは出せない」といった声が挙がっていました。
そんな中でも細胞培養の代替肉については、まだ認知が広がっていないからか、どのようなものか具体的にイメージしづらいこともあり、「身体に悪そう」「培養を摂取したくない」といった不信感を抱く声が挙がりました。
また、昆虫食の代替肉については「わざわざ食す必要が無い」「言葉のインパクトで嫌悪感が強い」「見た目からして、食欲をそそられない」など、昆虫という理由のみで拒否反応を示す声も強く、中には「アレルギーが出そうで心配」や寄生虫などの衛生面を心配する声もありました。
■植物由来の代替肉を食べたくないと思う理由(一部抜粋)
・あまりおいしそうじゃない
・ジューシーじゃなさそう
・大豆製品をとることはあっても、肉の代替品として取りたいとは思わない
・ヘルシーすぎておいしくなさそう
■細胞培養の代替肉を食べたくないと思う理由(一部抜粋)
・おいしくなさそう
・抵抗感がある
・イメージがしづらい
・細胞培養するというのが怖い
・なんとなく体に悪そう
■発酵由来の代替肉を食べたくないと思う理由(一部抜粋)
・おいしくなさそう
・イメージがしづらい
・発行は腐るイメージがある
・科学的な感じが怖い
■昆虫食の代替肉を食べたくないと思う理由(一部抜粋)
・おいしくなさそう
・虫が苦手
・気持ち悪い
・寄生虫など安全性が心配
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「代替タンパク質」の喫食経験(n=1,000)
「代替タンパク質」の喫食経験をお聞きしました。
なお、発酵由来と細胞培養については、日本国内では商品化されていないため、植物由来と昆虫食についてお聞きしてます。
植物由来(大豆などから製造された食品)の代替肉の喫食経験を見ると、全体としては41.8%の喫食経験率であることがわかります。
一方、昆虫食(コオロギやイナゴなどの昆虫を使った食品)の代替肉の喫食経験率は全体でわずか12.9%にとどまりました。
特に、現在多くのメーカーからさまざまな商品が発売されている植物由来の代替肉でさえ、普段から食べているという人は約20%となっており、まだまだ発展途上であることがわかります。
■この調査のその他の質問
・現在の世帯年収(スクリーニング設問)
・環境意識(スクリーニング設問) など
■この調査で使用した調査サービスはコチラ
ネットリサーチ:https://neo-m.jp/research-service/netresearch/
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<例>「生活者起点のリサーチ&マーケティング支援を行なうネオマーケティングが実施した調査結果によると……」
■「ネオマーケティング」
URL :https://neo-m.jp/