- その施策、本当に地域のためになっていますか？
地方創生がトレンドになり、さまざまな取り組みを行う自治体が増えました。テレワークの浸透で地方移住が増えたり、子育て支援など自治体ごとの魅力的な施策が功を奏し、人口が増えたというケースもよく耳にします。
それでも、いまだ地方格差は大きく、少子高齢化や人口減少、都市への人口流出による過疎化など、地方が抱える問題も大きいでしょう。
そんななかでも、地域のためにさまざまな施策に取り組んでいる方は多いと思います。
しかし、
・今進めている地域のための取り組みは、昔計画されたもので今の時代に合っていない
・時代は目まぐるしく変わっているのに、社会保障は変わっていない
・何かを変えたいと思っていても、関係者が多すぎて声を上げられない
このような疑問を抱きながら施策に取り組んでいる人も多いのではないでしょうか。
社会が変われば、社会保障も変わっていかなければなりません。
しかし、現代社会においては、「変わる」ことの優先順位やスピード感が立場によってズレてしまいがちです。そのため、10年前に立てた計画を敢行する頃には、時代の変化スピードによって、それが既に地域に意味を為さない場合があります。
「変わらなければいけない」という問題意識を持っている人は多くいます。しかし、「いつまでに」という時間軸が人によって異なるため、危機感のレベルに大きな差が生じているのです。
とくに大きな組織や行政機関では、既存のルールを守ることを優先するあまり、スピード感のズレがある場合もあります。
変化するスピードが速い時代に〝完璧〟を準備していたら、機を逸してしまいます。まして、さまざまな価値観を持つ地域の人々の課題に対しては、たとえ計画が未完成でもまず行動することが大事です。
本書では、それぞれの現状と抱える課題に焦点をあてながら、今を生きる自分たちだけでなく未来を生きる人たちのために、「私たちが今できることは何か」のヒントを示します。
- 地方病院代表が描く、100年後のために地域で今できること
本書の著者は愛生館グループ代表の小林清彦さん。
愛生館グループは、1945年に愛知県碧南市で小林医院を開設して以来、移り変わる社会の中で常に地域の課題と向き合い、地域のためにできることを模索してきました。そして地域と共に育まれながら、時代とともに変わりゆく地域から求められる役割に応じて医療オンリーから事業形態を変え、医療・介護・福祉の複合体へと成長していきました。
病院や介護施設は、地域の人々が生活する上で困ったときに関わる場所。だからこそ必要なときに「あって良かった」と感じてもらえる、地域にとっての黒子のような存在を目指してきたそうです。言い換えれば〝地域のセーフティネット〟であることを、大きな役割と捉えています。
医療・介護・福祉を多重構造化することで支援から抜け落ちてしまう人が一人でも減るよう、「この地域で自分たちができること」を常に探り、地域づくりに尽力してきた著者が、100年後の暮らしを守るために、地域で今できることを提案していきます。
- 書籍概要
【目次】
はじめに
第1章 医療・介護・福祉
第2章 地域社会とのつながり
第3章 組織と人(フィロソフィ)
第4章 今、できることは何か
おわりに
【著者情報】
小林清彦（こばやし・きよひこ）
2001年に松本歯科大学卒業。 社会医療法人大雄会を経て、2004年から愛生館にて勤務。 人事・経理や事業所長などに従事しながら口腔ケアの充実を行う。 2013年に社会福祉法人理事長に、2020年にグループ代表に就任。「０歳から100歳まで、すべての人を支援する仕組みづくり」を追求し、医療・福祉・介護施設を展開する一方、2022年にはこども園と高齢者デイサービス施設、障がい者施設、サロンなどの複合施設「CORRIN」を開設するなど、幅広い施策を手がける。
【書籍情報】
タイトル：『地域を変える、日本の未来をつくる！ 地方病院からはじまった型破りなイノベーション』
発売日：2023年4月21日
刊行：ディスカヴァー・トゥエンティワン
仕様：四六判／240ページ
ISBN：978-4-910286-33-4
定価：1650円（税込）
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