株式会社日本SPセンター(本社:東京都渋谷区/社長:渡邉一男)が運営する「コンテンツマーケティング・アカデミー」では、毎年「コンテンツマーケティング・サーベイ」を実施し、国内のコンテンツマーケティングの運営実態調査を定点観測しています。
このたび、コンテンツマーケティングに業務として関わる方々を対象に、2022年12月22日~2023年1月31日にかけて「コンテンツマーケティング・サーベイ 2022-2023」を実施。「コンテンツマーケティングのビジネス上の成果」と「外注の活用」について、調査結果をとりまとめました。
◆◆調査結果のまとめ◆◆ 1.コンテンツマーケティングのビジネス上の成果として、「非常にあてはまる」「ある程度あてはまる」と回答したのは、B2Bで42.8%、B2Cで63.4% ⇒B2C企業よりもB2B企業のほうが成果を感じにくい。成果の内訳は「ブランド認知の形成」がB2B(51.0%)、B2C(51.7%)と最多。 2.「ひとり以下チーム(専任ゼロ名も含む)」が、B2Bで57.3%、B2Cが40% ⇒昨年度の調査と比較しても大きな変化はない。今後も現場の孤軍奮闘は続くと見られる。 3.B2B、B2Cともに、約70%が業務を外注 / 外注内容は主に「コンテンツ制作」 ⇒外注の内訳は「コンテンツ制作」がB2B(69.8%)、B2C(68.3%)と最多。 4.コンテンツマーケティングの外注先を選定するポイントは、「専門性」「予算」「共感」 ⇒B2B、B2Cいずれも「対象のテーマについて十分な専門知識を持っている」「予算上の問題」「ユーザーを理解し、共感を得られること」が上位に。 5.B2Bは外注したほうが成果を上げている。B2Cでは外注でも内製でも、どちらも成果を上げている。 ⇒B2Bで外注している企業は、成果をあげているか?という質問について「非常にあてはまる(7.2%)」「ある程度あてはまる(44.9%)」と回答。外注していない企業は「非常にあてはまる(3.7%)」「ある程度あてはまる(14.8%)」に留まる。 |
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1.コンテンツマーケティングのビジネス上の成果として、「非常にあてはまる」「ある程度あてはまる」と回答したのは、B2Bで42.8%、B2Cで63.4%
現在、コンテンツマーケティングに取り組む企業のうち、どのくらいの企業がビジネス上の成果をあげているのでしょうか?
コンテンツマーケティングでビジネス上の成果をあげているか?という質問に対し、B2B企業では、6.3%が「非常にあてはまる」、36.5%が「ある程度あてはまる」と回答。一方のB2C企業では11.7%が「非常にあてはまる」、51.7%が「ある程度あてはまる」と回答しました(Q1)。
B2Bではまだ成果が実感できない企業のほうが多く、B2Cでは逆に成果が実感できている企業のようが多くなりました。現状の日本のコンテンツマーケティングでは、B2CよりもB2Bのほうが、ビジネス成果創出が難しいと考えられます。
続けて、その成果の内訳を尋ねたところ、「ブランド認知の形成」がB2B(51.0%)、B2C(51.7%)と最多となりました(Q2)。
B2Bでは次に「需要や見込み客の創出(46.9%)」「ユーザーへの必要な情報の伝達(教育)(37.5%)」「メルマガ購読者、オーディエンス(ファン)、見込み客の育成(33.3%)」と続きます。
一方、B2Cでは「ユーザーへの必要な情報の伝達(教育)(41.7%)」「需要や見込み客の創出(38.3%)」「(ブランド・組織への)信頼感の醸成(35.0%)」と続きました。 また、「売上増への貢献」と答えた割合は、B2B(15.6%)、B2C(31.7%)と大きな開きがありました。
B2BとB2Cのいずれにおいても、最多の回答は「ブランド認知の形成」であることは共通しているものの、それ以降に続く成果の内訳に異なる点が多いことが分かりました。B2BとB2Cでは、その購買プロセスや購買の意思決定基準が異なるため、企業のコンテンツマーケティングの戦略や施策の特性も異なります。そうした違いが、期待できる成果や、創出しやすい成果についても現れていると考えられます。
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2.「ひとり以下チーム(専任ゼロ名も含む)」が、B2Bで57.3%、B2Cが40%。孤軍奮闘という現実。 / しかし、増員は見込めない。
コンテンツマーケティングを実行するチームの規模は、どのくらいなのでしょうか?
チームに、専任のメンバーは何名いますか?という質問に対し、最も多かった回答は「0名(専任メンバーはいない)」でB2B(33.3%)B2C(20.0%)でした(Q3)。コンテンツマーケティングに取り組むB2B企業のうち約3社に1社、B2C企業では約5社に1社が、専任担当者が不在という状況が浮き彫りになりました。
続く「1名」との回答と合わせた「ひとり以下チーム」の割合は、B2B(57.3%)B2C(40.0%)となり、多くの現場では「孤軍奮闘」状態であると考えられます。
メンバー数の増減についても尋ねたところ、メンバー数が「変わらない」と回答した企業は、B2B(53.1%)、B2C(55.0%)と最多となりました(Q4)。メンバーが「増えた」と回答する企業はあるものの、メンバー数やその増減についての全体傾向については、昨年度の調査※からみても大きな変動はなく、多くの企業では「ひとり以下チーム」の状況が続いていくことが考えられます。
※参考:昨年度の調査はこちら
▼コンテンツマーケティング・サーベイ2021-2022 概要解説
https://contentmarketinglab.jp/application-method/survey2021_report/
▼コンテンツマーケティング・サーベイ2021-2022 詳細レポート
https://lp.contentmarketinglab.jp/cma/survey2021
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3. B2B、B2Cともに、約70%が業務を外注 / 外注内容は主に「コンテンツ制作」
コンテンツマーケティングの実行にあたり、どのくらいの割合の企業が外注を活用しているのでしょうか?
コンテンツマーケティングの運営にあたり、外注を行っていると回答した企業はB2B(71.9%)、B2C(71.7%)となりました(Q5)。
外注の内訳について尋ねたところ「コンテンツ制作」がB2B(69.8%)、B2C(68.3%)と最多になりました(Q6)。続く「コンテンツの拡散(配信)」「効果測定」「コンテンツ戦略」「編集プラン」「コンテンツテクノロジー(ITツールの導入・運用)」から大きな差があり「コンテンツ制作は外注するが、それ以外は内製化している」といった現場の状況が浮き彫りとなりました。
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4. コンテンツマーケティングの外注先を選定するポイントは、「専門性」「予算」「共感」
さらに、外注先を選定する際の基準を尋ねたところ、B2B企業B2C企業ともに「対象のテーマについて十分な専門知識を持っている」「予算上の問題」「ユーザーを理解し、共感を得られること」が上位に(Q7)。特にB2Bでは、「対象のテーマについて十分な専門知識を持っている」を1位に選ぶ企業が41.7%と、高い割合となりました。製品や業界への高い関心と理解をもって、コンテンツ制作を行ってくれる外注先に依頼したいという傾向が強いと考えられます。
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5. B2Bは外注したほうが成果を上げている。B2Cでは外注でも内製でも、どちらも成果を上げている。
コンテンツマーケティングでビジネス上の成果を上げるためには、外注をしたほうが良いのでしょうか、それとも完全内製化のほうが良いのでしょうか?
外注の有無と、コンテンツマーケティングでのビジネス上の成果を掛け合わせて分析したところ、B2Bでは外注している企業のほうが、ビジネス上の成果をあげていることがわかりました。
B2Bで外注している企業は、成果をあげているか?という質問について「非常にあてはまる(7.2%)」「ある程度あてはまる(44.9%)」と回答していますが、外注していない企業は、「非常にあてはまる(3.7%)」「ある程度あてはまる(14.8%)」に留まっており、大きな差があります(Q8)。
一方のB2Cでは、異なる結果となりました。外注の有無と、コンテンツマーケティングでのビジネス上の成果には、あまり違いが出ませんでした。B2C企業では、コンテンツ制作をはじめとしたコンテンツマーケティング業務を完全に内製化していても、遜色ない成果を出すことができると考えられます。
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考察:コンテンツマーケティングの成功に必要な「成功5カ条」において、外注パートナーとどう協力するかが重要
これまでにコンテンツマーケティング・アカデミーの継続した調査により、コンテンツマーケティングのビジネス上の成果をあげるためには以下の「成功5カ条」が重要だということが分かっています。
【コンテンツマーケティングの成功5カ条】
1.コンテンツマーケティングの書面としての戦略設計図を活用すること
2.コンテンツの成果を測るための指標(KPI)を持つこと
3.メディア運営や施策実施の品質を平準化するための運用指針やマニュアルを持つこと
4.自社や自社製品のためのオンライン・コミュニティを構築すること
5.エディトリアルカレンダーを作成し活用すること
今回の調査では、「コンテンツ制作」が特に外注されている状況が浮き彫りになりました。B2B企業でもB2C企業でも「ひとり以下チーム」が主体となっていることを考慮すると、記事作成や動画作成などを担う「制作リソース」がまず第一に求められるため、コンテンツ制作の外注にニーズが集まるのは当然ともいえます。
一方で、コンテンツマーケティングの成果を追求するためには、ただひたすらコンテンツを量産するだけでなく、上記「成功5カ条」について取り組み、改善を続けるための「戦略リソース」が重要です。
コンテンツマーケティングはすぐに成果がでるものではなく、およそ18ヵ月※は必要とされています。長期間にわたり成果を追求し続けるためにも、コンテンツマーケティングに取り組む企業には、継続した「戦略リソース」と「制作リソース」の両方の確保が重要になります。現在の国内コンテンツマーケティングでは「戦略リソース」の外注はまだ多くはありませんが、ビジネス成果に直結する分野です。今後、新たな外注モデルやパートナー関係が期待されます。
※ Content Marketing Instituteの創始者、Joe Pulizzi氏は、顧客との良好な関係性を築き、ビジネス成果につなげるために、最低でも18ヵ月以上実施することを推奨している。
■調査の概要
調査期間:2022年12月22日~2023年1月31日
調査対象:コンテンツマーケティングを実施している企業に所属している方、コンテンツマーケティングの戦略立案や、コンテンツマーケティング業務(コンテンツ制作含む)に関わる方
調査方法:WEBアンケート調査
対象者数:156名(B2B:96名、B2C:60名)
調査事項:実施しているコンテンツマーケティングのチーム体制・予算・戦略・業務プロセスなど
調査方法:オンラインイベント「CONTENT MARKETING DAY 2022」の参加者に対してのWEBアンケート(フォームへの入力)により回収
調査協力:オウンドメディア勉強会
全調査結果を含む詳細版は「コンテンツマーケティング・サーベイ2022-2023」特設ページにて後日公開予定(登録不要・2023年4月中旬頃):
・調査レポート(ダイジェスト版):PDF
・調査レポート(完全版):PDF
・BI加工データ:Tableauファイル
・ローデータ:CSVファイル
▼「コンテンツマーケティング・サーベイ2022-2023」特設ページ
https://lp.contentmarketinglab.jp/cma/survey2022
▼Content Marketing Academy(コンテンツマーケティング・アカデミー)
https://lp.contentmarketinglab.jp/cma/