当社は、1997 年より独⽴開業⽀援サイト「アントレ( https://entrenet.jp/ )」を運営し、2012 年より独⽴開業者の働き⽅に関する実態把握を⽬的に脱サラ経営者への調査を実施しており、過去データと⽐較することで社会の変化や流れを可視化しています。
詳細の調査データ:https://entrenet.jp/pr/entre_kaigyousyatyousa2022.pdf
■総括:
- 【今期の独立トレンド】は独立にさきがけ準備を進め、スキルを活かしながら、初期投資を抑えてリスクを避ける、「スモールスタート独立」の傾向。
- 背景として、独立スタイルでは個人のスキルを活かせる「業務委託、フリーランス(28.0%)」が昨年比+5.1%の増加が挙げられます。これは、コロナからの復調傾向から業務委託、フリーランスの受け入れ先の企業が回復したことによりアウトソースが活性化していることも後押ししていると推測できます。
- 独立業種では情報通信業(10.6%/昨年比+1.2%)の伸びが最多、次いで生活関連サービス(合計14.7%/昨年比+0.7%)。個人で独立が叶う職種に人気が集まる傾向から専門性を生かした様子が見えます。
- さらに、独立から3カ月以内に使った金額では、0円の割合が18.4%、100万円未満の割合も70.6%で過去最多の結果から、業務委託やフリーランスの独立スタイルが増え、スキルや経験を生かし、初期投資や費用負担が少ないスモールスタートにより、独立後の投資額も低くなったと推察できます。
- そして、「会社員に戻りたいかどうか」は過去調査と比較しても変化がなく、全体では「戻りたい(と思う時があるを含む)」が1割程度であるのに対し、「開業から2〜3年」組は約半数が「戻りたい」と回答し最多に。3年以上になると「とても戻りたい」は0%、「戻りたいと思うことがある」が17.0%となり、1/3程度に下がることから、独立後3年前後が1つの「試練の山」であり、2〜3年対策が鍵となると言えます。
【そのほかの傾向】
・開業1年未満では、20代30代の独立の合計が69.5%(昨年比+1.2%)となり若年層の独立傾向が継続
・副業が期待以上に生かされた割合が25.4%で、6割が生かされたと回答。独立スタイル別の副業有無では、「業務委託、フリーランス」での副業経験者が5.0%高い結果に(30.3%)
・「独立時期が遅すぎた」割合が経年でわずかに伸長。独立のハードルの低さを実感する人が増加か
・独立時期の決定要因は元々設定していた時期が1位、年代の変わり目が3位と、事前に計画している準備層が多い傾向
・独立準備の順調さは、独立後の家族・夫婦の関係の良好さからもわかります。
・感染症対策も全項目で緩和。コロナウイルス感染症からの復調傾向が明らかになりました。
■調査結果の詳細
◇「業務委託、フリーランス」の割合が例年より5%超高い結果(昨年比+5.1%/20年度比+5.4%)
・スキルを活かした「個人事業主」としての独立の傾向が見え、スモールスタート独立が人気になりつつある
・その他の要素として多かった「後継」を22年度から新設。11.4%となり事業承継の機運の高まりがうかがえる
◇1年未満・1~2年未満での「業務委託、フリーランス」の平均が42.1%と、2~3年未満比1.6倍
・開業2年未満では「業務委託、フリーランス」の割合増が顕著。1年未満は41.7%、1~2年未満は42.5%となり、2年未満の平均では42.1%となり、2~3年未満と比較すると16.5%も高い結果となった。
・スキルを活用し、投資額を抑える傾向。
・アフターコロナの独立トレンドは「スモールスタート」
◇独立業種では情報通信業(10.6%/昨年比+1.2%)の伸びが最多。個人で独立が叶う職種に人気が集まる傾向。
・昨年に比べ情報通信業(10.6%/昨年比+1.2%)、次いで、生活関連サービス(合計14.7%/昨年比+0.7%)、その他サービス(3.3%/昨年比+0.7%)が伸長。
◇昨年に続き、若年層の独立割合が高い。20代30代の合計が69.5%となり、昨年より1.2%アップ
・22年度(1年未満)の独立開業者は、30代が昨年より1.6%増で最ボリュームゾーン。次いで20代、40代。
・60代の独立も昨年比3.4%増となり、50代を抑え、定年を迎えた方の独立も増加傾向。
◇独立初年度は300万円以下が最多と、事業開始時には一時的に年収は下がるが、事業継続で年収増
・現在の年収は400万円以上が36.4%で独立前、初年度と比較して最多。
◇フランチャイズは初年度から好調なスタート。対してフリーランスやスモールスタートで着実な成長
・フランチャイズ加盟は、独立初年度の300万円未満の層は2番目に低く(7.7%)、初年度から安定した売り上げを担保できる様子がうかがえる。現在の1000万円以上の割合も初年度0%から7.7%に増加している。
・業務委託、フリーランスは、初期投資を抑えている分、年収の伸びはゆるやかだが、確実に事業成長している。投資額を抑えてスモールスタートし、大きな失敗なく着実に成長するスタイルがトレンドと言える。
◇副業が期待以上に生かされた割合が25.4%で過去最多、6割超が生かされたと回答
・ウィズコロナ(2021年度)では待ったなしで本業に生かすための副業が加速、行動制限が解除されたアフターコロナ(2022年度)では、副業の高まりから開始する層も増えたか。結果として、思わぬ形で期待以上に生かされた割合が増えるとともに、生かされていないと回答する層も昨年より増えていると思われる。
◇独立スタイル別の副業有無では、業務委託、フリーランスでの副業経験者が5.0%高い結果に(30.3%)
・副業経験者の独立スタイルは、自力開業が半数と高い割合は占めるものの、業務委託、フリーランスに限らず、フランチャイズ加盟、代理店加盟と幅広いスタイルで副業していない層を上回っていることがわかる。スキル、知識アップにより独立の選択肢が広がっていると考えられる。
・後継では副業をしていない割合が5.6倍と高く、引き継ぎながら経営を学ぶ実践の場があることが推測できる。
◇年収別の副業経験有無で見ると、独立前・独立初年度・現在ともに、副業経験者の方が年収が高い。
・副業経験者は独立後に限らず年収が高い傾向が顕著。独立初年度の300万円未満の割合も36.9%と経験なしと比較して8.2%も低く、800万~1000万円未満では2倍以上の差がついている。
◇独立時期は、ちょうどよかったが7割。「遅すぎた」の割合が経年でわずかに伸長
・スキルを活かした業務委託、フリーランスの増加に伴い、リスクを負わない傾向から、独立のハードルの低さを実感する人も増えていると推測できる
◇独立検討時の困った点は、問題なしが最多。コロナ下の独立は個人活動が活発の一方、交流が希薄に。
・問題点なしが最多で例年比でも増加(37.4%/昨年比+3.9%)。自分に独立があっているか不明(12.9%)と回答する方も昨年比-5.0%、自分に経営能力があるか分からない(21.9%)では昨年比-1.4%となり、独立挑戦の難易度が下がっている様子から、独立にさきがけた準備が順調だったと推測できる。
・ただ、自分と同じ環境の方の情報の集め方の割合9.2%にアップ(昨年比+2.3%)し、コロナ下で、個人での事前準備は進むも他者とのつながりの希薄さが感じ取れる結果となった。
◇独立決意の理由は、自分の自由になる仕事、気持ちにゆとりがある仕事、会社での仕事に限界が上位となった
・1位 もっと自分の自由になる仕事がしたい(28.0%/21年度比-6.3%)、2位 気持ちにゆとりがある仕事がしたい(21.9%/21年度比+2.6%)、3位 会社での仕事に限界(18.2%/+2.5%)となり、会社への不満要素が独立への憧れを形成している状況が垣間見える
◇独立から3カ月以内に使った金額では、0円の割合が過去最多(18.4%)
・100万円未満の割合も70.6%で過去最多に。業務委託やフリーランスの独立スタイルが増え、スキルや経験を生かし、初期投資や費用負担が少ないスモールスタートにより、独立後の投資額も低くなったと推察。
◇独立後の気持ちの変化は「働き方の決定権が楽しい」が最多(66.9%)、次いで「仕事が楽しい」が63.8%
・独立を決意した理由からつながる不が解消されている前向きな様子が見て取れる。
・一方、将来の不安が大きいこともわかる(不安が大きい、やや大きいで47.8%)。
◇家族・配偶者との関係はよくなった割合が過去比最多。また悪くなったと回答した方も他年度より減少
・アフターコロナに向けたさきがけ独立準備層の増加か。家族を味方につけて独立ができている。
◇独立初年度から2~3年未満の開業年数で「会社員に戻りたい」の割合が増加。独立後3年を超えると安定か
・会社員に戻りたいかの経年変化を見ると、「とても戻りたい」「戻りたいと思うことがある」と回答した割合は22年度でわずかに伸長(16.0%/昨年比+1.4%)も、「戻りたくない」の割合が5割を超え順調さが見える。
・会社員に戻りたいかについて、開業年数ごとに比較してみると、会社員に戻りたい(思うことがあるも含む)ピークは、2~3年未満の開業者で48.8%と約半数。「戻りたくない」の割合でも、年収が下がり気味である初年度よりも11.5%も低く、30.2%とどの開業年数帯よりも低い結果に。
・3年を超えると事業が安定する傾向が見え、戻りたいの割合は17.0%と1/3程度まで減り、約半数が戻りたくないと回答するまでに回復している。2年~3年目にくる試練の山を越えることが、独立継続のカギと言える。
◇昨年同時期比の業務影響では、プラス影響が例年比で最多(30.4%/昨年比+6.0%)
・マイナス影響についても、大幅、一部、今後の見込みの全項目ともに減少。コロナからの復調の様子が見える
◇感染症対策を実施していない割合が例年比で最多。取り組みの実施率は全項目で低下の傾向
・対策未実施が最多(42.9%/昨年比+4.7%)。
・採用計画の見直し(2.9%/前年比-2.9%)や大規模・小規模の集合イベントの中止・延期(3.5%/前年比-3.3%)ではほぼ半数となり、事業成長が再開されつつある様子がうかがえる
■ 調査概要
調査対象:過去に企業勤めの経験がある 20 代から 60 代までの経営者(脱サラ経営者)
調査期間:2022/12/19~2022/12/22
⽅法:インターネット調査
有効回答数:553 名
■脱サラ経営者に関する実態調査 過去のリリース
【2021年調査】コロナ助成金・給付金の活用が浸透し、事業継続に向けた奮闘が顕著(2022/01/24発表)
https://entrenet.jp/corporate/news/news71/
【2020年調査】前職に戻りたい経営者は1割どまり、生き残りへの奮闘が目立つ(2021/02/17発表)
https://entrenet.jp/corporate/news/news38/
■独立・開業支援サイト「アントレ」について
https://entrenet.jp/
1997年2月より、独立のために必要な情報を集約した日本最大級の独立開業専門サイト。利用者の興味関心のある独立開業プランへの「資料請求&資料ダウンロード、説明会予約」機能を提供。先輩の成功談・失敗談や企業検索から説明会・個別面談会情報まで比較検討できるフォーマットで提供する点が特長。アントレの会員数は35万人を超え、230件以上のフランチャイズ・代理店・業務委託募集といった独立開業プランを紹介掲載することで、週2,500~4,000件の資料請求や説明会予約につながっている。(2023年3月現在)
■独立ワークスラボについて
https://corp.entrenet.jp/about/fellow/
「独立」に関する社会背景や独立開業に踏み出す人々の最新動向を発信することで、個人を軸にした多種多様な働き方の浸透を目指す働き方に関する研究機関。活動内容は、働き方に関する心理行動変容の調査やアントレに蓄積された統計・定性データの分析レポート公開、事業承継やセカンドキャリア、若手・女性の働き方をテーマとした「副業・複業・独立」へのアプローチを考えるイベントの開催など。
■株式会社アントレ会社概要
個人の独立開業を支援するため、フランチャイズ・代理店・業務委託募集等のインターネット広告事業とイベント運営を実施。1997年より、独立のために必要な情報を集約した日本最大級の独立開業専門サイト「アントレ ( https://entrenet.jp/ )」を運営。
社名:株式会社アントレ
代表取締役:上田隆志
所在地:〒107-6111 東京都港区赤坂5-2-20赤坂パークビル11階
事業内容:独立した働き方を支援するインターネット広告事業と展覧会・イベント等企画及び運営。
URL:https://corp.entrenet.jp/