知財で目覚ましい取組をしたスタートアップやスタートアップ関係者を表彰 第4回「IP BASE AWARD」授賞式

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特許庁は、スタートアップに不可欠な知財戦略に関する基礎知識や支援施策、イベントなどの最新情報を集約した知財コミュニティポータルサイト 「IP BASE」を運営しています。3月3日(金)、赤坂インターシティコンファレンスにて、今回で第4回となるIP BASE AWARD授賞式を開催しました。

 

第4回「IP BASE AWARD」受賞企業・団体(東京都港区)第4回「IP BASE AWARD」受賞企業・団体(東京都港区)

■「IP BASE AWARD」概要
IP BASE AWARDでは、知財に関する取り組みについて高く評価されたスタートアップおよび知財支援の専門家、エコシステムのベストプレイヤーを表彰しています。スタートアップの知財活動・知財支援活動の奨励をすることで、スタートアップによる知財活用、知財専門家によるスタートアップ支援、スタートアップ知財エコシステムへの取り組みを後押しします。また、優れた活動・取組を表彰することで、今後成長するスタートアップ、知財専門家の手本とできるようにします。

スタートアップ部門、知財専門家部門、エコシステム部門の3部門から構成され、エントリーの中から選考委員会による審査を経て、各部門最大で1名(1社)ずつグランプリが選出されます。

 ■各部門の審査基準について
○スタートアップ部門
対象:戦略的な知財権の取得、活用などを積極的に実施している、未上場かつ設立10年以内のスタートアップ
審査基準:
着実な知財活動(出願件数、知財ポートフォリオ、社内体制整備等)を基礎として、他企業の模範となる、優れた知財戦略の構築や知財に関する取組・活動を行っているスタートアップを評価する。

○知財専門家部門
対象:スタートアップ支援に意欲的に取り組み、その支援によりスタートアップの知財戦略構築に貢献している弁理士・弁護士、企業の知財部員
審査基準:
スタートアップ支援の実績に基づいて、スタートアップに特化した方法やスタートアップの将来的な発展を促すような方法でスタートアップの知財支援を行っている知財専門家であって、他の専門家の規範となり、スタートアップを支援する専門家コミュニティの拡大に寄与する知財専門家を評価する。

○エコシステム部門
対象:スタートアップに対する知財を積極的に活用した評価、支援、啓発活動や、知財業界にとどまらない活動を行うなど、スタートアップエコシステムの活性化に貢献している投資家、アクセラレーターなどの個人、組織(VC、投資家、アクセラレーター、インキュベーター、スタートアップへの取組をしている企業、研究機関関係者、大学関係者等)。エコシステムに資するもの、間接的な制度作りや事業スキームの組み立て実績があれば、知財専門家やスタートアップも含む。
審査基準:
知財業界にとどまらない活動の実績があり、知財支援を含めたスタートアップへの支援のコミュニティの発展、拡大に寄与する活動を行っている個人、組織(VC、投資家、アクセラレーター、インキュベーター、スタートアップへの取組をしている企業、研究機関関係者、大学関係者等)を評価する。

 第4回IP BASE AWARDでは応募総数55件の中から、以下のスタートアップ、知財専門家及び団体がグランプリ、奨励賞に選ばれました。

 ■第4回「IP BASE AWARD」グランプリ受賞者紹介
 【スタートアップ部門】
Heartseed株式会社

再生医療研究のトップランナーである慶應義塾大学循環器内科福田教授の心筋再生医療に関する長年の研究成果を産業化することを目指して2015年に設立。「再生医療で心臓病治療の扉を開く」をミッションに掲げ、iPS細胞から心臓の細胞を作製して心臓組織に移植する独自技術を生み出すバイオ系スタートアップ。
受賞理由:
バイオ系大学発スタートアップとして、知財の市場価値は事業と連動するものであるという考えの下に社会実装を目指し、ライセンス活動を広く行ったことが高く評価された。特に、遺伝子・細胞治療分野で国内初となる国際的な大手製薬企業ノボ ノルディスク社との大型ライセンス契約締結は、他のバイオスタートアップの模範となるような事例となっている。
【知財専門家部門】
馰谷 剛志 弁理士 神戸大学客員教授

バイオ・化学・医薬・複合ITの専門家として、侵害訴訟、無効異議事件、知財デューデリジェンスなどの幅広い知財活用権を有し、日本を含む世界各国での権利化、戦略立案を行う。近年は客員教授を務める神戸大等、数多くの大学にて知財及びアントレナーシップの啓発活動も積極的に行い、多数の知財周辺コミュニティで積極的に活動や情報発信を展開する。
受賞理由:
多数の支援実績に加えて、高い専門性によってバイオ分野におけるスタートアップの企業価値の向上に貢献した。特に、数十億円規模のディールに成功した事例や、大型のバイオテクノロジーの基本技術に関わる案件等で成功裏に導いた。さらに海外を相手にした案件でのサポート実績、また大学との積極的な橋渡し等、公益性の高い活動も高く評価された。

■第4回「IP BASE AWARD」奨励賞受賞者
【スタートアップ部門】
カバー株式会社
自社で開発したアプリ「hololive」を用いた、VTuberプロダクション「hololive production」を運営しており、所属VTuberによるライブストリーミング、メディアミックス、グッズ販売、楽曲配信、AR・VRライブの開催などを行っている。
受賞理由:
模倣品対策として精力的に権利保護に取り組んでいるとともに、模倣品に対し著作権や商標権を根拠にした通報も行っており、特許に限らず知財権全般を有効に活用している事例として評価された。

株式会社ソラコム
IoTを実現するために必要となるIoTデバイスや通信、アプリケーションなどを、ワンストップで提供するIoTプラットフォーム「SORACOM」を提供する。世界160を超える国・地域で利用でき、あらゆる産業に活用されている。
受賞理由:
エンジニア出身の創業者兼取締役を委員長とした発明考案委員会を創設してビジネス部門・開発部門・知財部門が連携し、経営に資する知財権の取得を進めている。知財戦略・知財ポートフォリオ・社内体制等が、多くのICT系スタートアップの模範になりうると評価された。

booost technologies株式会社
NET-ZERO/ESGを牽引する企業のTechnologyパートナーとして、サステナビリティ経営の加速を支援。CO2排出量の可視化・管理・オフセット・報告や、CO2フリー電力の調達・供給、ESG開示項目の網羅的な収集・可視化・管理等を行うプラットフォームを各種提供。
受賞理由:
秘匿化及び権利化によって他社からの参入障壁を築き、新規顧客の獲得や資金調達に繋げているとともに、積極的な海外戦略も強化している。知財ポートフォリオ構築のみではなく、具体的にその活用を通じた事業貢献ができている点が評価された。

【知財専門家部門】
内田誠氏 iCraft 法律事務所 弁護士 弁理士
弁護士・弁理士両方の資格を持ち、契約についての知識・経験も豊富であることから、出願戦略と契約戦略の双方の視点で多数のスタートアップを支援している。量子コンピュータ、宇宙、Web3、AIなど先端領域、データ・プラットフォーム構築、個人情報保護法等にも精通。
受賞理由:
理系出身のバックグラウンドを活かし、契約面での弁護士の立場と、出願・権利化実務などの弁理士の立場の両輪で、スタートアップ支援を行っていることが評価された。理系弁護士としてのこのような活動は、日本の技術系スタートアップの成長にとっても強く望まれる。

島田淳司氏 株式会社東京大学エッジキャピタルパートナーズ(UTEC) プリンシパル 弁理士
2018年UTECに参画。弁理士の知見を活かし、知財を評価できる希少なキャピタリストとして投資活動に従事して、投資先の経営戦略、事業開発、知財戦略をリード。
受賞理由:
知財の知見を駆使したコンサルティングを実施しており、知財分析に基づいた事業開発、事業提携の締結に貢献し、知財と投資の両専門家として新たな地平を築こうとしている点が評価された。

【エコシステム部門】
HVC KYOTO(独立行政法人日本貿易振興機構・京都府・京都市・京都リサーチパーク株式会社)
日本貿易振興機構・京都府・京都市・京都リサーチパークが、京都大学等の協力を得て2016年より実施する、日本最大級のヘルスケア分野特化型の完全英語ピッチイベントを中心としたプログラム。研究者・スタートアップがグローバル市場に挑む第一歩となっている。
受賞理由:
ピッチイベントが大学等の知財移転へ貢献している点や、プログラム全体において知財法務の専門家が公式にメンターとなっている点が評価された。

パテント・インテグレーション株式会社
安価なSaaS型の特許検索、特許分析サービス「パテント・インテグレーション」を提供。日米欧主要国特許を検索できるとともに、グラフ作成、自然言語処理に基づく可視化・俯瞰機能を備えており、技術系スタートアップ等で活用されている。
受賞理由:
知財調査ツールを安価に提供し、スタートアップにとっても知財情報を利用しやすくした点が評価された。

八木 雅和 日本バイオデザイン学会 大阪大学
医療機器イノベーション人材育成プログラムを主導して開発し、立ち上げた。起業事例(うち1社は買収)を早期から生み出すとともに、日本において企業、地方自治体、大学などの組織と連携して、産学医分野の2000名以上へのプログラム提供に貢献した。
受賞理由:
CEO人材が不足する中、早期からの出口戦略検討の観点から知財を中核の一つとして捉えたニーズ発開発アプローチに関する人材育成プログラムを開発し、メドテック分野のイノベーション推進人材を育成してきた点が評価された。

■IP BASEとは
特許庁は、「知財って重要そうだけど、まず何をすればいいか分からない」「誰に相談すれば良いのか分からない」といったスタートアップの声に応えるべく、“スタートアップがまず見るサイト”、“知財専門家とつながるサイト”として、知財コミュニティポータルサイト「IP BASE」を2018年12月に開設しました。

スタートアップに不可欠な知財戦略に関する基礎知識や支援施策、イベントなどの最新情報を集約し、スタートアップ関係者(スタートアップやベンチャーキャピタル、アクセラレーターなど)と、知財専門家(弁理士や弁護士など)の双方が参加するスタートアップ知財コミュニティの「基地」となることを目指して、運営しています。
「IP BASE」URL: https://ipbase.go.jp/

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