トルコ・シリア大地震:支援ニーズ拡大、トルコ被災地には81万の子どものシリア難民も【プレスリリース】

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アレッポのアタリブにある学校の校庭に設置された一時避難所へ逃れた親子。(シリア、2023年2月11日撮影) © UNICEF_UN0782378_Albamアレッポのアタリブにある学校の校庭に設置された一時避難所へ逃れた親子。(シリア、2023年2月11日撮影) © UNICEF_UN0782378_Albam

【2023年2月14日 ジュネーブ発】

トルコ・シリア大地震に関して、ユニセフ(国連児童基金)広報官のジェームズ・エルダーが、14日にスイス・ジュネーブで行われた国連の記者会見において、被災した子どもたちと家族の状況や、ユニセフの緊急活動の進捗について報告しました。以下はその概要です。

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トルコとシリアでの活動の焦点が人命救助から徐々に遺体の回収に移っているというつらい現実に人々が直面するなか、ユニセフは非常に多くの子どもたちが犠牲となったことを危惧しています。具体的な数字が無くとも、その数が増え続けるのは明らかで、痛ましいことです。

トルコには、2度の地震で被災した10県に460万人の子どもたちが住んでいます。またシリアでは、250万人の子どもたちが被災しています。
 

カフラマンマラシュの一時避難所で、水を運ぶ男の子。(トルコ、2023年2月11日撮影) © UNICEF_UN0781424_Ölçerカフラマンマラシュの一時避難所で、水を運ぶ男の子。(トルコ、2023年2月11日撮影) © UNICEF_UN0781424_Ölçer

子どもたちとその家族は、さらなる支援を切実に必要としています。ユニセフの現地パートナー団体のスタッフやファーストレスポンダーの多くが死傷または退避し、オフィスや設備が破壊されました。

すべての人が、いたるところで、もっと多くの支援を必要としています。安全な水、寒さを防ぐもの、避難所、医薬品、資金――どれも足りておらず、もっと必要です。

子どものいる家族は、余震による建物の損傷などの被害を恐れて、路上、商業施設、学校、モスク、バスターミナル、橋の下などの空き地で寝泊まりしています。何万もの家族が、肌を刺すような寒さと、日常的に降る雪や氷雨という厳しい気候下で過ごしています。低体温症や呼吸器感染症に苦しむ子どもの数は日々増えている、と報告されています。

シリアでは命を守るための当座の対応として、ユニセフは安全な飲み水、防寒着、医療・栄養関連の物資を提供しています。トルコでは、子ども用の冬服、家族・母子用の衛生キット、家族の移動用の衛生キットおよび毛布を配布しています。また、被災した10県で配布するために寝袋、モバイルバッテリー、寝椅子を調達中です。
 

ラタキアにある学校で、ユニセフの心理社会的支援によるレクリエーションを受ける子どもたち。この学校は、地震により家が破壊された子どもや家族のための避難所になっている。(シリア、2023年2月13日撮影) © UNICEF_UN0782704ラタキアにある学校で、ユニセフの心理社会的支援によるレクリエーションを受ける子どもたち。この学校は、地震により家が破壊された子どもや家族のための避難所になっている。(シリア、2023年2月13日撮影) © UNICEF_UN0782704

悲惨にも増え続ける死亡者の数を見れば、この壊滅的な地震によって、非常に多くの子どもが親を失ったのは明らかです。

トルコでは、ユニセフは家族・社会サービス省と連携して、病院にソーシャルワーカーを配置し、同伴者のいない子どもや保護者と離ればなれになった子どもを特定し、彼らの基本的ニーズが満たされているかどうかを確認する支援を行っています。さらにユニセフは家族・社会サービス省と共に、被災した地域で、同伴者のいない子どもたちや離ればなれになった子どもたちのためのホットライン10回線を新たに開設しました。

こうした取り組みと並行して、ユニセフはパートナーと共に、被災した子どもたちに不可欠な心理社会的サポートやメンタルヘルスを保つための支援を提供しています。特に戦争の影響を受けたシリアでは、被災した子どもたちの多くにとって、地震は既にあったトラウマにトラウマをさらに重ねたような経験です。複合的トラウマ、とでも呼べるものでしょうか。子どもたちにとって、これは消え去ることのない強固なトラウマなのです。心理社会的サポートを迅速により多くの子どもたちに提供するために、ユニセフはまた、心理的応急処置の訓練者を訓練する専門家70名近くにトレーニングを行いました。同時により長期を視野に入れたメンタルヘルスと心理社会的サポートを実施しています。さらに学習や日常感覚の再確立などを通じて被災した体験に対処するための物資として、何万人もの子どもたちに何百個ものレクリエーションキットの提供を行っています。

最後にあらためて、シリアの子どもたちは、未曽有の苦難に直面していることに言及したく思います。この国の12歳までの子どもたちは皆、紛争や暴力、避難生活しか知りません。中には6、7回も避難を繰り返している子どもたちもいます。そして、トルコの被災10県には、シリアからの難民として登録された170万人以上が住んでおり、そのうちの81万1,000人が子どもと推定されています。長年の暴力、破壊、経済の悪化により、生活環境は耐えがたいものになっています。今が、国際社会がこの何百万人もの子どもたちに連帯を示す最後の機会となるように思えます。

 

 

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ユニセフ「自然災害緊急募金」ご協力のお願い
地震や津波、洪水、台風やサイクロン、干ばつなどの自然災害に苦しむ子どもたちのために、ユニセフは緊急支援を行っています。その活動を支えるため、(公財)日本ユニセフ協会は、ユニセフ「自然災害緊急募金」を受け付けております。トルコ・シリア国境で発生した地震の影響を受けた子どもを含む、最も支援を必要としている子どもたちとその家族に支援を届けるため、ご協力をお願い申し上げます。

1. クレジットカード/コンビニ/ネットバンクから
https://www.unicef.or.jp/kinkyu/disaster/2010.htm

2. 郵便局(ゆうちょ銀行)から
振替口座:00190-5-31000/口座名義:公益財団法人 日本ユニセフ協会
*通信欄に「自然災害」と明記願います。
*窓口での振り込みの場合は、送金手数料が免除されます。

※ 公益財団法人 日本ユニセフ協会への寄付金には、特定公益増進法人への寄付として、所得税、相続税、法人税の税制上の優遇措置があります。また一部の自治体では、個人住民税の寄付金控除の対象となります。

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■ ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています。 https://www.unicef.or.jp/
※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する33の国と地域を含みます

■ 日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国33の国と地域にあるユニセフ国内委員会のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。 https://www.unicef.or.jp/

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