(抄訳)2023年1月‐6月期シンガポール製造業景況感: 輸送エンジニアリングが引き続き好調の予測

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以下は、シンガポール経済開発庁(EDB)の英文リリースの原文の一部を抄訳したものです。

2023年1月‐6月期景況感

製造業の景況感では、業種別で見ると輸送エンジニアリングにおいて引き続き好調な景況感が見込まれる結果となった。一方で、サプライチェーンの課題や事業コストの圧迫が続き、工業製品の需要が鈍化していることから、業況の改善を予測した企業は6%にとどまり、31%が悪化を予測している。全体的には、2023年1月から6月までの正味加重残高指数*1 では、製造業における25%の企業が2022年第4四半期(10~12月)に比べて悪化傾向を示している。

 
業種別は以下の通り:

製造業では輸送エンジニアリングが最も楽観視されており、プラス21%となった。国外への航空旅客輸送の回復に伴い、機体のメンテナンス・修理・オーバーホール(MRO)の需要の高まりが予測される航空宇宙部門の牽引に起因している。また、海洋・オフショア分野でも、世界的な石油・ガス業界の事業回復の継続による船舶の修繕やオフショア改造 プロジェクトが増加し、事業改善が見込まれている。

· 化学はマイナス5%となった。石油化学・特殊化学品・その他の化成品は、マクロ経済や地政学的な不確実性の中、需要の低迷や営業コストの上昇が懸念されている。

· 一般製造業はマイナス25%となった。食品・飲料・タバコ、その他の分野で営業コストの上昇やマクロ経済の弱さによる輸出需要の低迷が懸念されている。

· バイオメディカルはマイナス27%となった。医薬品・医療技術分野では、サプライチェーンの制約、原材料やその他の営業コストの上昇といった要因による業績の悪化が予測される。特に医療技術分野では今後数ヶ月、医療機器の需要減速が予測される。

· エレクトロニクスはマイナス44%、精密エンジニアリングはマイナス13%となった。半導体やコンピュータ周辺機器・データストレージ、その他の電子モジュール・電子部品等、電子製品に対する急速な需要軟化が懸念されている。米国による技術輸出規制の影響もあり、半導体関連装置の受注は厳しくなると予測される。 

1月‐3月期生産高予測(10月‐12月期比)

輸送エンジニアリング、化学、一般製造業以外の部門が2022年第4四半期比で減産を予測しており、全体ではマイナス13%の減産予測となった。
 

業種別は以下の通り:

· 輸送エンジニアリングはプラス22%となった。民間航空会社の航空機エンジンメンテナンス需要、海洋・オフショア産業では原油価格の上昇を背景とした、油田・ガス田設備、船舶修理、オフショア改造プロジェクトなどの需要が高まると予測される。

· 化学はプラス 13%となった。石油化学と特殊化学品は、メンテナンスによるプラントの一時停止があった前四半期よりも生産が増加すると予測している。

· 精密エンジニアリングはマイナス2%となった。機械・システムでは受注残を消化するために半導体装置の増産を見込んでいる一方で、精密モジュール・電子部品は光学製品や電子コネクタの減産を見込んでいる。

· エレクトロニクスはマイナス40%となった。小売市場における在庫調整の中、電子部品・デバイスの需要減退により、エレクトロニクスのほとんどの分野で減産を見込んでいる。

*1: 調査対象417社の内、90%が回答。指数は、直前四半期の実際の業績と比較した向こう半年の業況対する回答、「改善する」「変わらない」「悪化する」の加重割合の差で、プラスは改善傾向、マイナスは悪化傾向を示す。

英文リリースはこちらからダウンロードしていただけます:https://www.edb.gov.sg/en/about-edb/media-releases-publications/business-expectations.html

 シンガポール経済開発庁(EDB)とは 
EDBは1961年に設立された貿易産業省傘下の政府機関で、シンガポールの産業育成、投資誘致を担っています。「外資系企業誘致のワンストップセンター」として、海外20カ所以上に事務所を持ち、外国企業に投資先としてのシンガポールの情報を提供するだけでなく、世界の経済、技術、市場動向を把握することで、シンガポールで競争力を持ちえる産業や分野を育成するための経済戦略を立案しています。日本には、東京に事務所を構え、日本企業のシンガポール投資をサポートしています。

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