自治医科大学、DeepEyeVisionとベーリンガーインゲルハイム、AIを活用し、眼科領域における有効な治療法の探索を目的とした共同研究を開始

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2023年1月30日

学校法人 自治医科大学
DeepEyeVision株式会社
日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社

2023年1月30日 日本/東京
自治医科大学(所在地:栃木県下野市、学長:永井 良三、以下「自治医大」)、自治医科大学発ベンチャー・DeepEyeVision株式会社(本社:栃木県下野市、代表取締役CEO:髙橋 秀徳、以下「DeepEyeVision」)ならびに、日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役 医薬事業ユニット統括社長:ヤンシュテファン・シェルド、以下、「日本ベーリンガーインゲルハイム」)は、DeepEyeVisionが持つ眼科領域におけるAI活用の知見・技術を活用し、日本における萎縮型加齢黄斑変性の有効な治療法の探索を目的としたイメージングバイオマーカーの分析を実施、共同で研究を行う契約を締結しました。

1.研究の背景
網膜の中心に位置する「黄斑」は、最も視力に影響を与える部位であり、黄斑の障害は視力に異常をきたすことになります。その中でも、加齢に伴って黄斑部が変性する疾患を、加齢黄斑変性(AMD:age-related macular degeneration)と呼びます。
 AMDは、脈絡膜新生血管の発生を伴う「滲出型加齢黄斑変性(滲出型AMD)」と網膜色素上皮の萎縮を呈する「萎縮型加齢黄斑変性(萎縮型AMD)」の二つに大別されますが、現時点では後者の萎縮型AMDについての本邦での有効な治療法は確立されておらず(※1)、かつ日本人における症例が多くなく(※2)、自然経過の詳細な報告が存在しないため(※3)、萎縮型AMDの研究が進展しているとは言い難い状況にあります。
したがって、日本人における発症と成長における自然経過の詳細な調査を行い、日本人の萎縮型AMD治療法の確立に向けて取り組むことは極めて重要です。

2.研究内容と意義

そこで今回の共同研究においては、自治医科大学が保有する萎縮型AMD患者の画像を収集し、個人が特定出来ないように匿名加工を施した後(※4)、DeepEyeVisionが開発した機械学習プログラム(AI)を用いて自然経過の測定と解析を実施いたします。
特に、AIによる測定と解析の工程においては、従来、眼科専門医によって長い時間をかけて画像上の網膜色素上皮の萎縮を抽出していた作業を、AIによる領域抽出(セマンティック・セグメンテーション)に置き換え、大幅な時間短縮を図ります。
その後、解析結果をもとに、日本ベーリンガーインゲルハイムを含めた三者において、日本人における萎縮型AMDの発症と成長におけるイメージングバイオマーカー(※5)を明らかにし、将来の治療薬導入に備えた探索を行うことを予定しております。

 三者は本共同研究を通じて、当該疾患の治療法の確立を目指すだけでなく、眼科領域をはじめとした創薬分野におけるAIの適用に関する知見を蓄積し、医療における質の向上に取り組んで参ります。

・自治医科大学について
自治医科大学は、医療に恵まれないへき地等における医療の確保及び向上と地域住民の福祉の増進を図るため、昭和47(1972)年に全国の都道府県が共同で設立した大学です。医の倫理に徹し、かつ、高度な臨床能力を有する医師並びに保健医療と福祉に貢献できる総合的な看護職を養成することを目的とし、併せて医学及び看護学の進歩と福祉の向上に資することを使命としています。

お問い合わせ先:
学校法人自治医科大学  大学事務部・研究支援課
Tel. 0285-58-7550
Fax. 0285-40-8303

・DeepEyeVision株式会社について
自治医科大学 准教授である、髙橋秀徳(医学博士)が、同大学の医療AI技術を社会に還元することを目的として設立した自治医科大学発ベンチャー企業です。AIによる画像診断技術をいかし、眼科領域に留まらず、あらゆる医療分野の高度化をミッションとして、研究開発を行っています。

代表者:代表取締役CEO 髙橋 秀徳
資本金:1,400万円(資本準備金含む)(2022年3月末現在)
本社:329-0498 栃木県下野市薬師寺3311-1 自治医科大学眼科学講座内
ウェブサイト:https://deepeyevision.com/

第二種医療機器製造販売業(許可番号 09B2X10014)
医療機器製造業(登録番号 09BZ200083)
お問い合わせ先:
DeepEyeVision株式会社
E-mail: pr@deepeyevision.com

・ベーリンガーインゲルハイムについて
ベーリンガーインゲルハイムは、今日そして次世代にわたり、暮らしを変革する画期的な医薬品や治療法の開発に取り組んでいます。研究開発主導型のバイオ製薬企業のリーディンクカンパニーとして、アンメットメディカルニーズの高い分野において、イノベーションによる価値の創出に日々取り組んでいます。1885年の創立以来、ベーリンガーインゲルハイムは、株式を公開しない独立した企業形態により長期的視野を維持しています。ヒト用医療用医薬品、アニマルヘルスおよびバイオ医薬品受託製造の3つの事業分野において、52,000人以上の社員が世界130ヵ国以上の市場で事業を展開しています。
詳細は、下記をご参照ください。
https://www.boehringer-ingelheim.com/
(ベーリンガーインゲルハイム)
https://www.boehringer-ingelheim.jp/
(ベーリンガーインゲルハイム ジャパン)
https://annualreport.boehringer-ingelheim.com
(アニュアルレポート 英語)

Reference
(※1)https://www.nature.com/articles/s41433-021-01765-x
(※2)Oshima Y, Ishibashi T, Murata T, et al. Prevalence of age related maculopathy in a representative Japanese population:the Hisayama study. Br J Ophthalmol. 2001;85:1153–1157.
(※3)Tsujikawa, A., Takahashi, K., Obata, R. et al. Dry age-related macular degeneration in the Japanese population. Jpn J Ophthalmol 66, 8–13 (2022). https://doi.org/10.1007/s10384-021-00892-y
(※4)「自治医科大学における人を対象とする生命科学・医学系研究に関する規程」に基づき、同大学の倫理審査委員会の承認を得て実施するものです。
(※5)イメージングバイオマーカーとは、臨床現場で用いられている医用画像を定量的に解析し、疾患の有無、病状の変化、治療の効果の指標となる項目として活用することを指します。

 

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