- 国内で唯一、字幕により学習機会を保障する「やさしい字幕」
「やさしい字幕」は、ろう・難聴の子、日本語の支援が必要な外国につながる子、発達障害などから学びづらさを抱えた子を主な対象として、学習のハードルが下がるよう編集された字幕です。
「やさしい字幕」は、17の企業・団体からの社員ボランティアを含む1,000名以上のご協力の下、2020年7月から約1年をかけて制作されました。義務教育課程を広く取り扱った映像授業としては、日本で唯一、字幕による学習機会の保障を実現しています。本取り組みは、SDGsへの貢献から、2021年12月、第5回ジャパンSDGsアワード(主催:SDGs推進本部、本部長:内閣総理大臣)にて、SDGs推進副本部長(内閣官房長官)賞を受賞しています。
ろう・難聴の子や、日本語の支援が必要な外国につながる子は、読み書きの習得に時間がかかるため、特に小学校高学年ごろから教科学習が抽象化して難しくなると、学習面での課題を抱えてしまうことがあります。一斉授業でつまずくことが多い集中が続きづらい子、聴き取りでの学習が苦手な子にとっても、映像授業の「やさしい字幕」は、学びづらさを解消する手立てになるものです。
- 利用現場が100カ所、利用回数が120万回を突破
NPO法人eboardでは、2021年6月の「やさしい字幕」完成後、株式会社セールスフォース・ジャパンより、新型コロナウイルス関連の緊急支援の寄付を受け、学校・教育現場における「やさしい字幕」の利活用検証および広報活動を進めてきましたが、この度「やさしい字幕」を利用する学校・教育現場が100カ所を突破しました(ICT教材eboard利用学校・団体へのアンケートおよび聞き取り調査)。
施設別の利用教育現場数を見ると、ろう学校を含む公立学校、⽇本語教室、放課後等デイサービス、教育委員会の設置する教育支援センターなど多岐に渡る一方で、テーマ別の利用教育現場数では「学習の困り(発達障害等)」が半数以上を占めました。
「やさしい字幕」の利用回数で見ると、2021年7⽉〜2022年11⽉までに「やさしい字幕」が表⽰された状態での映像授業の再⽣は120万回、時間にして67,000時間以上となりました(家庭での個人利用を含む)。映像授業の総再生数の約14.9%が「字幕表示あり」で再生されており、字幕の制作当初に想定していた数字よりも高いものとなりました。
この結果について、通常学級に通う公立小中学校児童生徒の8.8%が「学習面又は行動面で著しい困難を示す」とも言われており、「やさしい字幕」がろう・難聴の子や外国につながる子だけでなく、発達や特性の面から学びづらさを抱えている子にとっても、有効な支援ツールになることを示唆しています。
その他、「集中が短時間しか続かない子が、字幕があるときの方が音声だけのときよりも内容に集中しやすくなった」、「感覚過敏のため不登校で、塾や通信教育では学べない状態だったけど、音声を消して字幕表示にすることで、勉強できるようになった」などの声も聞かれました。
- eboardの「学びやすさ」への取り組み
2022年11月には、漢字学習の遅れにより勉強が進められない子をサポートする「ふりがな」機能の提供を開始するなど、NPO法人eboardでは、「学びをあきらめない社会の実現」というミッションの下、様々な理由から学びづらさを抱えた子ども達のための取り組みを継続していきます。
【受賞歴】
・第11回日本eラーニング・アワードにて、文部科学大臣賞を受賞(2014)
・第1回社会課題の解決を支えるICTサービス大賞「社会課題解決部門」にて、部門賞を受賞(2017)
・第5回ジャパンSDGsアワードにて、SDGs推進副本部長(内閣官房長官)賞を受賞(2021)
- 関連URL
・やさしい字幕プロジェクトについて:https://info.eboard.jp/yasashi_subtitles